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二人の部屋
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バイトが終わってからまさきさんの部屋を訪ねた。
いつもの部屋番号を押す。
「朝都くん、今開けるね」
オートロックが解除される。
部屋に来ない?と誘われたと言うことは、まだここに住んでいると言うことだよな?
当然美作さんと一緒にだよな…
部屋の前のインターホンを押そうとしたら、その前にドアが開いていた。
「どうぞ」
まさきさんがドアを開けて待っていた。
「だいぶ寒くなってきたね」
そう言って俺が持ち込んだスリッパを出す。
まだ捨ててなかったんだ。
勝手には捨てられないか、そうだよな。
リビングに通されると美作さんがいた。
いや、居て当然なんだよ、これで正解なんだよ、この部屋は。
だけど、一瞬胸がズキッとした。
「こんばんは、遅くにすみません」
そう言うと、
「いや、こちらこそ、先日はお恥ずかしいところをお見せしてしまって申し訳ない」
と真っ赤な顔で照れながら頭を下げる。
この人、絶対いい人だ。
なんとなくそう思った。
自分をよく見せようなんて思ってない。
心のままに動く人だ。
「あの、まさきさん、俺荷物持って帰りますね」
寝袋と食器とスリッパ、あとエプロンと歯ブラシと敏感肌用洗顔フォームと…
「え?なんで?」
「なんでって…」
思わずチラッと美作さんを見てしまった。
目が合った美作さんは、
「違うよ!違う!俺、何も言ってないよ!」
「人の部屋にあれこれ持ち込んですみませんでした」
「だから何も言ってないよ!」
言わなくてもわかるよ、邪魔だよね。
俺、デリカシー身に付いたんだ。
「朝都くん、ちょっと座ってもらえる?」
まさきさんがコーヒーが入ったマグカップを俺の前に置く。
そっか、このマグカップも持ち帰らなきゃ…
俺の斜向かいに二人が座る。
しっくりくる。
収まるところへ収まると違和感ないんだな。
「あのね、朝都くん」
「はい」
「荷物はこのままにしておいていいかな」
「え?」
どういうこと?
「あの、捨ててもらえますか?持ち帰れるものは持ち帰りますけど…」
「どうして捨てるの?」
「だって美作さん帰ってきたんだから…」
もう俺は必要ないでしょ?
最初から代わりにもなれなかったんだから…
二人が顔を見合わせて笑い出す。
俺、笑われるようなこと言ったか?
今、この状況はある意味惨めで滑稽だと思わなくもないが。
「朝都くん、この前話聞いてたよね?」
バレてる。
もう開き直れ。
「はい…」
美作さんが、
「めちゃくちゃ恥ずかしい…」
とローテーブルに突っ伏す。
「俺を置いて行った報いだ、甘んじて受けろ」
まさきさんが強気だ。
「はい…」
美作さんの方が年上なはずなのに、立場が逆転してて笑ってしまう。
「朝都くん、話聞いてもらってもいいかな?」
「話?」
「うん」
「わかりました」
「この前、永嗣…この彼が市長選に出馬するって言ったの聞こえた?」
「はい、びっくりしました」
「俺も驚いた。あれから数日後に永嗣の実家に行ったんだ。
俺のことを考えての出馬と言ってたから、きちんとご両親にご挨拶しておきたいと思って」
「はい、わかります」
「出馬となると仕事も辞めないとならない。
まだ辞表は出してないけど上司に打診はしていてね」
美作さんが補足する。
「そのことを含めて話し合ったんだ。
その上で改めて出馬するという決意を永嗣はしたんだ」
すごい、本当にすごいと思う。
いつもの部屋番号を押す。
「朝都くん、今開けるね」
オートロックが解除される。
部屋に来ない?と誘われたと言うことは、まだここに住んでいると言うことだよな?
当然美作さんと一緒にだよな…
部屋の前のインターホンを押そうとしたら、その前にドアが開いていた。
「どうぞ」
まさきさんがドアを開けて待っていた。
「だいぶ寒くなってきたね」
そう言って俺が持ち込んだスリッパを出す。
まだ捨ててなかったんだ。
勝手には捨てられないか、そうだよな。
リビングに通されると美作さんがいた。
いや、居て当然なんだよ、これで正解なんだよ、この部屋は。
だけど、一瞬胸がズキッとした。
「こんばんは、遅くにすみません」
そう言うと、
「いや、こちらこそ、先日はお恥ずかしいところをお見せしてしまって申し訳ない」
と真っ赤な顔で照れながら頭を下げる。
この人、絶対いい人だ。
なんとなくそう思った。
自分をよく見せようなんて思ってない。
心のままに動く人だ。
「あの、まさきさん、俺荷物持って帰りますね」
寝袋と食器とスリッパ、あとエプロンと歯ブラシと敏感肌用洗顔フォームと…
「え?なんで?」
「なんでって…」
思わずチラッと美作さんを見てしまった。
目が合った美作さんは、
「違うよ!違う!俺、何も言ってないよ!」
「人の部屋にあれこれ持ち込んですみませんでした」
「だから何も言ってないよ!」
言わなくてもわかるよ、邪魔だよね。
俺、デリカシー身に付いたんだ。
「朝都くん、ちょっと座ってもらえる?」
まさきさんがコーヒーが入ったマグカップを俺の前に置く。
そっか、このマグカップも持ち帰らなきゃ…
俺の斜向かいに二人が座る。
しっくりくる。
収まるところへ収まると違和感ないんだな。
「あのね、朝都くん」
「はい」
「荷物はこのままにしておいていいかな」
「え?」
どういうこと?
「あの、捨ててもらえますか?持ち帰れるものは持ち帰りますけど…」
「どうして捨てるの?」
「だって美作さん帰ってきたんだから…」
もう俺は必要ないでしょ?
最初から代わりにもなれなかったんだから…
二人が顔を見合わせて笑い出す。
俺、笑われるようなこと言ったか?
今、この状況はある意味惨めで滑稽だと思わなくもないが。
「朝都くん、この前話聞いてたよね?」
バレてる。
もう開き直れ。
「はい…」
美作さんが、
「めちゃくちゃ恥ずかしい…」
とローテーブルに突っ伏す。
「俺を置いて行った報いだ、甘んじて受けろ」
まさきさんが強気だ。
「はい…」
美作さんの方が年上なはずなのに、立場が逆転してて笑ってしまう。
「朝都くん、話聞いてもらってもいいかな?」
「話?」
「うん」
「わかりました」
「この前、永嗣…この彼が市長選に出馬するって言ったの聞こえた?」
「はい、びっくりしました」
「俺も驚いた。あれから数日後に永嗣の実家に行ったんだ。
俺のことを考えての出馬と言ってたから、きちんとご両親にご挨拶しておきたいと思って」
「はい、わかります」
「出馬となると仕事も辞めないとならない。
まだ辞表は出してないけど上司に打診はしていてね」
美作さんが補足する。
「そのことを含めて話し合ったんだ。
その上で改めて出馬するという決意を永嗣はしたんだ」
すごい、本当にすごいと思う。
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