28 / 43
スラム街のボスとの話し合い。
しおりを挟む
リョータ達を恐喝しようとしたスラム街に住む50人近い不良冒険者達を衛兵隊に突き出した翌日、リョータ達は北区にあるスラム街のボスと対談の場を設けていた。
ボスの名前はレリックと言い、64歳の老人だった。
しかし、長年スラム街のボスをしてきただけあって、64歳とは思えない鋭い目付きをしている。
「ウチの若い者が迷惑をかけてすまなかったのぅ」
「ん~、別に実害は無かったから別にいいんですけどね?スラム街の住人にはプライドって物は無いんですか?あんなチンケな恐喝ばっかりしてると、『所詮はスラムの住人だな』って言われちゃいますよ?」
「ははは。耳が痛いな。そういう事は絶対にするなと普段から厳しく言い聞かせているんじゃがな…馬鹿な事をしてくれたものじゃよ」
「まあ、真面目に冒険者をやってれば食っていく事には困らないはずなんですけどね働いてなかったんですか?」
「いやいや。いつもはきちんと働いているんじゃがのぅ。ここ暫くは仕事にあぶれていたらしくてのぅ」
「仕事にあぶれた?何ですか、それは?仕事にあぶれる事なんて絶対にあり得ないでしょう」
「絶対に?それはどういう事かの?」
「どうもこうも、言葉のとおりですよ。ギルドには常設依頼があるんだから、仕事にあぶれるわけが無いんですよ」
「常設依頼?何じゃそれは?」
「何だと聞かれても…常設依頼というのはですね、薬草採取やスライムやゴブリンの討伐など、態々依頼を出さなくても需要のある依頼の事を常設依頼と言うんです」
「それは報酬は出るのかね?」
「勿論ですよ。まあ、常設依頼なんで、報酬の額はしれてますけど、それでもその日の生活費くらいなら簡単に稼げるんです。それなのに仕事にあぶれただなんて」
「つまり、今回捕まった者達は仕事を選んだと?」
「みたいですねぇ。ったく。Dランクが選り好みしてんじゃねえよって話しですよ」
レリック爺さんは溜め息をついて、リョータ達に深々と頭を下げた。
「迷惑をかけて本当に申し訳なかった。これからは徹底的に言い聞かせておくので、捕まった奴らの減刑嘆願を頼む。いや、頼みます」
今回みたいな未遂犯罪であれば、被害者が加害者の減刑を求めればそのとおりの処分になるので、レリック爺さんが頭を下げたのだ。
捕まった奴らにも家族がいるので、このままだと食べていけずに餓死するか奴隷落ちするかのどちらかになってしまうらしい。
リョータはアイツらには一片の情も感じなかったが、その家族は別だ。
「分かったよ。仕方ない。減刑を求めるよ。そんでもって、だ。これはアイツらが釈放されるまでの繋ぎだ」
リョータは大銀貨100枚が入った革袋を置いた。
「これだけあれば、生活費の足しにはなるだろう。大事に使えよ?」
施しではない。
純粋な好意だと分かったのだろう。
レリック爺さんは、
「有り難う。助かるよ」
と言って、素直に受け取った。
ボスの名前はレリックと言い、64歳の老人だった。
しかし、長年スラム街のボスをしてきただけあって、64歳とは思えない鋭い目付きをしている。
「ウチの若い者が迷惑をかけてすまなかったのぅ」
「ん~、別に実害は無かったから別にいいんですけどね?スラム街の住人にはプライドって物は無いんですか?あんなチンケな恐喝ばっかりしてると、『所詮はスラムの住人だな』って言われちゃいますよ?」
「ははは。耳が痛いな。そういう事は絶対にするなと普段から厳しく言い聞かせているんじゃがな…馬鹿な事をしてくれたものじゃよ」
「まあ、真面目に冒険者をやってれば食っていく事には困らないはずなんですけどね働いてなかったんですか?」
「いやいや。いつもはきちんと働いているんじゃがのぅ。ここ暫くは仕事にあぶれていたらしくてのぅ」
「仕事にあぶれた?何ですか、それは?仕事にあぶれる事なんて絶対にあり得ないでしょう」
「絶対に?それはどういう事かの?」
「どうもこうも、言葉のとおりですよ。ギルドには常設依頼があるんだから、仕事にあぶれるわけが無いんですよ」
「常設依頼?何じゃそれは?」
「何だと聞かれても…常設依頼というのはですね、薬草採取やスライムやゴブリンの討伐など、態々依頼を出さなくても需要のある依頼の事を常設依頼と言うんです」
「それは報酬は出るのかね?」
「勿論ですよ。まあ、常設依頼なんで、報酬の額はしれてますけど、それでもその日の生活費くらいなら簡単に稼げるんです。それなのに仕事にあぶれただなんて」
「つまり、今回捕まった者達は仕事を選んだと?」
「みたいですねぇ。ったく。Dランクが選り好みしてんじゃねえよって話しですよ」
レリック爺さんは溜め息をついて、リョータ達に深々と頭を下げた。
「迷惑をかけて本当に申し訳なかった。これからは徹底的に言い聞かせておくので、捕まった奴らの減刑嘆願を頼む。いや、頼みます」
今回みたいな未遂犯罪であれば、被害者が加害者の減刑を求めればそのとおりの処分になるので、レリック爺さんが頭を下げたのだ。
捕まった奴らにも家族がいるので、このままだと食べていけずに餓死するか奴隷落ちするかのどちらかになってしまうらしい。
リョータはアイツらには一片の情も感じなかったが、その家族は別だ。
「分かったよ。仕方ない。減刑を求めるよ。そんでもって、だ。これはアイツらが釈放されるまでの繋ぎだ」
リョータは大銀貨100枚が入った革袋を置いた。
「これだけあれば、生活費の足しにはなるだろう。大事に使えよ?」
施しではない。
純粋な好意だと分かったのだろう。
レリック爺さんは、
「有り難う。助かるよ」
と言って、素直に受け取った。
73
あなたにおすすめの小説
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~
TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ!
東京五輪応援します!
色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!
召喚失敗から始まる異世界生活
思惟岳
ファンタジー
庭付き一戸建て住宅ごと召喚されたせいで、召喚に失敗。いったん、天界に転送されたジュンは、これからどうしたいかと神に問われた。
「なろう」さまにも、以前、投稿させていただいたお話です。
ペンネームもタイトルも違うし、かなり書き直したので、別のお話のようなものですけれど。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる