35 / 41
久我の苦しみ
しおりを挟む
店に行くと久我はもう来ていた。
「柊!」
俺を見るなり駆け寄ろうとするのを槇が制する。
「ダメよ、それ以上近寄ったらこの席はなかったことにするわよ」
「……わかった」
渋々座り直す久我。
一つ空けて俺もカウンターに座る。
「久しぶりだな、柊」
「……うん」
「元気だったか? 心配してた」
「……うん」
「……」
「……」
久我が口火を切る。
「なんで俺の前からいなくなった? なんでY大に来なかった? 電話もLINEも何度も連絡しても繋がらなかった。今までどこにいたんだ? ずっとずっと探してた、柊に会いたくてずっと……」
「……」
今俺の前で泣いている久我は、高3のあのライブ帰り、初めてキスをし、俺が付き合うことを承諾して泣いていた久我だった。
「でももうそんなことどうでもいい。
柊が俺の目の前にいる、それだけでいい」
カウンターチェアから降りると久我は俺を抱きしめた。
ママも槇も止めなかった。
今までずっと……何年も……
「卒業おめでとう」
と言った日から俺は長い年月、久我を苦しめたことを知る。
「柊!」
俺を見るなり駆け寄ろうとするのを槇が制する。
「ダメよ、それ以上近寄ったらこの席はなかったことにするわよ」
「……わかった」
渋々座り直す久我。
一つ空けて俺もカウンターに座る。
「久しぶりだな、柊」
「……うん」
「元気だったか? 心配してた」
「……うん」
「……」
「……」
久我が口火を切る。
「なんで俺の前からいなくなった? なんでY大に来なかった? 電話もLINEも何度も連絡しても繋がらなかった。今までどこにいたんだ? ずっとずっと探してた、柊に会いたくてずっと……」
「……」
今俺の前で泣いている久我は、高3のあのライブ帰り、初めてキスをし、俺が付き合うことを承諾して泣いていた久我だった。
「でももうそんなことどうでもいい。
柊が俺の目の前にいる、それだけでいい」
カウンターチェアから降りると久我は俺を抱きしめた。
ママも槇も止めなかった。
今までずっと……何年も……
「卒業おめでとう」
と言った日から俺は長い年月、久我を苦しめたことを知る。
16
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた
こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果
SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。
そこで雪政がひらめいたのは
「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」
アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈
ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ!
※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる