レンガの家

秋臣

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卒業

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合格発表が終わるとすぐ卒業式が来てしまった。
いつかの約束どおり、卒業式の後、学校近くの公園にみんなで行こうとしたら、誰かが、
「校庭でやらね?最後だし」
と言い出し、先生に直談判したら、
「今日だけな」
と笑って許可してくれた。
高校最後の缶蹴りが始まった。
他のクラスの奴らや、保護者の人たちが笑いながら見ている。
みんなガチでやっている、本気の缶蹴りだ。
楽しい!めっちゃ楽しい!
毎度鬼役が、
「早く代われよ!」
とブチ切れるまでがセットになってて、こんなの笑うしかない。
でもそれがだんだん寂しさを増してきて、
誰かがポツリと
「もうこうやってみんなと遊べないんだな…」
なんて言うもんだから、一人二人と泣き出し、収拾つかない缶蹴りになっていった。
最後の鬼役が、
「終わりっ!」
と缶を蹴り上げる。
みんなで笑い、泣きながらハイタッチ。
この高校に来てよかった、このクラスで終われてよかった。
二十歳になったらまたみんなで缶蹴りしようと約束して別れる。
絶対だからな、約束だぞ。


それからは忙しかった。
週末、また両親と仙台に行き、仮押さえしていたマンションを正式に契約した。
その後、ホームセンターや家具屋、家電量販店を周り、生活に必要なものを揃えた。
大物は大体揃ったから、あと細かいものは必要に応じて買うことにした。
とてもじゃないが週末二日だけでは終わらない。
陽南とできるだけ一緒にいたいから入学式ギリギリに来ればいいかと思ったけど、もう少し早めに来ないと生活が整わないなと思った。
一人で暮らすってこういうことなんだなと早くも思い知った。


陽南とは時間が取れる限り会っている。
やることたくさんあって忙しいけど、今まで会えなかったから、その反動がすごい。
だってもうすぐ離れなきゃならないんだから、会い溜めしておかないと陽南が足りない。短い時間しか会えてないから、ちゃんとデートしたい。
それもいつにするかやっと決まった。
楽しみだ。

本当はこっちを発つ前に陽南のご両親に会っておきたかったし、俺の両親に陽南を紹介したかったが、そんな時間取れそうもない。
陽南にそのことを相談した。
「陽南のこと、ちゃんとしたい」
と伝えたら喜んでくれて、
「GWはこっちに来る?その時に壮祐くんのこと紹介したい。少し先の話だけどそう伝えてもいい?」
と言ってくれた。


輝哉さんと深影さんから、
「うちの店で合格祝いするから都合のいい日教えて」
と合格を報告した日に連絡が来た。
本当に祝ってくれるそうだ。
陽南とも話して今度の金曜日に決まった。
夜に店を貸切にしてくれるって。
「そんな大袈裟にしなくていいです!」
と断ったけど、
「祝える人がいるってこっちも幸せなんだから、そうさせてくれないか?」
と輝哉さんに言われた。
申し訳ないなと恐縮してたら、
「いいのいいの!はんちゃんが飲みたいだけだから、なーんも気にしないで来ればいいよ。大好きな俺にも会いたいでしょ?」
と深影さんがいつもの調子で言うもんだから、一気に気が抜けた。
「大人に甘えとけ」
とも言ってた。
陽南と甘えさせてもらおう。
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