32 / 52
夏のアバンチュール
しおりを挟む
京佐に放っておかれた女の子に魔の手が伸びる。
「あっち揉めてるみたいだから俺たちと遊びない?」
どこからともなく現れた、日焼けしたチャラい兄ちゃん二人組が俺らから獲物をかっさらう。
弱肉強食、ここはビーチというサバンナなのだ。ハイエナはいくらでもいる。
「ええ~どうしようかなあ~」
「あっちの子は君の連れ?」
「うん」
「2対2でちょうどいいじゃん」
「花音~、こっち~」
「あの子、花音ちゃんっていうの? かわいいね」
「君は?」
「私は瑠奈」
「瑠奈ちゃんもかわいい~」
「やだあ~」
キャッキャッ言いながらチャラい兄ちゃん二人組と女の子たちはお尻をフリフリしながら楽しそうに去っていった。
依田に頭を叩かれる。
「いってえ!」
「俺と京佐、持ってけただろ? 何してくれてんだよ!」
「お前らだけずるいぞ!」
曽川が俺に加勢する。
「ずるいじゃないだろ? そういうもんだろうが」
京佐も不服そうに依田と結託する。
「女を口説けないようなお子ちゃまはおとなしくアイスでも食ってろ」
と依田に言われて曽川と醜い罵り合いをしてる。
依田と京佐は自分たち二人ならいけると睨み、別行動を宣言するも、邪魔したい俺と、おこぼれに預かりたい曽川に阻まれなかなか上手くいかない。
ちょっと年上のお姉様方やかわいいギャルたちも二人には反応するものの、こちらが4人とわかると、スッと引いてしまい、
「お兄さんたち素敵だけど……ね?」
「人数合わないと……」
とやんわりきっぱり拒否られて撃沈。
そんな中、上手くいかなくて拗ねた曽川が一人でアイスを食べていると、筋肉質な体を綺麗に日焼けさせてるお兄さんが、
「一人なの?」
と曽川の隣に座り話しかける。
すっかり不貞腐れた曽川は、
「モテなくて拗ねてる」
とそのお兄さんに愚痴ると、
「こんなにかわいいのに?」
と曽川の肩を抱く。
思わずアイスを落とす曽川。
おほっ!
これは面白展開だ。
俺たちはその様子をにやにやと見守る。
「あ~アイス落ちちゃったね。手がベタベタだよ……」
そう言ってそのお兄さんはアイスのついた曽川の指先をペロッと舐める。
「ひいっ!」
「ん? 敏感なの?」
日に焼け始めた曽川のうなじにキスする。
ぞわわ……
曽川が身震いすると、
「本当にかわいいね……あっち行こうか……」
と曽川の手を取り歩き出す。
「ちょっ……待って……! お前ら助けろっ!」
「ごゆっくり~」
俺たちは手を振って曽川を見送る。
「待て! やだっ! ちょっと、待ってってばっ!」
筋肉お兄さんは俺たちにウインクし、曽川は人気の無い岩場の方へ連れて行かれた。
俺たちはそれを見て腹が捩れるほど笑った。
10分ほど経ち、そろそろ助けに行くかと言っていたら曽川がぐったりした顔とキスマをつけて帰ってきた。
「おめでとうw」
「おめでとうじゃねえわ……」
「夏のアバンチュールはどうでした?w」
「マジでヤられるかと思った……」
「ぎゃはははは!」
「よく逃げられたな」
「……こんなところじゃ恥ずかしい……って言ったら、『君はムードを大切にするんだね、かわいいよ』って車に連れ込まれそうになったから、逃げるなら今しかねえと思ってダッシュして逃げてきた」
「こんなところじゃ恥ずかしいwww」
「そうでも言わなきゃ危ねえだろうがよっ!」
「確かにw」
「まあ、ちょっとだけ流されそうになったけど……」
「ふくくくくw」
「意志弱すぎw」
「夏の開放感ってやべえな……」
曽川がしみじみ言うから、俺たちは笑いが止まらなかった。
「あっち揉めてるみたいだから俺たちと遊びない?」
どこからともなく現れた、日焼けしたチャラい兄ちゃん二人組が俺らから獲物をかっさらう。
弱肉強食、ここはビーチというサバンナなのだ。ハイエナはいくらでもいる。
「ええ~どうしようかなあ~」
「あっちの子は君の連れ?」
「うん」
「2対2でちょうどいいじゃん」
「花音~、こっち~」
「あの子、花音ちゃんっていうの? かわいいね」
「君は?」
「私は瑠奈」
「瑠奈ちゃんもかわいい~」
「やだあ~」
キャッキャッ言いながらチャラい兄ちゃん二人組と女の子たちはお尻をフリフリしながら楽しそうに去っていった。
依田に頭を叩かれる。
「いってえ!」
「俺と京佐、持ってけただろ? 何してくれてんだよ!」
「お前らだけずるいぞ!」
曽川が俺に加勢する。
「ずるいじゃないだろ? そういうもんだろうが」
京佐も不服そうに依田と結託する。
「女を口説けないようなお子ちゃまはおとなしくアイスでも食ってろ」
と依田に言われて曽川と醜い罵り合いをしてる。
依田と京佐は自分たち二人ならいけると睨み、別行動を宣言するも、邪魔したい俺と、おこぼれに預かりたい曽川に阻まれなかなか上手くいかない。
ちょっと年上のお姉様方やかわいいギャルたちも二人には反応するものの、こちらが4人とわかると、スッと引いてしまい、
「お兄さんたち素敵だけど……ね?」
「人数合わないと……」
とやんわりきっぱり拒否られて撃沈。
そんな中、上手くいかなくて拗ねた曽川が一人でアイスを食べていると、筋肉質な体を綺麗に日焼けさせてるお兄さんが、
「一人なの?」
と曽川の隣に座り話しかける。
すっかり不貞腐れた曽川は、
「モテなくて拗ねてる」
とそのお兄さんに愚痴ると、
「こんなにかわいいのに?」
と曽川の肩を抱く。
思わずアイスを落とす曽川。
おほっ!
