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依田の兄貴
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最初のSAに到着。
トイレ休憩と軽く腹に入れておく。
ここでルートの確認。
予想より空いている。
「この先どうなるかわからないけど静岡に入ったら渋滞は避けられないと思う」
と依田は言う。
「いくつかルートはあるけど、渋滞してもわかりやすい方がいいと思うんだよね」
「そうだな」
「車に慣れてないしね」
「じゃあそうしよう」
ひたすら南下するルートに決まった。
さて……
2回目のくじ引き。
「待った!」
依田が待ったをかけた。
「提案」
提案?
「ここから先、高速から有料道路に入るんだけど、そこを通過するまでしばらくは俺が運転するよ、道わかるし」
確かに不慣れな車で不慣れな高速や有料道路はハードル高い。
「そこから先を交代制にしようぜ」
「依田坊っちゃん、神っ!」
「坊っちゃんか神かどっちかにしろよ。
どっちでもないけど」
ということで3人でくじを引く。
「せーの!」
決まった。
2が俺。
3と4は曽川と京佐だ。
「おしっ!」
曽川強いな。
それじゃSAを出発!
天気は快晴、めちゃくちゃ暑い。
しかしエアコン効いてて車内は快適。
後部座席では曽川と京佐が完全にグダってる。
さてと、俺は2の役目を果たしますかね。
「依田坊っちゃんは別荘よく行くのか?」
「坊っちゃんはやめろ。連れて行かれるが正しいけど、よく行くかな」
「へえ」
「登山もそうだけど、危ないから一人では行くながうちのルールになっててさ。親父は友達と行く時もあるけど都合つかないと俺らが連れて行かれる」
「俺ら?」
「そう、俺と兄貴」
「兄貴いるんだ」
「一つ上、大学4年。この車は兄貴と共有してる車」
「初めて知ったわ」
「依田、自分の話あんましねえもん」
後ろから曽川が割って入る。
「聞かれれば答えるけど、自分から兄弟とか家族の話あんまりしないだろ?」
「まあ、そうか」
「兄貴は同じ大学?」
「違う、音大」
「マジ?」
「楽団に入るのが夢っていうか目標でチェロやってる」
「チェロってどんな楽器だっけ?」
曽川が聞く。
「バイオリンがでかくなったみたいなやつ。立てて演奏する」
「あーあれか」
本当にわかってるのか?
「楽団入れそうなのか? システムがよくわからないけど」
「俺も詳しくは知らないけど、厳しいらしいよ。音大卒業生の数人しか入れないとは聞いてる」
「みんな狙ってるもんな」
「そうだよね」
京佐もそのリアルな厳しさに驚いている。
「とにかくオーディション受けるしかないんだよね、実力で勝負するしかない」
「そっか」
「依田の家はみんな実力者ってわけか、すげえわ」
曽川が素直な感想を漏らす。
本当にそうだよな。
「まあ、兄貴はまだ楽団決まってないし、親父もその辺りの厳しさはわかってるから、卒業してしばらくは、畑違いだけど親父の事務所手伝いながらやればいいって言ってるよ」
「俺も雇ってくれねえか」
曽川がぼやく。
「就活はこれからだろ? 諦めるの早くね?」
「なんかさあ、焦ってはいるけど正直何やりたいのかわかんないんだよね」
「わかるぞ、曽川、俺もだよ」
「うん、わかる。俺もわかんない」
俺も京佐も同意する。
「だからさ、兄貴見てると厳しい道だけど目標が明確だとブレないじゃん? すげえなって思うよ」
依田がしみじみと言う。
本当それな。
依田による依田の兄貴は車を全然使わないらしい。
なんで? こんないい車、俺なら乗りまくるぞ。
「乗るには乗るけど滅多に乗らないよ」
「なんで?」
「楽器がでかいから運搬するのにはいいんだけど、事故したら自分も楽器も壊れるから嫌だってさ」
「でもそれって、車じゃなくて楽器持って公共交通機関使っても同じことだよな?
事故に遭ったら、結果はどっちも同じじゃね?」
と俺が言うと、
「そうなんだよ、兄貴はそういうところ抜けてんの」
「ウケるw」
「面白い兄貴だな」
「面白いっていうか楽器のことしか考えてないんだよね」
「それだけ好きなものがあるの羨ましいよ。依田のお兄さんの演奏聴いてみたい。どこかで聴きたりできるのかな」
と京佐が言うと、
「言えばいくらでもやってくれるよ。
人前で演奏するの大好きだから」
「マジ? 聴きたい」
「今度うち来れば?」
「行く!」
京佐より先に曽川が食いついた。
「お前、興味あるのかよ。チェロもわからないくせに」
「依田の家に行きたい」
「そっちw」
曽川の好奇心は小学生と同じだな。
トイレ休憩と軽く腹に入れておく。
ここでルートの確認。
予想より空いている。
「この先どうなるかわからないけど静岡に入ったら渋滞は避けられないと思う」
と依田は言う。
「いくつかルートはあるけど、渋滞してもわかりやすい方がいいと思うんだよね」
「そうだな」
「車に慣れてないしね」
「じゃあそうしよう」
ひたすら南下するルートに決まった。
さて……
2回目のくじ引き。
「待った!」
依田が待ったをかけた。
「提案」
提案?
「ここから先、高速から有料道路に入るんだけど、そこを通過するまでしばらくは俺が運転するよ、道わかるし」
確かに不慣れな車で不慣れな高速や有料道路はハードル高い。
「そこから先を交代制にしようぜ」
「依田坊っちゃん、神っ!」
「坊っちゃんか神かどっちかにしろよ。
どっちでもないけど」
ということで3人でくじを引く。
「せーの!」
決まった。
2が俺。
3と4は曽川と京佐だ。
「おしっ!」
曽川強いな。
それじゃSAを出発!
天気は快晴、めちゃくちゃ暑い。
しかしエアコン効いてて車内は快適。
後部座席では曽川と京佐が完全にグダってる。
さてと、俺は2の役目を果たしますかね。
「依田坊っちゃんは別荘よく行くのか?」
「坊っちゃんはやめろ。連れて行かれるが正しいけど、よく行くかな」
「へえ」
「登山もそうだけど、危ないから一人では行くながうちのルールになっててさ。親父は友達と行く時もあるけど都合つかないと俺らが連れて行かれる」
「俺ら?」
「そう、俺と兄貴」
「兄貴いるんだ」
「一つ上、大学4年。この車は兄貴と共有してる車」
「初めて知ったわ」
「依田、自分の話あんましねえもん」
後ろから曽川が割って入る。
「聞かれれば答えるけど、自分から兄弟とか家族の話あんまりしないだろ?」
「まあ、そうか」
「兄貴は同じ大学?」
「違う、音大」
「マジ?」
「楽団に入るのが夢っていうか目標でチェロやってる」
「チェロってどんな楽器だっけ?」
曽川が聞く。
「バイオリンがでかくなったみたいなやつ。立てて演奏する」
「あーあれか」
本当にわかってるのか?
「楽団入れそうなのか? システムがよくわからないけど」
「俺も詳しくは知らないけど、厳しいらしいよ。音大卒業生の数人しか入れないとは聞いてる」
「みんな狙ってるもんな」
「そうだよね」
京佐もそのリアルな厳しさに驚いている。
「とにかくオーディション受けるしかないんだよね、実力で勝負するしかない」
「そっか」
「依田の家はみんな実力者ってわけか、すげえわ」
曽川が素直な感想を漏らす。
本当にそうだよな。
「まあ、兄貴はまだ楽団決まってないし、親父もその辺りの厳しさはわかってるから、卒業してしばらくは、畑違いだけど親父の事務所手伝いながらやればいいって言ってるよ」
「俺も雇ってくれねえか」
曽川がぼやく。
「就活はこれからだろ? 諦めるの早くね?」
「なんかさあ、焦ってはいるけど正直何やりたいのかわかんないんだよね」
「わかるぞ、曽川、俺もだよ」
「うん、わかる。俺もわかんない」
俺も京佐も同意する。
「だからさ、兄貴見てると厳しい道だけど目標が明確だとブレないじゃん? すげえなって思うよ」
依田がしみじみと言う。
本当それな。
依田による依田の兄貴は車を全然使わないらしい。
なんで? こんないい車、俺なら乗りまくるぞ。
「乗るには乗るけど滅多に乗らないよ」
「なんで?」
「楽器がでかいから運搬するのにはいいんだけど、事故したら自分も楽器も壊れるから嫌だってさ」
「でもそれって、車じゃなくて楽器持って公共交通機関使っても同じことだよな?
事故に遭ったら、結果はどっちも同じじゃね?」
と俺が言うと、
「そうなんだよ、兄貴はそういうところ抜けてんの」
「ウケるw」
「面白い兄貴だな」
「面白いっていうか楽器のことしか考えてないんだよね」
「それだけ好きなものがあるの羨ましいよ。依田のお兄さんの演奏聴いてみたい。どこかで聴きたりできるのかな」
と京佐が言うと、
「言えばいくらでもやってくれるよ。
人前で演奏するの大好きだから」
「マジ? 聴きたい」
「今度うち来れば?」
「行く!」
京佐より先に曽川が食いついた。
「お前、興味あるのかよ。チェロもわからないくせに」
「依田の家に行きたい」
「そっちw」
曽川の好奇心は小学生と同じだな。
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