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帝都に向けて。
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帝国隠密部隊隊長ラノック=ベルツ=シュラータルゼ騎士爵の事情聴取は問題なく終わった。
「リョータさん。どうですか。帝都に来る気はありませんか?」
「帝都に?抱え込みですか?」
「まあ、そんなところですね。リョータさんなら法衣男爵か領地男爵…いや、子爵に叙爵されるんじゃないですかね?」
「貴族にですか…困りましたねぇ」
「おや。貴族はお嫌いですか?」
「ええ。面倒で仕方ありませんよ」
「そうですか。分かりました。無理強いはしませんよ。ただ…」
「ただ?」
「皇帝陛下に謁見だけはしていただきたいのですが」
「…リル達の事で、ですか?」
「はい。それもありますが、リョータさんが『闘氣術』の遣い手だというのもあります」
「ああ!『闘氣術』の遣い手は滅多にいないんでしたね。成る程そうですか。面倒事はお断りなんですけどね…まあ、俺もこの国で生きていくんで仕方ありませんね。分かりました。陛下への謁見はお受けします」
「そ、そうですか!いやあ、有難い!もしもリョータさんが断られたりしたら陛下の拳骨を喰らうところでしたよ」
ラノック隊長は笑いながら頬を掻く。
皇帝陛下の名前は、フレデリック=ベルツ=ザンギグラス。『拳骨のデリック』の二つ名持ちらいし。
不正や間違いを犯した者に容赦無く拳骨を喰らわせるので付いたとか。
「それは大変な事になるところでしたね」
「いや、本当に」
俺とラノック隊長は小さく笑った。
「時に、赤い戦線と揉めていたようですが、大丈夫ですか?」
「ん?ああ、アレですか。そうですね。模擬戦で白金貨二十五枚を賭けてましたからね。ギルマス。こういう時ってどうなるんだ?」
急に話しを振られたギルマスは驚いた感じだったが、それでも説明してくれた。
「白金貨二十五枚。一人頭で五枚だからな。アイツらに支払い能力は無いだろうし…借金奴隷、も難しんだよな」
「買い手になる奴隷商人がいないって事か?」
「そうだ。白金貨二十五枚もの借金を肩代わりするだけの資金を持ってる奴隷商人は滅多にいないからな。例え帝都だったとしてもいるかどうか。ラノック卿。心当たりはありませんか?」
「そうですね。ん~…違法奴隷商なら持ってるかもしれませんが、一度に白金貨二十五枚となると…難しいですね」
どうしたものかと悩んでいると、名案が浮かんだ。
「なら。アイツらがこれから得るだろう報酬の一割を俺に支払うってのはどうだろう?」
「ずっとか?」
「支払い終えるまでさ」
「それを、ずっとって言うんだよ」
「もしくは搾取ですね」
「搾取って…人聞きの悪い事を。まあ、間違いじゃないですけどね」
「分かった。それじゃあ、アイツらにはそう伝えるかな」
「ああ。頼む。で、ラノック隊長さん。帝都に向かうのはいつ頃にしたらいいんですか?」
「そうですね。早ければ早い程有難いのですが…五日後ではいかがですかね?」
「五日後ですか。分かりました。それまでに準備をしておきます。ああ、一つだけお願い…というか、注意していただきたい事があります」
「なんでしょうか」
「リル達を絶対に怒らせないでいただきたい」
「ふむ。そうでしたね。レッドドラゴンにフェンリル、グリフォンにユニコーンにエンペラースライムにバトルホースでしたね。成る程。これは気を付けないと帝都がメチャクチャになってしまいそうですね」
その言葉にリョータは笑ってしまった。
「帝都がメチャクチャに?ご冗談を。メチャクチャになるどころか、帝国が更地になってしまいますよ?」
ラノック隊長の顔から血の気が失せ、引き攣っている。
「では帝都でお会いしましょう。ギルマス。後で話しがある。時間を作っておいてくれ」
