恋人ごっこはおしまい

秋臣

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事の始まり

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「ん……あ……」
「あ……や……んんっ」
ぐちゅっぐちゅっ……
卑猥な音が俺を煽る、堪らない……
何度この声、この体に溺れたことだろう。

「無理……あ……あ……」
「……どうして欲しい? こう?」
ぬる~とゆっくり浅いところまで抜きかける。
「やだ……そこ……あ……」
この辺りが気持ちいいことは知ってる。
そしてまたゆっくりと奥へ奥へと突く。
「んんっ……イく……!」
「いいよ、イッて」
腰を上げ更に奥へ……
ああ……こっちがイきそう……
禄郎ろくろう……ん……あっ……」
「くっ……」

ベッドの上で荒い呼吸のままグダる二人。

今何時だ? 22時?
そろそろ帰るか。
京佐けいすけ、シャワー貸して」
「ん……帰んの? 明日早いのか?」
「いや、2限から」
「泊まる?」
「いい、着替えたいし」
「ふうん」
「寝てていいよ。シャワー借りたら適当に帰るから」
「好きに使ってくれ」
「お言葉に甘えて。おやすみハニー」
「ハニー言うな」


俺と京佐は同じ大学の2年。
入学時のガイダンスの時にたまたま隣に座ってて、途中でわからなくなった京佐が俺に、
「言ってることわかる? わかるなら教えてもらえない?」
と聞いてきたのだが、全く同じことを今まさに聞こうと思ったと答えると京佐は爆笑して、
「そこ! 静かにしなさい!」
と怒られてた。
こいつ、ウケる。
その時から仲良くしている。


年が明け、あとは学年末試験を受ければ春休みという頃、京佐と学食にいたらよく一緒にいる友達の曽川そがわに、
「お前らにこれ貸してやるよ」
とDVDを渡された。
「何これ?」
「呪いのビデオ的なやつ?」
怪しむ俺と京佐に曽川は答える。
「えっぐいゲイビ」
「興味ねえよ」
「そう言うなよ、すげえぞ」
「どうすげえのよ?」
と京佐が聞くと、曽川はふふんとドヤり、
「男同士で一緒に観ると感化されてヤってしまうらしい」
「マジで?」
「マジ。俺も危うく依田よだとヤバい雰囲気になったからな」
「マジ?w」
依田も曽川同様、俺たちの友達だ。
「キスしちゃったもん」
「ぎゃははははは!」
「ばらしていいのかよw」
「笑い話にしないとシャレにならねえだろ?」
「確かにw」
「俺と依田みたいな奴らが何人かいるんだよ。お前らも試してみろよ」
「やだよ」
「俺もやだ」
俺と京佐が拒否ると曽川はにやりと笑い、
「ヤっちゃいそうだもんなあ、お前らw」
と煽られた。
カチン。
負けず嫌いの俺らはまんまと罠にはまった。
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