恋人ごっこはおしまい

秋臣

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昼寝と掃除とスイカ割り

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別荘に戻り、リビングの大窓を開け放つ。
暑いが風が通る。
曽川が2階の寝室から掛け布団を持って来た。
「寝ようぜ」
朝早かったし、昼飯も食っていい具合に眠くなってきてる。

掛け布団を敷いて雑魚寝。
体のどこかが布団からはみ出てるし、何もかけてないけど風が心地よくて気持ちいい。

「ちゃんと昼寝なんて何年ぶりだろ?」
「寝落ちはよくするけどな」
「やばい……もう寝そう……」
京佐がほぼ落ちかけてる。
「一応15時くらいにアラームセットしとく」
依田が気を利かせる。
「そんなに寝ねえよw昼寝だぞ?」
「だよなw」

口数が減ったと思ったら全員落ちた。


ピピッピピッ……


なんか鳴ってる……
薄らぼんやり、天井のシーリングファンと目が合う。
しばらくくるくる回る羽根を見ていた。
どこかで風鈴の音がする。

ああ、そうか、ここは依田の別荘か……
やっと思い出した。
俺の足の上に乗ってるのは誰だ? 
依田だ。
暑いからどける。

ピピッピピッピピッピピッ……

うるせえな!
どこで鳴ってんだよ、音の場所を探す。
のそのそ這い出て探すが見つからない。

ピピッピピッピピッピピッ……

「うるさいっ!」
ひっくり返って寝ていた京佐が突然起きて、アラームにブチ切れる。
ソファーに転がってるスマホから鳴ってるのを確認して止める。

「うるさいなあ」
とブツブツ言いながら元の位置に戻ってまた寝る。
すやあ……

すやあ……じゃねえわ! 起きろ!

全員叩き起こす。
「おい、お前ら起きろ!」
すやすや。
「掃除すんだろ?」
すやすやすぴー

どいつもこいつもなんでこんなに寝起きが悪いんだ。
曽川まで。
まあ、曽川は毎日少し早く起きて朝食作ってくれたりしてるから眠いのはわかる。
だから曽川は優しく起こす。
でも……依田、京佐、お前らは別だ。

キッチンの冷蔵庫に入っていたキンキンに冷えた水でタオルを濡らして絞る。

濡れタオルを曽川の額に乗せる。
「ふえ……?」
目がしばしばしてる。
「起きたか?」
「うー……起きた……めっちゃ寝た~これ気持ちいい……」
濡れタオルをすりすりしてる。
「暑いもんな」
「ありがと、起きる……」
曽川覚醒。

次は京佐と依田だ。
こいつらはここへ来てからずっと俺に起こされている。
依田には大変世話になっているが、京佐と共に寝起きの悪さはなんとかしてもらいたい。
ということで遠慮なくゲシゲシ蹴っ飛ばす。
「おい、起きろよ。掃除すっぞ」
起きねえ。
「俺に任せろ」
曽川が濡れタオルを依田と京佐の顔をピタリと乗せる。
ほんの数秒で、
「っっ! 息できねえ!」
と二人が起きた。
最初からこうすればよかった。


昼寝から起き、リビング・ダイニングと寝室に掃除機をかけ、窓を拭く。
全員でやるから早い。
その後、1階と2階の風呂場とトイレを俺と京佐が担当し、キッチンは曽川、依田は洗車して掃除は完了。

「ありがとな、助かったよ」
「いやいや、使わせていただいたのでこれくらいは当然です」
と俺たち3人は頭を下げる。
「ちょっと早いけどおじちゃんとこ行く?」
「そうだな」
「スイカ持って行こうぜ」
「本当は海でやりたいけど、後始末大変だもんな」
「それな」
「防波堤でやろうぜw」
京佐がバカなことを言い出す。
「落ちるわww」


波野さんの食堂に来るのはここに来てから何度目だろう。
最後の夜も当然のように来てしまった。
「こんばんはー!」
俺たちが挨拶すると、
「やっと来たか、腹減ってるだろ、座れ」
と厨房から波野さんが声をかける。
「おじちゃん、これ冷やしていい? あとでスイカ割りする」
依田が業務用のでかい冷蔵庫にスイカを押し込む。
「お前らが小さい時にはよくやってたけどなあ、やらなくなったよな」
「うん。久しぶりにやりたい」
「まあ、飯食え」
「うん」

相変わらず舟形には刺身がてんこ盛り。
依田が釣った真鯛がメインだという。
鯛の頭がでかい。
おばさんも魚料理をたくさん運んでくる。
「美味しい魚たくさん食べていってね」
一人暮らしで料理もまともにしない俺や京佐にはハードル高くて魚料理は避けてしまうのでありがたい。
なにより美味いんだ。

「よし食うか」
「美味そう」
「食い尽くしてやる」
「だな」

それじゃ、いただきます!


美味い魚を堪能した後、少ししてから冷蔵庫で冷やしておいたスイカを取り出す。

「お前ら、今飯食ったばかりだろ?」
呆れ気味に波野さんが聞く。
「スイカは別腹」
そう依田が答えると、
「若えって怖えなあ」
「本当ねえ」
波野さんとおばさんが口々に言う。

食堂の前にシートを敷く。
「防波堤でやらないの?」
京佐が防波堤を指差すがお前本気でやろうとしてたのかよ、殺す気か?
お前、絶対誘導して海に落とす気だろ?

ギャーギャー騒いでたら近所の小学生や中学生が数人集まってきた。
「一緒にやるか?」
と曽川が声をかけると、
「やる!」
「やりたい!」
と喜んでる。
この人数で食えば余裕でスイカは片付くだろう。
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