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想いの丈
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やっと久我が重い口を開いた。
「責めてくれたらよかった、浮気なんかするなって……いや、違う、俺にとっては浮気じゃなかったんだ。ただの好奇心だった。言い訳にしか聞こえないだろうけど、その度柊が大切だと痛感させられた。やっぱり俺には柊しかいない、そう実感出来ることが喜びだった。それだけだったんだ。他のやつのことなんて好きになってない、お前だけだ」
「俺、ショックじゃなかったって言ったけど、多分違う。傷ついたんだと思う。
なんで俺以外のやつを抱くんだ、なんで俺以外のやつを欲しがるんだ。俺だけ見てろ、俺だけの久我でいてくれって……久我がいなくなることが怖かった、怖くて仕方なかったんだ。それなら自分から離れて傷つくのを終わらせたかった。
この4年もの間、俺どこかでざまあみろって思ってた。苦しめって。
ちゃんと終わらせればよかったんだ、こんなに久我を何年も苦しめて、俺もやってること同じだよな。俺の方が責められて当然なんだ。
久我、ごめん、そんな言葉じゃ済まないだろうけど、苦しめてごめん」
「俺は今でも変わらない、なにを言っても信憑性ないかもしれないけど、あの頃となにも変わらないんだよ。柊が好きだ」
「真っ直ぐなところは変わらないんだな」
俺はそう言って笑った。
「柊……」
「俺さ、あの頃から久我のそういうところが好きなんだと思う。こんなに俺のこと大切に思ってくれる人いるんだって。
俺のことを探してるって人伝てに聞いた時、もう探さないで忘れてくれってずっと思ってた。あの苦しさを思い出したくなかったから。でもこんなに長い間探してくれてたんだな、ゲイバーを何年も渡り歩いてしらみ潰しに探すなんて正気の沙汰じゃない。
俺がゲイバーに通ってなかったら無駄になってたんだぞ」
「それでもいい。見つからなかったら他の方法でお前を探す」
「ストーカーかよ」
俺は笑う。
「ストーカーでも犯罪者でもなんでもいいんだ、そんなこと。お前を見つけるためだった、それだけだ。
柊、俺と一緒にいてくれないか?
もう二度と離れたくないし失いたくない」
「忘れられないっていうのは、忘れたくないってことでもあるけど、子どもの時の記憶は覚えておきたくて覚えてるものではないでしょ? ただの記憶の断片っていうのか。
俺のこともきっとそういうことなんだよ」
ママの啜り泣きが聞こえる。
「柊を思い出にしたくない、記憶の断片なんかじゃない」
「こんな計画的な報復する人間だぞ、俺は」
「柊は柊だろ?」
「久我を苦しめた」
「当然の報いだ」
「俺、好きな人がいる。俺の汚いところもずるいところも全部見て、嫌なところは嫌だと言ってくれる。全てなんか受け入れてもらえないけど、俺がそばにいたいんだ」
「この前の人か?」
「うん。ここに来る前に全部話してきた。
一緒に来てくれって頼んだけど拒否された。
君の問題だから自分で話をつけろって。
もう俺のことを待っててくれる保証なんてなにもない、終わっちゃったかもしれない。それでも俺、仁さんのところへ帰りたい」
「……確かめてこいよ」
「……うん、久我、探してくれてありがとう」
「連絡取るくらいは許してくれるか?」
「既読無視はやめるよ」
俺はママと槇さんに礼を言って店を後にした。
「責めてくれたらよかった、浮気なんかするなって……いや、違う、俺にとっては浮気じゃなかったんだ。ただの好奇心だった。言い訳にしか聞こえないだろうけど、その度柊が大切だと痛感させられた。やっぱり俺には柊しかいない、そう実感出来ることが喜びだった。それだけだったんだ。他のやつのことなんて好きになってない、お前だけだ」
「俺、ショックじゃなかったって言ったけど、多分違う。傷ついたんだと思う。
なんで俺以外のやつを抱くんだ、なんで俺以外のやつを欲しがるんだ。俺だけ見てろ、俺だけの久我でいてくれって……久我がいなくなることが怖かった、怖くて仕方なかったんだ。それなら自分から離れて傷つくのを終わらせたかった。
この4年もの間、俺どこかでざまあみろって思ってた。苦しめって。
ちゃんと終わらせればよかったんだ、こんなに久我を何年も苦しめて、俺もやってること同じだよな。俺の方が責められて当然なんだ。
久我、ごめん、そんな言葉じゃ済まないだろうけど、苦しめてごめん」
「俺は今でも変わらない、なにを言っても信憑性ないかもしれないけど、あの頃となにも変わらないんだよ。柊が好きだ」
「真っ直ぐなところは変わらないんだな」
俺はそう言って笑った。
「柊……」
「俺さ、あの頃から久我のそういうところが好きなんだと思う。こんなに俺のこと大切に思ってくれる人いるんだって。
俺のことを探してるって人伝てに聞いた時、もう探さないで忘れてくれってずっと思ってた。あの苦しさを思い出したくなかったから。でもこんなに長い間探してくれてたんだな、ゲイバーを何年も渡り歩いてしらみ潰しに探すなんて正気の沙汰じゃない。
俺がゲイバーに通ってなかったら無駄になってたんだぞ」
「それでもいい。見つからなかったら他の方法でお前を探す」
「ストーカーかよ」
俺は笑う。
「ストーカーでも犯罪者でもなんでもいいんだ、そんなこと。お前を見つけるためだった、それだけだ。
柊、俺と一緒にいてくれないか?
もう二度と離れたくないし失いたくない」
「忘れられないっていうのは、忘れたくないってことでもあるけど、子どもの時の記憶は覚えておきたくて覚えてるものではないでしょ? ただの記憶の断片っていうのか。
俺のこともきっとそういうことなんだよ」
ママの啜り泣きが聞こえる。
「柊を思い出にしたくない、記憶の断片なんかじゃない」
「こんな計画的な報復する人間だぞ、俺は」
「柊は柊だろ?」
「久我を苦しめた」
「当然の報いだ」
「俺、好きな人がいる。俺の汚いところもずるいところも全部見て、嫌なところは嫌だと言ってくれる。全てなんか受け入れてもらえないけど、俺がそばにいたいんだ」
「この前の人か?」
「うん。ここに来る前に全部話してきた。
一緒に来てくれって頼んだけど拒否された。
君の問題だから自分で話をつけろって。
もう俺のことを待っててくれる保証なんてなにもない、終わっちゃったかもしれない。それでも俺、仁さんのところへ帰りたい」
「……確かめてこいよ」
「……うん、久我、探してくれてありがとう」
「連絡取るくらいは許してくれるか?」
「既読無視はやめるよ」
俺はママと槇さんに礼を言って店を後にした。
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