レンガの家

秋臣

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結果

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合格発表は有給を取った母さんとパソコンで確認することにした。
「自分の部屋で一人で確認してもいいのよ」
と言ってくれたが、ここまで何も言わずに見守ってくれていたので、俺が一緒に見ようと誘った。
「落ちたら少しだけ部屋に籠っていい?」
と母さんに言うと、
「好きなだけ籠りなさい」
と笑ってくれた。
父さんは仕事だが、結果をすぐに知らせろと朝からずっとLINEやら電話が来て騒がしい。

時間になる。
ここをクリックすれば結果が表示される。
なかなかクリックできない。
そんな俺に母さんは何も言わないが、父さんがさっきから
「まだか?まだか?」
とうるさい。
あまりのうるささに母さんがキレて
「少し黙ってなさい!」
と雷を落としてスマホの電源を切り、家電の受話器も外した。
「あーうるさいったら!せいせいした!」

そんな母さんに笑ってしまった。
少し楽になる。
よし、いくぞ!とクリックする。
母さんが手を握って祈ってる。

『合格』

母さんが俺に飛びつく。
嘘、受かった?マジで?
母さんが泣いてる。
「やったわね!」
「うん、ありがとう」
抱き合って喜ぶ。
母さんは、
「おじいちゃんとおばあちゃんに連絡してあげて」
そう俺に言って、自分は父さんに連絡する。
母さんのスマホから父さんの絶叫が聞こえる。
母さんが、
「鼓膜が破れるじゃないの!」
と文句言いつつ、父さんと喜んでる。

俺はじいちゃんに連絡する。
「じいちゃん、ばあちゃん、合格したよ!」
「やったなあ、壮祐!」
「おめでとうね、壮祐」
二人ともも喜んでくれてる。

あと学校にも連絡入れて、あとは…

陽南だ。

部屋に戻って陽南に電話する。

「もしもし?陽南?」
「壮祐くん、結果出たの?」
「うん」
「ちょっと待ってね、落ち着かせるから待って…一人でいると怖くなるからBothにいるの。お兄ちゃんとはんちゃんもいるの」
ふっ
「伝えていいか?」
「うん」
「合格したよ」
「本当?本当に?おめでとう!すごい!
お兄ちゃん!はんちゃん!合格したって!」
スマホの向こうから、うおおおーっ!
と言う野太い雄叫びが聞こえる。
陽南がスピーカーに切り替える。
「壮祐くん、やったなあ」
この声は輝哉さんだ。
「おめでとう!うちで陽南ちゃんと一緒に合格祝いやろうな」
嬉しい。
「ありがとうございます、嬉しいです」

ううううう……
ずっと後ろで呻き声が聞こえる。
輝哉さんと陽南が笑ってる。
「お兄ちゃん、さっきからずっと泣いてるよ」
「ほら、深影!おめでとうって言ってやれ」

「おべでど…ズズッ」

泣いて喜んでくれているのに笑ってしまう。
「深影さん、ありがとうございます」
「今度会ったらキスしていい?」
「ダメですw」

「陽南?」
「ん?」
「ごめん、スピーカー切ってもらってもいい?」
「うん」
陽南が普通の通話に切り替える。
「陽南、会いたい。少しでもいいから会いたい」
「うん」
「今から陽南の家の近くの公園に行く」
「うん、私も戻るね」
「待ってる」
「うん」

陽南に会いたい。


「陽南!?壮祐くんと会う気だろ!
俺も行く!」
「お前は店があるだろ、ダメだ」
「やだあーっ!陽南だけずるい!」
「ずるいじゃねえよ、仕事しろ!」
「やだあ!」
「はんちゃん、お兄ちゃん止めててね」
「任せろ」
「やだあ!」


陽南を公園で待つ。
早く会いたい、陽南に会いたい。

「壮祐くん!」
「陽南!」

陽南が俺を見つけて駆け寄る。
そのままの勢いで飛びついてきた。

「陽南」
「おめでとう!壮祐くん」

陽南を抱きしめる。
やっと、やっと会えた。
キスしたい。
唇を重ねようとすると
「ダメ!」
と手で防御される。
「どうして?」
「ここ近所だし、明るすぎ」
確かにw
「ごめん、抑えられなかった」
「今はここではダメ」
「どこならいいの?」
「ここ隠れるところないから、もう少し暗くなったらね」
ふっ
かわいい。

「陽南、会いたかった」
「私も」
抱き合ってると目立つから手を繋ぐ。

「陽南」
「ん?」
「俺とデートしてくれる?」
「今してるよ」
「こんなんじゃ足りないから、俺に一日陽南を貸して」
「うん」
「いつにする?」
「いつにしようか?」

ふふっ
「なに?なんで笑うの?」
「こうやってデートの予定立てるの久しぶりだなって」
「そうだな、なんか新鮮だ」
「本当だね」

少しだけ日が落ちかけてる気がする。
時間は午後2時。
「まだかな」
「まだだよ、2時だよw」
「もういいんじゃない?」
「全然時間経ってないよw」
「もう暗くなったよ」
「なってないからw」

「陽南、目閉じて」
「え?」
陽南が素直に目を閉じる。
「ほら、暗いでしょ?」
「ふっ…壮祐くんの必死が出たw」
「必死です」
あははは!笑っちゃうからやめて!w」

もうダメ、かわいくてもう限界。

ちゅっ

「あ!こら!」
しちゃった。
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