『ハズレ』召喚者『氣功術師』ののんびり異世界旅行!!

メガネの助

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帝都までの道中〜5〜。

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 リョータ達はライラック=ベルツ=マルティナット=リーマス侯爵の屋敷の前にやって来た。
 門番兵にライラック卿宛てにコーネリア辺境伯の第二夫人レミリア様からの手紙を預かっていると伝えると、門番兵の一人が屋敷に走っていき、リョータ達は門前で待たされた。
 すると執事らしいのがやって来て、屋敷の中に通してくれた。

「旦那様。お客様をお連れ致しました」
「入ってくれ」

 応接室に入ると、ライラック卿がソファーに腰かけていた。

「やあ、君達が手紙を持って来てくれたんだね。有り難う」
「こちらが手紙です」

 ライラック卿は手紙を受け取ると、裏に返して封蝋の家紋がコーネリア辺境伯家の物である事を確認してから、ペーパーナイフで封蝋を切った。
 手紙を読みながらチラチラとリョータ達の事を見ている。
 多分、リル達の正体が何であるのかが書いてあるのだろう。

「成る程ね。良く分かったよ。それで、今のところ困っている事はあるかな?」
「困っている事ですか。そうですねぇ…ありますねぇ」
「どんな事かな?」

 ライラック卿の顔が少し引き攣った。

「ヒュドラの討伐依頼が出されている事をご存知ですか?」
「ヒュドラの?いや、初耳だな」
「そうですか。では、その討伐依頼の報酬が大金貨五枚なのは?」

 ライラック卿は遠慮気味に笑った。

「ヒュドラの討伐報酬が大金貨五枚?誰だね、そんな馬鹿な依頼をしたのは?」

 そんな馬鹿な事があるものかと笑っている。
 ヒュドラの討伐と言えば領軍を総動員してもかなりの被害が出るような事案なので、それの討伐報酬か大金貨五枚なんて有り得ないのだ。最低でも白金貨一枚は出さないとどれだけ実力のある冒険者パーティーでも引き受けてくれないだろう。だから、有り得ないと笑ったのだ。
 だが、その依頼者がまさか、

「次男のビルディーゴ様です」

 と言われたので、体が固まった。

「ビ、ビルディーゴ…が…?本当に…?」
「はい」
「あ、あ、あの大馬鹿者めがっ!!」

 リョータは激怒するライラック卿に追い討ちをかける。

「その討伐対象がヒュドラだったらまだ良かったんですけどねぇ」
「ん?ヒュドラじゃなかったのかい?」
「はい。ヒュドラの上位種のヒュドラードの変異種であるナインヘッド・ヒュドラードだったんですよ」

 ナインヘッド・ヒュドラード。
 それは最早、天災とも言うべき魔獣であり、領軍どころか国軍や近衛騎士団、宮廷魔法師団を総動員しなければならない事案である。
 ライラック卿の顔からは血の気が失せて、紙のように真っ白になっていた。

「どうしますか?」
「き、君達なら…君達なら何とかできるのではないのか?報酬は言い値で構わないから討伐に向かってくれないだろうか。
頼む、頼みます!」

 テーブルに両手をついて頭を下げて懇願するライラック卿を見て、怒りに燃えていた心が少しは落ち着きをみせた。

「既に討伐済みですので、頭を上げて下さい」
「な、何と!既に…そうか、そうだったのか…では、報酬の支払いを「お待ちを」なんだい?」
「報酬はライラック卿ではなく、次男のビルディーゴ様から頂戴致しますので」
「ビルディーゴに?いや、しかし、あいつに支払い能力など…まさか、他にも何かあるのかい?」

 察しが良いと言うべきだろう。

「確かにナインヘッド・ヒュドラードを討伐したとは申しましたが、それが一体だけとは申しておりません」
「と言うと…複数いたと?」
「はい。親子揃った三体でした」
「–––ッ––ァ–ァ"––ァ––!!??」

 もう言葉にならないくらいに怒ったのだろう。額に太い青筋を浮かべてブルブルと体を震わせている。
 何かを察したのだろう。執事がそっと部屋から出ていき、数分後には小太りの少年の首根っこを掴んで引き摺って戻ってきた。
 多分、その少年がビルディーゴなのだろう。

「ベルム!僕は父上の子だぞ!幾らなんでも無礼だろう!筆頭執事とは言え不敬が過ぎる!不敬罪で斬、ぶごぉっ!!」

 最後まで言わせずに、ライラック卿がビルディーゴの前歯が何本か折れるくらい思いっきり殴り飛ばした。

「こんの大馬鹿者がぁっ!!貴様は自分が何をしたのか分かっているのか!!」
「ぢ、ぢぢゔえ?」
「ヒュドラ」
「ッッッ!!??」

 ヒュドラと聞いてビルディーゴの体がビクッと震えた。

「ヒュドラ。ヒュドラード。ナインヘッド・ヒュドラード…貴様はギルドに嘘の依頼をだしたな」
「な、何の事を「黙れ!」ヒィッ!」
「貴様がナインヘッド・ヒュドラードをただのヒュドラと偽って討伐依頼を出した事は分かっている!それもたったの大金貨五枚などと言う有り得ないくらいに馬鹿げた報酬でな!!そんな端た金で誰が依頼を受けると思っているんだ!!それもナインヘッド・ヒュドラードなど、国が総力を挙げても討伐できるかどうかという魔獣なのだぞ!?そればかりか、それを私にも報告しないでいたとは…貴様は我が領地ばかりか帝国をも滅ぼしかけたのだぞ!分かっているのか!?」

 ビルディーゴは恐怖で震えていた。
 領地と帝国を滅ぼしかけたと言われて初めて自分が何をしたのかが分かったのだろう。
 震える体でその場で土下座した。
 何も言えない。
 ただただその場に平伏すしかできなかった。
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