『ハズレ』召喚者『氣功術師』ののんびり異世界旅行!!

メガネの助

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伝説と帝国隠密部隊。

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 ギルマスに連れられて執務室に戻ったリョータ達に紅茶と茶菓子が出された。

「リョータ。単刀直入に訊く。お前達は帝国を滅ぼすために来たのか?」
「……何でそうなる?」
「何でも何も…グライアス王国が『闘氣術』の遣い手を手放すわけがない。『闘氣術』を使える奴なんて大陸中を探したって片手で数えたってあまるくらいなんだぞ?しかも、レッドドラゴンにフェンリル、グリフォンにユニコーン、エンペラースライムにバトルホースを従えてるんだ。疑われたって仕方ないだろう?まあ、俺としては、お前達がそんな事をしに来たんじゃないって事は分かってるんだけどなぁ…なあリョータ、何でこの帝国に来たんだ?」
「…聞いてくれるか?」
「ああ。聞くよ」
「そうか。実はなーーー」

 リョータはグライアス王国から受けた仕打ちを残らず話した。

「ーーーというわけなんだ」

 ギルマスはポカンとした顔をして、

「『氣功術師』が『闘氣術』を使うと気付かなかったって?グライアス王国の国王はバカなのか?」
「バカなんだろうさ。何しろあの国は『魔法至上主義国家』だからな」
「ああ…確かにそうだったな」

 グライアス王国は魔法至上主義国家で、戦争で役に立つ魔法を使える者は優遇されて、それ以外の者は冷遇されている。勿論、魔法使い並みに優れた武術家はそれなりの扱いをされるが、それでもランクは落ちる。

「そうか。だからお前は『魔境の森』に追放されたのか。苦労したんだな」

 ギルマスの目には涙が浮かんでいた。

「やめろよ。男の涙なんか見たくもないぞ?」

 ギルマスには、その言葉すらも「気丈に振る舞っている」と見えたようだ。
 それはそうだろう。
 『魔境の森』はグライアス王国とザンギグラス帝国との境界にあるというだけではなく、実は大陸各国共通の危険度Sランクに指定されている『絶対危険区域』だからだ。『魔境の森』は別名『還らぬの森』とも呼ばれているらしく、騎士団や高ランク冒険者パーティーが何組も挑戦しにいったが、誰一人として帰って来た者がいないので、そう名付けられたそうだ。
 そんな場所に右も左も分からない者…それも勝手に召喚した異世界人を『絶対危険区域』に追放するだなんて、グライアス王国の国王が如何に非道で冷酷で愚かであるかを物語っている。

「それはそうと、俺が『闘氣術』を使う事が珍しいってだけの話しだたたのか?」
「ん?ああ、そうだった、そうだった!うっかりしてたぞ!」
「おいおい。しっかりしてくれよ。そんな事じゃ、この人達から怒られるんじゃないのか?」

 執務室の四隅を指差すと、ギルマスは目に見えて狼狽えた。

「お、お前…気付いてたのか?いつから気付いてた?」
「うん?気付かないほうがおかしいだろうに。気付いたのは金を受け取りに来た時からだな」
「って事は…最初からか!?」
「こんなに気配丸出しなんだから気付いて当たり前だろ?」

 そう言うと、忍び笑いが聞こえた。

「これでも『気配遮断』スキルはかなりのものなんですけどね」

 四方から八人の冒険者スタイルの男達が現れた。

「どちらさんで?」
「我々は帝国隠密部隊の者です。私は部隊長のラノック=ベルツ=シュラータルゼ騎士爵です」

 騎士爵とは、普通の貴族とは違って、多大な功績をした者に与えられる一代限りの名誉爵位の事だ。一代限りなので子供に継承権は無い。

「部隊長様が態々お越しとは…俺がここに来たのは昨日なんですけどね?」
「偶然です。実は帝国から追放処分を受けた元貴族一家の監視のために来ていたんですが、そこへ貴方の情報がギルマスから入りましてね。そうなると、こちらとしても調査しなければならないわけでして」
「ああ~…何かご苦労様です」

 帝国隠密部隊長はやたらと腰が低い印象だが、腐っても隠密部隊長なだけに隙が微塵もない。目配り、足捌きも見事なものだ。
 それを見てとったリョータと、それに気付いたラノック部隊長は互いにフッと笑った。

「流石は隠密部隊長様だ」
「いや。貴方には及びませんよ」

 会話という事情聴取は穏やかに始まった。
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