レンガの家

秋臣

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ジレンマ

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「昨日はありがとな、凛、早く迎えに行ったらすごく喜んでたよ」
「そっか、それはなにより」
「ダイヤは箱だけ見せて、くまのぬいぐるみ渡したらうさぎと一緒にベッドに連れ込んでたw」
「ほら、俺の見立てに間違い無いんだよ」
「気遣わなくていいんだぞ」
「気なんか遣ってねえよ、凛ちゃん喜ばせたいだけ」
「お前、意外と子ども好きな」
「嫌いではない」

「そんじゃ、誰を好きになったんだ?」

え?
はんちゃんがにやついた顔で俺を見てる。
「話ってそれ?」
「そう」
「俺、好きな人いるって言ったっけ?」
「いや、聞いてない」
「なんでわかんのよ」
「深影、あからさまに顔つき変わるんだよ。わかってねえの?」
「そうなの?」
マジか。
「で、今度は誰よ?」

「陽南の彼氏」
「お前、またやったのか!?」
呆れた顔ではんちゃんがぼやく。
「またっていうけど、前の二人はあっちがその気になっただけだろ?陽南のこと大事に出来ない奴を炙り出すのが俺の役目だ。
あんな奴ら陽南のそばに置いておけない」
「都合のいい言い訳だな」
「言い訳じゃないって」
「結果的にそれで陽南ちゃん泣かせてたら意味ないだろ?」
「それは悪いと思ってるけど、そんな奴ら認められない」
「言いたいことはわかるけどやり方があるだろ?」
「それはそうかもしれない」

「そんで?今度はマジっぽいのか?」
「うん」
「はああ…やっぱりか…なんとなくそんな気がしたんだよなあ、今までと顔つきが違うから」
「陽南には申し訳ないと思ってる。
でも惚れた」
「マジで?」

事の経緯をはんちゃんに話した。

「深影、思いっきり振られてんじゃん」
「そう」
「随分はっきり言われたなあ」
「そこがいい」
「お前、ドMか?」
「いや、違う。
全然勝ち目ないのなんてわかってんだよ。陽南のこと、こいつなら任せられるって思えるんだよ。
それくらい陽南のことしか見えてないし、俺のことなんなら嫌いっていうのもちゃんと伝わってんのよ。
でも消えないんだよ、腹ん中にあるもんが。
燻ってたのがどんどん大きくなってく。
自分でも止め方がわからない」

「お前とは10年以上の付き合いになるけど、こんな深影見るの初めてかも」
「最初は拒否られてるのが悔しくて意地になってるのかと思ったんだけど、違う。
愛されてる陽南が羨ましくて、俺の方を少しでも見てくれねえかなってちょっかい出しちゃって、余計嫌がられてる。
自分でもよくわからないんだよ、どうしたらいいのかわからない」

「それって手に入れにくいから欲しいって思ってるだけじゃねえの?」
「そんなんじゃない」
「レア物持ってる奴が羨ましくて、でも自分ではなかなか自引き出来ないから、持ってる奴から奪ってやる、みたいな」
「そんなんじゃない…」
「恋してる自分に恋してるとか」
「それはちょっとあるかも…」
「ふはっ!お前正直だなw」
「はんちゃんに嘘ついても意味ないじゃん、すぐバレるし」
「確かにw」

「ただ、これ以上嫌われたくないって思ってる。好きになってもらえなくても嫌われたくない」
「近づきたいのに近づくと嫌われるのか、ジレンマだな」
「結構きつくて参ってる」
「きついな」
「でも、そいつのことを好きだって思ってる自分が嫌いじゃないんだよ」
「ほう」
「体ん中にある炎が熱いけどあったかくてさ、それが心地良くてたまんない」
「やっぱドMじゃん」
「違うって」
「わかってるよw両手を上げて、好きな人できて良かったなとは言ってやれないけど、自分が納得するところまで行ってみれば?」
「いいのかな」
「だって止められないんだろ?」
「うん」
「陽南ちゃんには絶縁されるかもしれないけどな」
「それ一番きつい…」
「だな」
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