これは面白展開だ。
俺たちはその様子をにやにやと見守る。
「あ~アイス落ちちゃったね。手がベタベタだよ……」
そう言ってそのお兄さんはアイスのついた曽川の指先をペロッと舐める。
「ひいっ!」
「ん? 敏感なの?」
日に焼け始めた曽川のうなじにキスする。
ぞわわ……
曽川が身震いすると、
「本当にかわいいね……あっち行こうか……」
と曽川の手を取り歩き出す。
「ちょっ……待って……! お前ら助けろっ!」
「ごゆっくり~」
俺たちは手を振って曽川を見送る。
「待て! やだっ! ちょっと、待ってってばっ!」
筋肉お兄さんは俺たちにウインクし、曽川は人気の無い岩場の方へ連れて行かれた。
俺たちはそれを見て腹が捩れるほど笑った。
10分ほど経ち、そろそろ助けに行くかと言っていたら曽川がぐったりした顔とキスマをつけて帰ってきた。
「おめでとうw」
「おめでとうじゃねえわ……」
「夏のアバンチュールはどうでした?w」
「マジでヤられるかと思った……」
「ぎゃはははは!」
「よく逃げられたな」
「……こんなところじゃ恥ずかしい……って言ったら、『君はムードを大切にするんだね、かわいいよ』って車に連れ込まれそうになったから、逃げるなら今しかねえと思ってダッシュして逃げてきた」
「こんなところじゃ恥ずかしいwww」
「そうでも言わなきゃ危ねえだろうがよっ!」
「確かにw」
「まあ、ちょっとだけ流されそうになったけど……」
「ふくくくくw」
「意志弱すぎw」
「夏の開放感ってやべえな……」
曽川がしみじみ言うから、俺たちは笑いが止まらなかった。
10
あなたにおすすめの小説
真剣な恋はノンケバツイチ経理課長と。
イワイケイ
BL
社会人BL。36歳×41歳なので、年齢高めです。
元遊び人と真面目なおっさんという、割とオーソドックス(?)なお話です。個人的には書いてて楽しかった記憶あり。
かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
裏の顔は、甘い低音ボイスとセクシーな歌声の、人気歌い手「フユ」。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度だが、情が深く人をよく見ている。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
下っ端公務員の俺は派遣のαに恋してる【完結済】
tii
BL
市役所勤めの野々宮は、どこにでもいる平凡なβ。
仕事は無難、恋愛は停滞、毎夜の癒しはゲームとストゼロだけ。
そんな日々に現れたのは、派遣職員として配属された青年――朝比奈。
背が高く、音大卒で、いっけん冷たそうに見えるが、
話せば驚くほど穏やかで優しい。
ただひとつ、彼は自己紹介のときに言った。
「僕、αなんです。迷惑をかけるかもしれませんが……」
軽く流されたその言葉が、
野々宮の中でじわりと残り続ける。
残業続きの夜、偶然居酒屋でふたりきりになり――
その指先が触れた瞬間、世界が音を立てて軋んだ。
「……野々宮さんって、本当にβなんですか?」
揺らぎ始めた日常、
“立場”と“本能”の境界が、静かに崩れていく。
☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。
【第13回BL小説大賞】にエントリーさせて頂きました!
まこxゆず の応援 ぜひよろしくお願いします!
☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。
オトナとコドモ
すずかけあおい
BL
心配性な社会人×ぼんやりした高校生
歩きスマホで転びそうになった都亜は、美形男性に助けられる。それから男性――聡樹との交流がはじまった。大人な聡樹は、都亜をいつも子ども扱いして……。
〔攻め〕鐘江 聡樹(30)
〔受け〕伴内 都亜(16)
◆性描写を含むページには*をつけています。
◆外部サイトでも同作品を投稿しています。
この変態、規格外につき。
perari
BL
俺と坂本瑞生は、犬猿の仲だ。
理由は山ほどある。
高校三年間、俺が勝ち取るはずだった“校内一のイケメン”の称号を、あいつがかっさらっていった。
身長も俺より一回り高くて、しかも――
俺が三年間片想いしていた女子に、坂本が告白しやがったんだ!
……でも、一番許せないのは大学に入ってからのことだ。
ある日、ふとした拍子に気づいてしまった。
坂本瑞生は、俺の“アレ”を使って……あんなことをしていたなんて!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる