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いざ、模擬戦開始。
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ギルドの訓練場に行くと、既に十数人の野次馬冒険者達がいた。
「暇人ばっかりだねぇ」
苦笑いしながら呟くと、『赤い戦線』のメンバーが遅れてやってきた。
レイチェル、ネイリー、パウチ、ニーナ、マジェリカの五人が模擬戦用の木製武器を取ろうとしているので、
「本物を使っても構わないぞ」
と言うと、案の定、パウチが殺す気満々の射殺さんばかりに睨みつけ、
「一つ上のランクだからって舐めてんじゃないわよ!アンタなんかブチのめしてやるから覚悟しなさい!!」
いきなり、ナイフを投げ付けてきた。
リョータは、そのナイフを二本の指で挟み取り、パウチの足下に投げ返した。
これは完全にパウチのルール違反だ。
「模擬戦のはずだが…決闘にするかい?」
我に返ったパウチは「しまった!」という顔をするが、時、既に遅し。
野次馬冒険者達から激しいブーイングが起こった。野次馬冒険者達だけではなく、訓練場にやってきたギルマスも怒鳴った。
「パウチ!模擬戦前に相手に攻撃するのがどれくらいのルール違反か分かってるんだろうな!もしも、リョータが怪我でもしていたらお前は…いや、お前達は全員、犯罪奴隷になってたんだぞ!?お前の軽はずみな行動で仲間を奴隷落ちさせる気か!?」
「そ、そんな…私はそん「黙れ!」はい」
ギルマスの怒りは凄まじいもので、パウチの弁解を遮った。
「大体、お前は「ギルマス。もういい」リョータ…模擬戦に応じてやるのか?」
ギルマスの立場としては奴隷落ちになるくらいの犯罪者を庇う事は出来ないので、リョータが模擬戦に応じてくれるのは正直言って、かなり助かるのだ。
リョータは足下に半径一㍍くらいの円を描いた。
「俺はここから一歩も出ない。一歩でも出たら俺の負け。一歩でも出せたらお前達の勝ちだ。一人頭白金貨五枚だから二十五枚を払ってやる」
白金貨二十五枚と聞いた野次馬冒険者達から響めきがおきた。
「ギルマス。確認してくれ」
リョータは小さな革袋をギルマスに放り投げた。
中身は白金貨二十五枚だ。
「確かに白金貨二十五枚あるな」
頷くギルマスを横目に見たリョータは模擬戦の審判役に「始めよう」と言った。
赤い戦線のメンバーもそれぞれの武器を構え、いつでも始められる様子だ。
「では…始め!!」
審判役の開始宣言と同時に攻撃してきた『赤い戦線』は、呪文や武術系スキルの名称を唱えようとしたが、右手を前に向けたリョータが、
「ハッ!」
と気合いのような声をあげると、赤い戦線』のメンバーは残らず壁まで吹き飛ばされていった。
それぞれが苦痛の声を上げて、倒れたのを見て、野次馬冒険者達もギルマスも何が起きたのか、リョータが何をしたのか分からなかった。
響めく野次馬冒険者達をよそに、
「どうした?もう降参か?」
『赤い戦線』を煽るような事を言うと、
「まだ…まだまだよ…これからよっ!」
パウチが立ち上がって、矢を放った。
一本、二本、三本、四本、五本と連射するが、リョータは全部指で挟んで落とす。
パウチは横に、後ろにと動きながら矢を放つが、リョータに掠りもしないので動揺し、僅かに矢を射るタイミングがずれた。
リョータはそれを見逃さなかった。
足下の矢を拾うと、パウチの弓の弓弦目掛けて投げると、弓弦が切れてしまった。
こうなると、弓使いは何もできなくなる。
それでも諦め切れないパウチは腰の短剣を抜いて斬り込もうとしたが、またしてもリョータの気合いの声で壁まで吹き飛ばされた。
「…ぐ、ぐぅ…」
顔を苦悶の表情に歪めて立ち上がろうとするが、足腰がふらついて立ち上がれないようだ。
他のメンバーを見ると、武器を捨てて座り込んでいた。
「どうした?お前達はかかってこないのか?」
すると、剣士のレイチェルが首を横に振った。
「『闘氣術』を使える人に勝てるわけありませんから」
素直に負けを認めた。
それにしても『闘氣術』か。
正確には『氣功術』なのだが、こちらの世界では、そう呼ぶようだ。
模擬戦を挑んだパウチも動けないようなので、審判役の冒険者に、
「勝敗は?」
と訊ねると、
「え?あ、ああ。勝者、リョータ!!」
と、リョータの勝ちだと宣言した。
しかし、野次馬冒険者達もギルマスも声もなく、ただ立ち尽くしていた。
「ギルマス。どうかしたのか?」
「…リョータ…お前、『闘氣術』の遣い手だったのか?」
「ああ。それがどうかしたのか?」
「どうかしたのかって…ちょっと執務室まで来てくれ。話しがあるからな」
首を傾げながらも「分かった」と頷く。
「『赤い戦線』の皆さん。白金貨二十五枚のお支払いをお忘れなく」
後ろでパウチが何か叫んでいるが、リョータはそれを無視して訓練場から出て行った。
「暇人ばっかりだねぇ」
苦笑いしながら呟くと、『赤い戦線』のメンバーが遅れてやってきた。
レイチェル、ネイリー、パウチ、ニーナ、マジェリカの五人が模擬戦用の木製武器を取ろうとしているので、
「本物を使っても構わないぞ」
と言うと、案の定、パウチが殺す気満々の射殺さんばかりに睨みつけ、
「一つ上のランクだからって舐めてんじゃないわよ!アンタなんかブチのめしてやるから覚悟しなさい!!」
いきなり、ナイフを投げ付けてきた。
リョータは、そのナイフを二本の指で挟み取り、パウチの足下に投げ返した。
これは完全にパウチのルール違反だ。
「模擬戦のはずだが…決闘にするかい?」
我に返ったパウチは「しまった!」という顔をするが、時、既に遅し。
野次馬冒険者達から激しいブーイングが起こった。野次馬冒険者達だけではなく、訓練場にやってきたギルマスも怒鳴った。
「パウチ!模擬戦前に相手に攻撃するのがどれくらいのルール違反か分かってるんだろうな!もしも、リョータが怪我でもしていたらお前は…いや、お前達は全員、犯罪奴隷になってたんだぞ!?お前の軽はずみな行動で仲間を奴隷落ちさせる気か!?」
「そ、そんな…私はそん「黙れ!」はい」
ギルマスの怒りは凄まじいもので、パウチの弁解を遮った。
「大体、お前は「ギルマス。もういい」リョータ…模擬戦に応じてやるのか?」
ギルマスの立場としては奴隷落ちになるくらいの犯罪者を庇う事は出来ないので、リョータが模擬戦に応じてくれるのは正直言って、かなり助かるのだ。
リョータは足下に半径一㍍くらいの円を描いた。
「俺はここから一歩も出ない。一歩でも出たら俺の負け。一歩でも出せたらお前達の勝ちだ。一人頭白金貨五枚だから二十五枚を払ってやる」
白金貨二十五枚と聞いた野次馬冒険者達から響めきがおきた。
「ギルマス。確認してくれ」
リョータは小さな革袋をギルマスに放り投げた。
中身は白金貨二十五枚だ。
「確かに白金貨二十五枚あるな」
頷くギルマスを横目に見たリョータは模擬戦の審判役に「始めよう」と言った。
赤い戦線のメンバーもそれぞれの武器を構え、いつでも始められる様子だ。
「では…始め!!」
審判役の開始宣言と同時に攻撃してきた『赤い戦線』は、呪文や武術系スキルの名称を唱えようとしたが、右手を前に向けたリョータが、
「ハッ!」
と気合いのような声をあげると、赤い戦線』のメンバーは残らず壁まで吹き飛ばされていった。
それぞれが苦痛の声を上げて、倒れたのを見て、野次馬冒険者達もギルマスも何が起きたのか、リョータが何をしたのか分からなかった。
響めく野次馬冒険者達をよそに、
「どうした?もう降参か?」
『赤い戦線』を煽るような事を言うと、
「まだ…まだまだよ…これからよっ!」
パウチが立ち上がって、矢を放った。
一本、二本、三本、四本、五本と連射するが、リョータは全部指で挟んで落とす。
パウチは横に、後ろにと動きながら矢を放つが、リョータに掠りもしないので動揺し、僅かに矢を射るタイミングがずれた。
リョータはそれを見逃さなかった。
足下の矢を拾うと、パウチの弓の弓弦目掛けて投げると、弓弦が切れてしまった。
こうなると、弓使いは何もできなくなる。
それでも諦め切れないパウチは腰の短剣を抜いて斬り込もうとしたが、またしてもリョータの気合いの声で壁まで吹き飛ばされた。
「…ぐ、ぐぅ…」
顔を苦悶の表情に歪めて立ち上がろうとするが、足腰がふらついて立ち上がれないようだ。
他のメンバーを見ると、武器を捨てて座り込んでいた。
「どうした?お前達はかかってこないのか?」
すると、剣士のレイチェルが首を横に振った。
「『闘氣術』を使える人に勝てるわけありませんから」
素直に負けを認めた。
それにしても『闘氣術』か。
正確には『氣功術』なのだが、こちらの世界では、そう呼ぶようだ。
模擬戦を挑んだパウチも動けないようなので、審判役の冒険者に、
「勝敗は?」
と訊ねると、
「え?あ、ああ。勝者、リョータ!!」
と、リョータの勝ちだと宣言した。
しかし、野次馬冒険者達もギルマスも声もなく、ただ立ち尽くしていた。
「ギルマス。どうかしたのか?」
「…リョータ…お前、『闘氣術』の遣い手だったのか?」
「ああ。それがどうかしたのか?」
「どうかしたのかって…ちょっと執務室まで来てくれ。話しがあるからな」
首を傾げながらも「分かった」と頷く。
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