「分かった」
リョータはギルマスとラノック隊長に笑顔を見せて執務室から出て行った。
「リョータさん。どうですか。帝都に来る気はありませんか?」
「帝都に?抱え込みですか?」
「まあ、そんなところですね。リョータさんなら法衣男爵か領地男爵…いや、子爵に叙爵されるんじゃないですかね?」
「貴族にですか…困りましたねぇ」
「おや。貴族はお嫌いですか?」
「ええ。面倒で仕方ありませんよ」
「そうですか。分かりました。無理強いはしませんよ。ただ…」
「ただ?」
「皇帝陛下に謁見だけはしていただきたいのですが」
「…リル達の事で、ですか?」
「はい。それもありますが、リョータさんが『闘氣術』の遣い手だというのもあります」
「ああ!『闘氣術』の遣い手は滅多にいないんでしたね。成る程そうですか。面倒事はお断りなんですけどね…まあ、俺もこの国で生きていくんで仕方ありませんね。分かりました。陛下への謁見はお受けします」
「そ、そうですか!いやあ、有難い!もしもリョータさんが断られたりしたら陛下の拳骨を喰らうところでしたよ」
ラノック隊長は笑いながら頬を掻く。
皇帝陛下の名前は、フレデリック=ベルツ=ザンギグラス。『拳骨のデリック』の二つ名持ちらいし。
不正や間違いを犯した者に容赦無く拳骨を喰らわせるので付いたとか。
「それは大変な事になるところでしたね」
「いや、本当に」
俺とラノック隊長は小さく笑った。
「時に、赤い戦線と揉めていたようですが、大丈夫ですか?」
「ん?ああ、アレですか。そうですね。模擬戦で白金貨二十五枚を賭けてましたからね。ギルマス。こういう時ってどうなるんだ?」
急に話しを振られたギルマスは驚いた感じだったが、それでも説明してくれた。
「白金貨二十五枚。一人頭で五枚だからな。アイツらに支払い能力は無いだろうし…借金奴隷、も難しんだよな」
「買い手になる奴隷商人がいないって事か?」
「そうだ。白金貨二十五枚もの借金を肩代わりするだけの資金を持ってる奴隷商人は滅多にいないからな。例え帝都だったとしてもいるかどうか。ラノック卿。心当たりはありませんか?」
「そうですね。ん~…違法奴隷商なら持ってるかもしれませんが、一度に白金貨二十五枚となると…難しいですね」
どうしたものかと悩んでいると、名案が浮かんだ。
「なら。アイツらがこれから得るだろう報酬の一割を俺に支払うってのはどうだろう?」
「ずっとか?」
「支払い終えるまでさ」
「それを、ずっとって言うんだよ」
「もしくは搾取ですね」
「搾取って…人聞きの悪い事を。まあ、間違いじゃないですけどね」
「分かった。それじゃあ、アイツらにはそう伝えるかな」
「ああ。頼む。で、ラノック隊長さん。帝都に向かうのはいつ頃にしたらいいんですか?」
「そうですね。早ければ早い程有難いのですが…五日後ではいかがですかね?」
「五日後ですか。分かりました。それまでに準備をしておきます。ああ、一つだけお願い…というか、注意していただきたい事があります」
「なんでしょうか」
「リル達を絶対に怒らせないでいただきたい」
「ふむ。そうでしたね。レッドドラゴンにフェンリル、グリフォンにユニコーンにエンペラースライムにバトルホースでしたね。成る程。これは気を付けないと帝都がメチャクチャになってしまいそうですね」
その言葉にリョータは笑ってしまった。
「帝都がメチャクチャに?ご冗談を。メチャクチャになるどころか、帝国が更地になってしまいますよ?」
ラノック隊長の顔から血の気が失せ、引き攣っている。
「では帝都でお会いしましょう。ギルマス。後で話しがある。時間を作っておいてくれ」
「分かった」
リョータはギルマスとラノック隊長に笑顔を見せて執務室から出て行った。
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