『ハズレ』召喚者『氣功術師』ののんびり異世界旅行!!

メガネの助

文字の大きさ
16 / 43

帝都までの道中〜1〜。

しおりを挟む
 このミルフィナンド辺境伯領から帝都までは馬車で二十日もかかるらしいので、リョータはちょっと多めの三十日間分の飲食料と野営グッズ等を買い集めるのに二日かけた。
 初めは馬車を購入しようと思ったのだが、帝都までは乗り合い馬車の定期便が出ているそうなので、それを利用する事にした(無駄な出費は控えたいからね)。
 そして帝都に向かう日が来た。
 リョータは、

「それじゃあ、帝都までの護衛を頼むな」

 と、赤い戦線レッドラインに笑顔を見せた。
 本来なら護衛などいらないのだが、賭け金の返済を理由に護衛として雇ったのだ。
 報酬は白金貨十枚。
 前代未聞な破格の報酬額だが、レッドラインのメンバーを借金奴隷にしたくはなかったので、お情けというか何というか…とにかくこれしか思いつかなかったので、ギルマスのバルドと話し合った結果がこれだ。
 パーティーメンバー達は何度も頭を下げてお礼を言って来たが、そもそもの原因となった弓使いのパウチだけは気不味そうな顔で俯いていたが、小さい声で、

「ありがとう」

 と呟くように言った。

「さあ、出発だ」

 帝都に向けて馬車に乗り込んだ。
 一日目の宿泊地は、隣領のバザン子爵領だ。
 ガタゴトと揺れる馬車に乗っていたら、嫌な気配を察知した。
 "氣"を放って探ると、二十八人が森の中からこちらを窺っているのが分かった。
 山賊の類いだろう。
 まあ、だからなんだと言いたいくらいに弱々しい"氣"しか感じられない。

「御者さん。皆さん。この先に二十八人の山賊が待ち構えています。ですので、皆さんは絶対に馬車から降りないようにしてください。幸いな事に、この馬車にはCランク冒険者と、五人のDランク冒険者パーティーが乗り合わせていますので、皆さんは安心してください」

 リョータの呼びかけに馬車の中の人々はホッとした顔で頷いた。

「レイチェル。お前達は人殺しの経験があるか?」
「いいえ。ありません」
「だろうな」
「でも、魔物なら沢山討伐しています」
「魔物なら、な。だが、魔物を相手にするのと『人殺し』は天と地程の差があるんだ。今回の襲撃はお前達にとっては絶好のチャンスだ。取り敢えず俺が戦闘不能にするから、お前達は止どめを刺してもらう。それだけでもかなりの経験になるはずだからな。そうだな。一人につき一人殺してもらおうか。じゃあ、行ってくる」

 リョータは腰の片手剣を二本抜いてから、山賊共が隠れている場所に迷う事なく斬り込んだ。
 山賊共は自分達の存在がバレているとは思っていなかったのだろう。いきなり斬り込んできたリョータに驚きまくりの狼狽えまくりで、碌な反撃もできずに次々と討ち取られていった。
 刃と刃がぶつかり合う金属音と悲鳴が交錯し、茂みの中から飛んできた血飛沫が街道を赤く染める。
 数分もすると生き残っているのは五人だけになっていた。
 その五人も手足の腱を斬られていて、全く身動きができないでいる。勿論、レイチェル達に人殺しを経験させるために生かしておいただけだ。

「レイチェル、ネイリー、パウチ、ニーナ、マジェリカ。止どめを刺せ。躊躇うなよ。躊躇えば躊躇う程にりにくくなるからな。可哀想だと思うなら、さっさと殺してやれ。それが優しさってものだからな。れ」

 五人は顔を引き攣らせながら、震える手で山賊に止どめを刺した。
 山賊がピクリとも動かなくなったので死んだのだろうと分かった瞬間、レイチェル達は我慢できずに盛大に吐いた。胃の中が空っぽになるくらいに吐いた。
 リョータは一人一人に水筒を渡して、

「どうだ。これが人を殺すという事だ。普段相手にしている魔物とは全く違うだろう?」

 レイチェル達は震えながら頷いた。

「お前達がこの先、上のランクを目指すのなら必ずこういう事をしなければならない。そうじゃないと一生Dランクか、いってもCランク止まりだ。上を目指すのなら慣れろとは言わないが、覚悟を決めておけ。覚悟をしてるのとそうじゃないのとでは全然違ってくるからな。分かったか?」
「「「「「はい!!」」」」」

 レイチェル達の顔色はまだ悪いが、それでもしっかりとした返事だった。
 帝都までの二十日間でどこまで鍛えられるか。
 そう。今回はレイチェル達に多くの対人戦を経験させて鍛えるための護衛依頼なのだから。
 これはギルマスのバルドとの間に交わされた秘密の依頼なのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

七億円当たったので異世界買ってみた!

コンビニ
ファンタジー
 三十四歳、独身、家電量販店勤務の平凡な俺。  ある日、スポーツくじで7億円を当てた──と思ったら、突如現れた“自称・神様”に言われた。 「異世界を買ってみないか?」  そんなわけで購入した異世界は、荒れ果てて疫病まみれ、赤字経営まっしぐら。  でも天使の助けを借りて、街づくり・人材スカウト・ダンジョン建設に挑む日々が始まった。  一方、現実世界でもスローライフと東北の田舎に引っ越してみたが、近所の小学生に絡まれたり、ドタバタに巻き込まれていく。  異世界と現実を往復しながら、癒やされて、ときどき婚活。 チートはないけど、地に足つけたスローライフ(たまに労働)を始めます。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。 魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。 十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。 俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。 モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

処理中です...