23時に明かりを消して

秋臣

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おまけ

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歩夢が登山にハマった。

あんなに興味なさそうだったのに、一度歩夢と晃を登山サークルの新歓登山に無理矢理引っ張って行ったら、晃には、
「初心者でも比較的登りやすいって言ってたじゃん!広夢くんの嘘つき!」
とだいぶキレられた。
いやあ、初心者向けの山なんて存在しないと俺は思ってるけど、そうでもしないとなかなか新入生入ってきてくれないからね。

一方歩夢は、
「きついのが地味にジワジワくる」
と、わかるようなわからないような感想を言ったかと思うと目をキラキラさせて、
「登山楽しいかも!」
と目覚めた。
こちらへようこそ!

そんなことがあり、すっかり登山にハマった歩夢はことあるごとに俺に同行するようになり、サークル仲間とも仲良くなった。
面白くないのが晃だ。
せっかく進学しルームシェアという同棲を手に入れたのに休みの度に俺やサークル仲間と山へ行ってりゃ面白くないわな。

親元を離れ自分たちで生活する厳しさと向き合うことにも四苦八苦していて、特に料理は晃も歩夢も全くダメで外食やコンビニなどで凌いでいたが、金がかかりすぎると気づき、ここが生活の悩みの種でもあったらしい。
そこへ歩夢が登山に嵌まったからなおさら金がかかる。

暇を持て余し、金のない晃は料理スキルを手に入れるべく、自分の母親や俺たちの母さんを頼り、歩夢がいない休日に実家へ行き料理を教えてもらっていた。恵茉ちゃんも大好きなお兄ちゃんがちょくちょく帰ってくるので喜んでるらしい。

晃は思いの外筋が悪く、おばさんと母さんが二人して匙を投げたくなるほどの絶望的センスらしいのだが、熱意はあるので母親たちはここが勝負どころと腹を括り、包丁の持ち方から教え込むことにした。

「本当にこっちが泣きたくなるのよ。どうしたらああなるの?」
「恵茉の方がよっぽど上手いわよ」
と頭を抱える母親たちだが、
「歩夢に作ってびっくりさせる!」
と意気揚々としている晃に母性が大爆発し、花嫁を育てる母の如く甲斐甲斐しく教えていた。

絶望センスは半年以上かけてようやく人並みセンスまで上がり、なんとか自炊できるまでになった。
喜んだのは歩夢だ。
きっと晃の作ったものならなんだって喜んで食べるだろうが、自分に食べさせたいと母親たちに習っていたと知って昇天しかけていた。
時には失敗して落ち込む晃に歩夢は、
「なにが失敗なんだ?」
と全く意に介さず全て美味しそうに食べるから晃の向上心は爆上がり。更にスキルを高める相乗効果を生んだ。

「広夢くんも食べにきて」
と言われ、母さんたちから聞いていた絶望センスに戦々恐々としながらご馳走になると……美味い!
見た目は悪かったり、少し焦げたりはしてるが味は美味いのだ。
これは歩夢嬉しいだろうなあ。
「なあ、晃、これからは俺にも作ってくれよ」
すっかり料理に嵌まった晃は屈託なく、
「うん!広夢くんの部屋に行って作るから食べてね!」
よしよし。
「おい待て。兄貴の部屋に行く必要ないだろ?ここで食え」

チッ、気づくんじゃねえよ。
言っただろ?邪魔はしないが遠慮もしないって。
油断すんなよ。
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