3 / 52
噂のゲイビ
しおりを挟む
噂のゲイビはやばかった。
曽川の言ってたことがよくわかった。
しょっちゅう来ている京佐の部屋で、
「曽川のやつ大袈裟だよな」
「男同士でセックスとかそんなことあるわけねえわ」
「だな」
俺たちは口々に言い合い、散々曽川をバカにしながら『恋人ごっこ』というタイトルのDVDを再生した。
なんだ、これ……
男同士なんて絶対無いわと思ってたのに、
俺いけるかも……いや、ヤりてえ……と洗脳されていく。
一人で観るべきだった。
隣に京佐がいる。
これはまずい。
京佐をチラリと見ると、京佐も俺の様子を伺ってる。
……
……
「やばくね?」
「こっち見んな、やばい」
「……勃ってる?」
「……勃ってる」
京佐の股間に手を伸ばす。
「バカッ! 何触ってんだよ!」
「京佐も触ってみろよ」
「はあ? やだよ」
京佐の手を取って俺のを触らせる。
「お前……ガチガチじゃんよ」
「京佐もだろ?」
互いに服の上から握ったまま目が合う。
やばいって……これじゃ曽川たちと一緒じゃん……
どちらともなく体が動いた。
次の瞬間キスしてた。
男だとか京佐だとか関係なかった。
猛烈に昂り、止められなかった。
唇が触れ、感触に狂わされる。
舌も自然に絡む。
夢中でキスする俺たちはもっと先に進みたくて、服を脱いだ。
パンツは踏みとどまった。
京佐の程よく締まった体が艶かしくて、思わず胸に手が伸びる。
それは京佐も同じだったが、俺の指が先に京佐の乳首に触れるとピクンと反応する。
やはいって……マジでやばい……
そんな反応すんなよ……
堪らずクリッと摘むと、
「あ……」
となんとも甘い声を漏らす。
男でも感じるのか?
吸い寄せられるように乳首に吸い付くと、
「やめ……あ……あ……」
と体を震わせる京佐。
お前、やばい……
このゲイビのすごいのは、レクチャーDVDのようになっているところだ。
しかも出演している男優二人が、モデルか芸能人かというくらいのイケメン。
曽川が、
「このゲイビは女にも売れてるんだってよ」
と言っていたがよくわかる。
いちいち、これをああしてこうして……と教えるのではない。
見て学べ、これに尽きる。
ここであれこれ言われたら絶対冷める。
だからずっと説明など入らず、ただ見せてくれてるだけの方が没入できる。
煽って昂らせて、その気にさせた視聴者をどうすればいいのか、なんともいえない絶妙な時間配分で次にどうすればいいのか誘ってくれるのだ。
謂わば男同士の営みにおける教科書及び授業のようだ。
曽川に2枚組のDVDを渡された。
そして、
「2枚目に突入したら終わりだと思え」
と言っていた。
「終わりってどういうことだ?」
「新しい扉を開いたってことだよ」
鈍い京佐が聞き返す。
「新しい扉って?」
「そりゃあお前、男同士のよ」
「絶対ないから逆に安心して観られる。自信ある」
京佐がきっぱりと言い切る。
それは俺も同意だ。
「だろ? そう思うだろ?
俺と依田もそうだったんだよ。
なーのーにー! キスしちゃったもん」
「ないわー絶対ないわー」
「1枚目でやばいと思ったらやめた方がいい。2枚目は観るな。体験者の忠告」
「曽川たちは観たの?」
「1枚目でも相当やばいとは思ったんだよ。でも止められないんだよ、2枚目が観たくて堪んねえの。中毒者ってこんな感じなのかなって思ったよ。で、観ちゃったら……」
「依田とキスしてたと」
「そういうこと」
「そんなことあるか?」
俺は半信半疑だ。
「依田の理性が勝ってくれたからキスで止まったけど、あいつまで負けてたら最後までヤッてたと思う」
「ということは曽川は理性に勝てなかったのか?」
「完全敗北。抗う気なんてまっっったくなかったね」
「あはははは!」
「うははは!」
「いや、観れば俺の気持ちがわかるから」
俺と京佐は、
「絶対ならない」
と口を揃えて断言した。
曽川の言ってたことがよくわかった。
しょっちゅう来ている京佐の部屋で、
「曽川のやつ大袈裟だよな」
「男同士でセックスとかそんなことあるわけねえわ」
「だな」
俺たちは口々に言い合い、散々曽川をバカにしながら『恋人ごっこ』というタイトルのDVDを再生した。
なんだ、これ……
男同士なんて絶対無いわと思ってたのに、
俺いけるかも……いや、ヤりてえ……と洗脳されていく。
一人で観るべきだった。
隣に京佐がいる。
これはまずい。
京佐をチラリと見ると、京佐も俺の様子を伺ってる。
……
……
「やばくね?」
「こっち見んな、やばい」
「……勃ってる?」
「……勃ってる」
京佐の股間に手を伸ばす。
「バカッ! 何触ってんだよ!」
「京佐も触ってみろよ」
「はあ? やだよ」
京佐の手を取って俺のを触らせる。
「お前……ガチガチじゃんよ」
「京佐もだろ?」
互いに服の上から握ったまま目が合う。
やばいって……これじゃ曽川たちと一緒じゃん……
どちらともなく体が動いた。
次の瞬間キスしてた。
男だとか京佐だとか関係なかった。
猛烈に昂り、止められなかった。
唇が触れ、感触に狂わされる。
舌も自然に絡む。
夢中でキスする俺たちはもっと先に進みたくて、服を脱いだ。
パンツは踏みとどまった。
京佐の程よく締まった体が艶かしくて、思わず胸に手が伸びる。
それは京佐も同じだったが、俺の指が先に京佐の乳首に触れるとピクンと反応する。
やはいって……マジでやばい……
そんな反応すんなよ……
堪らずクリッと摘むと、
「あ……」
となんとも甘い声を漏らす。
男でも感じるのか?
吸い寄せられるように乳首に吸い付くと、
「やめ……あ……あ……」
と体を震わせる京佐。
お前、やばい……
このゲイビのすごいのは、レクチャーDVDのようになっているところだ。
しかも出演している男優二人が、モデルか芸能人かというくらいのイケメン。
曽川が、
「このゲイビは女にも売れてるんだってよ」
と言っていたがよくわかる。
いちいち、これをああしてこうして……と教えるのではない。
見て学べ、これに尽きる。
ここであれこれ言われたら絶対冷める。
だからずっと説明など入らず、ただ見せてくれてるだけの方が没入できる。
煽って昂らせて、その気にさせた視聴者をどうすればいいのか、なんともいえない絶妙な時間配分で次にどうすればいいのか誘ってくれるのだ。
謂わば男同士の営みにおける教科書及び授業のようだ。
曽川に2枚組のDVDを渡された。
そして、
「2枚目に突入したら終わりだと思え」
と言っていた。
「終わりってどういうことだ?」
「新しい扉を開いたってことだよ」
鈍い京佐が聞き返す。
「新しい扉って?」
「そりゃあお前、男同士のよ」
「絶対ないから逆に安心して観られる。自信ある」
京佐がきっぱりと言い切る。
それは俺も同意だ。
「だろ? そう思うだろ?
俺と依田もそうだったんだよ。
なーのーにー! キスしちゃったもん」
「ないわー絶対ないわー」
「1枚目でやばいと思ったらやめた方がいい。2枚目は観るな。体験者の忠告」
「曽川たちは観たの?」
「1枚目でも相当やばいとは思ったんだよ。でも止められないんだよ、2枚目が観たくて堪んねえの。中毒者ってこんな感じなのかなって思ったよ。で、観ちゃったら……」
「依田とキスしてたと」
「そういうこと」
「そんなことあるか?」
俺は半信半疑だ。
「依田の理性が勝ってくれたからキスで止まったけど、あいつまで負けてたら最後までヤッてたと思う」
「ということは曽川は理性に勝てなかったのか?」
「完全敗北。抗う気なんてまっっったくなかったね」
「あはははは!」
「うははは!」
「いや、観れば俺の気持ちがわかるから」
俺と京佐は、
「絶対ならない」
と口を揃えて断言した。
20
あなたにおすすめの小説
真剣な恋はノンケバツイチ経理課長と。
イワイケイ
BL
社会人BL。36歳×41歳なので、年齢高めです。
元遊び人と真面目なおっさんという、割とオーソドックス(?)なお話です。個人的には書いてて楽しかった記憶あり。
かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
裏の顔は、甘い低音ボイスとセクシーな歌声の、人気歌い手「フユ」。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度だが、情が深く人をよく見ている。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
下っ端公務員の俺は派遣のαに恋してる【完結済】
tii
BL
市役所勤めの野々宮は、どこにでもいる平凡なβ。
仕事は無難、恋愛は停滞、毎夜の癒しはゲームとストゼロだけ。
そんな日々に現れたのは、派遣職員として配属された青年――朝比奈。
背が高く、音大卒で、いっけん冷たそうに見えるが、
話せば驚くほど穏やかで優しい。
ただひとつ、彼は自己紹介のときに言った。
「僕、αなんです。迷惑をかけるかもしれませんが……」
軽く流されたその言葉が、
野々宮の中でじわりと残り続ける。
残業続きの夜、偶然居酒屋でふたりきりになり――
その指先が触れた瞬間、世界が音を立てて軋んだ。
「……野々宮さんって、本当にβなんですか?」
揺らぎ始めた日常、
“立場”と“本能”の境界が、静かに崩れていく。
☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。
【第13回BL小説大賞】にエントリーさせて頂きました!
まこxゆず の応援 ぜひよろしくお願いします!
☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。
オトナとコドモ
すずかけあおい
BL
心配性な社会人×ぼんやりした高校生
歩きスマホで転びそうになった都亜は、美形男性に助けられる。それから男性――聡樹との交流がはじまった。大人な聡樹は、都亜をいつも子ども扱いして……。
〔攻め〕鐘江 聡樹(30)
〔受け〕伴内 都亜(16)
◆性描写を含むページには*をつけています。
◆外部サイトでも同作品を投稿しています。
この変態、規格外につき。
perari
BL
俺と坂本瑞生は、犬猿の仲だ。
理由は山ほどある。
高校三年間、俺が勝ち取るはずだった“校内一のイケメン”の称号を、あいつがかっさらっていった。
身長も俺より一回り高くて、しかも――
俺が三年間片想いしていた女子に、坂本が告白しやがったんだ!
……でも、一番許せないのは大学に入ってからのことだ。
ある日、ふとした拍子に気づいてしまった。
坂本瑞生は、俺の“アレ”を使って……あんなことをしていたなんて!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる