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報復
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「久我、俺知ってたよ」
「……なにを?」
「久我が俺以外と寝てたこと」
「なんで……なんで柊が知ってる? お前なにも言わなかっただろ……」
「受験前、まだ進路に迷ってる頃かな。進路指導室から教室に戻る久我を見かけて、声をかけようと思ったら後輩とキスしてた。そのあと専科棟のトイレに二人で入るのも見た……」
久我の声が出てこない。
「久我が遊んでるって噂も聞いてた。実際ホテルに入るところ見てる」
「たとえ現場を見ていなくても抱かれればわかる。そういうのは体で、感覚でわかるんだ」
「……柊」
「ちょっとあんた!」
ママが久我に食ってかかりそうになっているのを槇さんが制止し、俺も、
「ママ、大丈夫だから」
と止める。
「後輩とキスしてるのを見た時、強がりじゃなくてショックはなかったんだ。
そうじゃなくて、俺の代わりがいるならそいつでいいだろって思ったんだよ。
俺じゃなくていいなら俺はいらないだろって。
それなのに久我はなにも変わらない。
変わらないどころか寧ろ以前より俺を溺愛、執着するようになったし、大事にするようになった。混乱したよ、全然久我がわからなくなった。俺をどうしたいんだ? って。
そのうち心が空っぽになって、そうか人形になればいいのかって気づいてそうすることにした。その方がなにも感じなくて良かったんだ。でもセックスは気持ちよかったからそれだけは人形になっても楽しんでたと思う」
「……柊」
「俺、他の大学を受けること薄々決めてたんだ。でもそれは久我に言わなかった。先生にも親にも口止めした。絶対に漏らさないでくれって頼んだ」
「……なんでそこまで……」
「合格して、家を出て、違う道に進む。これを一切久我に知らせなかった。
そして久我の前から消える、それが俺の報復だよ」
「電話もLINEもわざと繋がるようにしてた。
連絡手段を断ち切るなんて簡単だけど、大袈裟にされたら面倒だし、ギリギリのところで繋がる道を作ってた。繋がるのに繋がれない、そこが重要だった。
苦しめばいい、俺が苦しんだ分だけお前も苦しめ。そう思って計画通り進めた」
「俺、久我に言っただろ?
『卒業おめでとう』って。
あれは俺からの卒業って意味だよ」
久我のみならず、ママも槇も言葉を失っていた。
「……なにを?」
「久我が俺以外と寝てたこと」
「なんで……なんで柊が知ってる? お前なにも言わなかっただろ……」
「受験前、まだ進路に迷ってる頃かな。進路指導室から教室に戻る久我を見かけて、声をかけようと思ったら後輩とキスしてた。そのあと専科棟のトイレに二人で入るのも見た……」
久我の声が出てこない。
「久我が遊んでるって噂も聞いてた。実際ホテルに入るところ見てる」
「たとえ現場を見ていなくても抱かれればわかる。そういうのは体で、感覚でわかるんだ」
「……柊」
「ちょっとあんた!」
ママが久我に食ってかかりそうになっているのを槇さんが制止し、俺も、
「ママ、大丈夫だから」
と止める。
「後輩とキスしてるのを見た時、強がりじゃなくてショックはなかったんだ。
そうじゃなくて、俺の代わりがいるならそいつでいいだろって思ったんだよ。
俺じゃなくていいなら俺はいらないだろって。
それなのに久我はなにも変わらない。
変わらないどころか寧ろ以前より俺を溺愛、執着するようになったし、大事にするようになった。混乱したよ、全然久我がわからなくなった。俺をどうしたいんだ? って。
そのうち心が空っぽになって、そうか人形になればいいのかって気づいてそうすることにした。その方がなにも感じなくて良かったんだ。でもセックスは気持ちよかったからそれだけは人形になっても楽しんでたと思う」
「……柊」
「俺、他の大学を受けること薄々決めてたんだ。でもそれは久我に言わなかった。先生にも親にも口止めした。絶対に漏らさないでくれって頼んだ」
「……なんでそこまで……」
「合格して、家を出て、違う道に進む。これを一切久我に知らせなかった。
そして久我の前から消える、それが俺の報復だよ」
「電話もLINEもわざと繋がるようにしてた。
連絡手段を断ち切るなんて簡単だけど、大袈裟にされたら面倒だし、ギリギリのところで繋がる道を作ってた。繋がるのに繋がれない、そこが重要だった。
苦しめばいい、俺が苦しんだ分だけお前も苦しめ。そう思って計画通り進めた」
「俺、久我に言っただろ?
『卒業おめでとう』って。
あれは俺からの卒業って意味だよ」
久我のみならず、ママも槇も言葉を失っていた。
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