『ハズレ』召喚者『氣功術師』ののんびり異世界旅行!!

メガネの助

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謁見する日がやっと決まりました。

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 帝都に来てから三十日が過ぎた頃になってやっと皇帝陛下との謁見の日取りが決まったとの報せがライラック侯爵邸に届いた。
 先代当主のグランファーザ様立ち合いのもと、使者から伝えられたのだ。
 そこで何故こんなに遅れたのかと訊ねたら、

「それがその…陛下を含めた閣僚の皆様方が貴方様方への対応をどうすれば良いのかと会議に会議を重ねまして…まず通行門での衛兵隊の不始末の責任をどうするのかから始まりまして、それに対する貴方様方にどうやって謝罪すれば良いのか等々を話し合っていらっしゃったので、このようにお待たせする事に…申し訳ございません」

 という回答が返ってきた。

「あ~…成る程ですね。で、謁見の日はいつですか?」
「明後日となりました」
「明後日ですか。分かりました。それではラノック隊長さんに宜しくお伝え下さい。ご苦労様でした」

 金貨五枚を入れた革袋を使者さんの前に置くと、使者さんは別の意味で驚いていた。

「な、な、な、何故、私が…その、ラノック隊長の部下だと…?」

 そう。
 この使者さんは隠密部隊の隊員で、ラノック隊長の部下の人なのだが、何故それが分かったのかと驚いているのだ。
 リョータ達はクスクスと笑った。
 何で分かったのかもないもんだ。

「血の臭いが染み付いてるんですよ。いや、正確には死臭かな?とにかく隠そうとしても隠せないくらいに撒き散らしてるんですよ。ああ、安心してください。多分、俺達以外に気付く奴は滅多にいないでしょうからね」

 リョータがニコッと笑って、引き攣った顔の使者さんが帰るのを見送った。
 それにしても明後日か。
 礼服はどうしたものか…。
 う~ん、う~んと悩んでいたら、

「お兄にちゃん。クロハチちゃんの糸で作ったお洋服じゃダメなの?」
「クロハチの?そうか、それがあったか!偉いぞティア!良く気が付いた!」

 クロハチとは魔境の森に住む蜘蛛のモンスターのグレートガーディアンスパイダーの事で、牙や爪にはドラゴンすらも殺せる程の猛毒があるが、吐き出す糸は大陸中でも屈指の超絶高級品として扱われ、ハンカチ1枚が大金貨4枚で売られているのだ。
 リョータ達はグレートガーディアンスパイダーの糸を大好物のジャガ芋と交換して、大量の糸と衣服を手に入れていたのだ。
 これなら謁見用の礼服は大丈夫だ。
 後は謁見の日を待つだけだ。
 そういえば謁見の時には献上品?挨拶用の品物を用意したほうが良いのかな?
 その辺をグランファーザ様にお伺いすると、そこまで凝った物を用意する必要はないだろうけど、それなりの物は持っていったほうが良いとの事だったので、それならアレにしようと決めた。
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