もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!

ありぽん

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5巻

5-2

 僕とグッシーとの契約は、お兄ちゃんの契約を見てからにしよう。邪魔をしちゃうといけないから、僕はちょっとお兄ちゃんから離れます。
 お兄ちゃんの前に立つビッキー。ビッキーが頭を下げて、お兄ちゃんがビッキーの顔を両手で触りました。そしたらお兄ちゃんとビッキーの下に、『マホウジン』が出てきて、ポワッて光り始めます。

「ビッキー、僕と契約してください!」
『ピギャアァァァ!!』

 ビッキーが大きな声で鳴きました。
 模様がパアァァァッて光ってお兄ちゃん達を包みます。光が消えたら、今までよりもつやつやで、お顔もキリッとした感じがするビッキーがいました。
 契約するとみんなちょっとだけ変わるよね。可愛くなったり、カッコよくなったり、羽がふわっとなったり。ビッキーはカッコよくなったよ。
 ビッキーが自分の羽と、それから体、その後お兄ちゃんを見て、ニヤッてカッコつけて笑いました。ちょっと変なお顔です。カッコいいんだから、そんな顔しなくてもいいのに。なんかカッコ悪くなっちゃったよ。

『これで正式にマイケルと契約成立だ。マイケル、よろしく頼むな』
「ビッキー、よろしくお願いします!」

 さぁ、次は僕達の番です。お兄ちゃんの契約の模様を見たから、さっき自分で思い出そうとしてた時よりも、しっかり模様を思い出せました。だから次は魔力を溜めます。魔力が溜まると、胸の所があったかくなるんだ。……あれ?
 前は僕が魔力を溜めても、すぐにはあったかくならなかったのに、今日はもう体中ポカポカです。それをドラックにパパ達へ伝えてもらったら、パパが、なんだかまた魔力が強くなってきてないか?って言って嫌そうな顔をしました。グッシーはさすがだって、僕のことをとっても褒めてたけど。
 まっ、いっか。これで準備は完璧だもんね。

「ちー! くにょお!!」
『よし、契約だ!!』

 お兄ちゃんの時みたいに、僕の前に立って頭を下げてくれるグッシー。でも僕は小さいから、グッシーのお顔に上手に手を伸ばせなくて。そしたらグッシーがお座りして、もっと僕の近くになるように頭を下げてくれました。グッシーありがとう。
 僕がグッシーの顔を触ってでたら、僕達の下に契約の模様が出ました。

「ちー! やく、くちゃい」
『グギャアァァァァァァ!!』

 ビッキーの時みたいに鳴くグッシー。僕とグッシーのことを、綺麗な白い光が包みました。ん? いつもこんな綺麗な光だったっけ? なんかいつもと違うことばっかりだね。
 そんなことを思ってたら、すぐに光が消えて、僕の目の前には、お顔がキリッとしたグッシーがお座りしてました。

「きちゃ!」
『ああ、契約できたぞ。ありがとうジョーディ、我と契約してくれて。これからもよろしく頼む』

 うん、これからもずっと一緒だよ。
 契約ができて、僕はニコニコ、グッシーもニコニコです。でも僕はニコニコするのをすぐにやめて、グッシーに立ってって言いました。ビッキーはお羽もつやつやになったのに、グッシーはキリッとしただけ?
 グッシーがどうしたって言いながら立ち上がります。

「にょおぉぉぉ!!」

 立ち上がったグッシーを見て僕は思わず大声を出しました。グッシーの羽は前から真っ白だったけど、今は少しキラキラしてます。太陽の光でキラキラに見えるんだよ。


 僕、地球にいた時に、雪が太陽の光でキラキラ光ってるのをテレビで見たことがあります。今のグッシーの羽はそれと一緒です。
 僕はグッシーの綺麗な羽をちょっと撫で撫でします。それでまた叫んじゃったよ。だってグッシーのふわふわでモコモコの羽が、もっとふわふわのモコモコになってたんだ。とっても気持ちいい!
 みんなも近づいてきて撫でながら、気持ちいいって言い合ってます。ママは高級な絨毯じゅうたんみたいねって言ってました。ママ、グッシーのこと踏まないでね。
 その時お兄ちゃんが、あって言いました。それから僕達を呼んだので、すぐにビッキーのしっぽの近くにいるお兄ちゃんの所に行きます。

「ほら見て。ビッキーのしっぽ、シャキンッ! ってなってる」

 そう言われてしっぽを見る僕達。あっ! ほんとだ!! ビッキーのしっぽがとってもとがってて、触ると痛そうな感じになっていました。
 ビッキーがどれどれ、威力いりょくを試してみるかって言って、さっきの料理を作ってるおじさんの所に飛んでいきます。少しして、一匹の魔獣さんのお肉を持って戻ってきました。そのお肉にしっぽを刺すと、ビッキーのしっぽはグサッて簡単に貫通しました。凄い! 僕達はみんなで拍手します。
 次に、ビッキーが今度はこれだなって言って、落ちてた太い木の棒にしっぽで攻撃しました。そしたら、しゅぱって綺麗に棒が切れて二つになりました。それをまた攻撃して、最後はとっても細かくなっちゃった。僕達はまた拍手します。
 契約して色々なことが変わったグッシー達。みんなニコニコ、ママもニコニコです。パパだけガックリしてました。契約は完璧、これでみんなお友達になれました。とってもニコニコの僕は、ニッカのことを思い出します。
 ニッカ、早く戻ってきてね。ちゃんとごめんなさいすれば、パパもじぃじ達も許してくれるよ。パパ達はとっても優しいから。でもお仕置きはあるかもだけど……
 ニッカが戻ってきたら、カッコよくなったグッシー達を見せたいな。これを見たらきっとニッカもカッコいいって思うはず。その後はクイン君にもグッシー達を見せてあげたいな。
 見せたい物もやりたいこともいっぱい。だから早く戻ってきてね。


     *********


 俺――ニッカの住んでいるアルビートという街に、ロスト様とコリンズがやってきたのは、今から一年程前だった。彼らは黒い服を着ていて、少し目立っていたが、街のみんなはそこまで気にすることなく、俺達家族も、毎日同じ生活を送っていた。
 俺の家族は全部で四人。じいちゃんとばあちゃんと、弟のクイン、それから俺だ。両親はクインが生まれてすぐ、冒険者の仕事をしていて事故にい死んでしまった。だからそれからは爺ちゃんと婆ちゃんが、俺達の面倒を見てくれている。
 俺の一日は、朝早くに起き、小さくてボロい自分の家の掃除そうじをするところから始まる。それから俺の冒険者の仕事が上手くいけば、具がたくさん入っている朝ご飯のスープを作り、ダメな時は、具がジャガイモだけのスープを作る。
 それが終わったら、爺ちゃんと婆ちゃんを起こし、爺ちゃんはご飯の後、体の調子がよければ、俺と一緒に冒険者の仕事をする。といっても爺ちゃんは魔法が苦手なので、狩りではなく、森の入口周辺や、街の近くの原っぱで、薬草採りをしている。昔は少し剣が使えたみたいだけど、狩りに失敗して以来、思うように足が動かなくなってしまったのだ。
 婆ちゃんは目が悪いながらも、時々ご近所の人に頼まれた針仕事をしていた。ただ、これに関しては近所の奴らも俺達同様に、金がない奴ばかりだから、そんなに稼げる訳じゃない。しかも、ときどき報酬ほうしゅうが野菜だったりする。
 爺ちゃん達がご飯を食べている間には、俺は弟クインの部屋に、ご飯を持って向かう。部屋に入るといつもクインは起きていて、横向きに寝ながら、震える手で絵本を見ている。これはいつもの光景だ。体調が悪いなら、大人しく寝ていてくれていいのに。


 クインは原因不明の病気にかかっていた。
 クインがそうなったのはロスト様達が街に来るさらに一年程前のことだ。弟はいつものように、外で元気に遊びながら、俺が冒険者の仕事から帰ってくるのを待っていた。その日は大物を仕留めることができ、報酬がたんまり貰えたから、たくさん食べ物を買って帰り、夜は久しぶりのご馳走ちそうを作った。
 また次の日は街のお祭りだったので、俺達も仕事を休みにしてお祭りを楽しんだ。クインは普段街にいない魔獣達と遊べ、とても楽しそうにしていた。
 そんな風に俺の冒険者仕事が上手くいって、クインもお祭りを楽しみ、いいことが続いていた次の日。クインは熱を出した。
 最初はただの風邪かぜだと思った。食材もたくさん買ったばっかりだったから、クインに早く元気になってもらおうと、栄養のあるご飯を作って食べさせたのだが、それから一向にクインの熱は下がらなかった。
 一日経ち、二日経ち、一週間経ち……何日経っても熱は下がらず、ついにクインはベッドから起きられなくなってしまった。時々下がる日もあるけれど、すぐにまた熱を出し寝込む。それの繰り返しで、どんどんクインは弱っていった。
 料金は高いが命には代えられないと、なんとかお金を工面して、治癒師ちゆしを呼ぶことにした。治癒師とは、魔法を使って病気を治す人々のことだ。しかし、せっかく呼んだ治癒師から返ってきた言葉は、原因不明の病というものだった。
 俺が呼んだ治癒師には、かなり高いお金を払ったのだが、それでも街では最低の部類に分けられる治癒師で、自分にはこんな病の知識ちしきはないし、治す力もないと言われてしまった。
 もしかしたら、貴族などを相手にしている、上級の治癒師だったら治せるかもしれない。そいつはそれだけ言い、簡単な、とりあえず熱を下げる治癒魔法ちゆまほうだけを使い、さっさと帰ってしまった。
 上級の治癒師。俺達にそんなものを頼めるわけがなかった。この街の上級の治癒師は、貴族にしか治療ちりょうをしてくれない。俺にはその辺の詳しい話は分からないが、上級の治癒師は貴族と関わりを持つことで、この街の政策にも口を出しているとか。
 もし俺達がそんな治癒師に治療を頼もうとすれば、高額な治療費を吹っ掛けられ、結局大した治療もしてもらえず終わってしまうだろう。
 教会にも治癒師は所属しているのだが、このすさんだ街では、本来だったら無償むしょうで受けられる治療でも金を取られてしまう。どっちにしても、俺達のような貧乏びんぼうな家の奴らは、治療を受けることができなかった。


 そんなどうしようもない状況で、なんの病気かも分からないまま、それでも薬を買おうと、今まで以上に冒険者活動をしている時に、俺は森でロスト様に声をかけられた。俺の使えるやみ魔法に興味があると言って、自分達の組織に入らないかと勧誘かんゆうをしてきたんだ。
 胡散臭うさんくさいと思い、最初は断った。しかしそれから何度も、ロスト様は俺に会いに来た。そしてある日、突然弟の話をされた。病気に罹っているだろう? と。なぜ知っているんだと警戒けいかいする俺に、ロスト様は、自分だったらクインの病気を治せると言ってきたのだ。
 病気が治せると聞き、一瞬かれたが、すぐに考え直しまた警戒する。どうせ高い金を吹っ掛けられるだけだと思ったからだ。
 しかしロスト様は無料でクインをてやると言って、無理やり俺の家に来ると、その頃二週間熱が続いていたクインの熱を下げた。しかも、ずっと寝込んでいたクインが、ベッドから起き上がれるようになった。そんなことはあの治癒師にもできなかったのに。
 驚きで動けない俺に、ロスト様はこう言った。

「残念だが、一回では完治しない病だ。それにお前が一生働いても届かないくらいの治療費がかかるだろう」

 そんなに大変な病気だったなんて。愕然がくぜんとする俺に、言葉を続けるロスト様。

「どうだ? お前が俺達の組織に入り、その力を使うというのなら、俺が定期的に弟の治療をしてやろう。そうすれば金はかからないし、弟は助かるぞ」

 その言葉にまた驚きながらも、確かに元気になった弟を見て、俺はロスト様達の話を詳しく聞くことにした。
 ロスト様達は、俺達のような貧しい人間のために、よりよい世界を目指して働いていると言っていた。金ばかり取り、私利私欲しりしよくのために力を使うような者達を排除はいじょし、全ての人間が平等にとはいかないが、それでも皆が幸せに暮らせるような、そんな世界を目指していると。
 それは正しいことだ。国王様や、この街の貴族はダメだが、他の街の貴族の中には市民のために動いてくれる貴族もいるらしい。そういったみんなを指導する人は必要だ。
 俺はその話を聞き、ロスト様とその計画に魅かれ、組織に入ることにした。それからはロスト様と、他の同じこころざしを持った奴らと活動していた。ロスト様は約束通り、定期的にクインを治療してくれ、もしクインが具合が悪いと言えば、すぐに駆け付けてくれる。そんな生活を送った。


 それを、おかしいと思い始めたのは、あの儀式ぎしきの準備を始めてからだった。
 俺たちが生み出した黒い靄の影響で魔獣が暴走し、市民に犠牲者ぎせいしゃが出ているのに、志のためには致し方ないことと強弁する。そんな、今までにないロスト様を見て、次第に疑念ぎねんつのっていった。あれだけあこがれていたロスト様なのに、日に日に不安だけが増えていった。
 そしてあの森で、俺は全てを知ることになる。それが俺の身に起きた、ここ二年程の出来事だった。


     *********


 グッシー達と契約してから三日して、森でお仕事をしていたクレインおじさん達が街に帰ってきました。それは僕達がちょうど、街に出ていた時でした。そこは本当ならお店がいっぱいあったはずで、もやもやのせいで壊されてしまった場所。それを見たクレインおじさんが、思っていたよりもひどいなって言いました。
 でも、僕達が帰ってきた時よりも、街の中はとっても綺麗になったんだよ。新しい家とかお店とかも作り始めてるしね。
 それに、この前グッシー達と契約してから、グッシー達もとっても凄かったんだよ。街を片付けるママのお手伝いをずっとしてたんだ。ちょっと疲れちゃったって言って、今日はお休みしてるけど。
 この前契約した時、グッシーは羽の他にも強くなった所がありました。ビッキーは、しっぽの攻撃が強くなったでしょう。グッシーの方は、爪を使った攻撃が強くなったのが分かったんだ。


 契約した後、僕がグッシーと庭で遊びたいって言ったら、パパもママもダメって言いました。グッシー達の小屋の周りは、二匹が動きやすいようにゴミを片付けたけど、でもその周りにはまだまだゴミがいっぱい残っています。だから僕達が遊んでて怪我するといけないから、ダメって言われたんだ。
 そしたらグッシーがね、小屋の周りにあったゴミの片付けを始めました。
 最初はビッキーがしっぽで木を刺して遠くに飛ばして、グッシーは口でくわえて運んでました。そのうち、グッシーが面倒臭いって思ったのか、咥えるだけじゃなくて、足で蹴飛けとばしてゴミをどかそうとしたら……
 シュッ、パシィィィッ!!
 そんな音がするくらい、思いきり木を蹴飛ばしたグッシー。勢いよく木が飛びました。飛んだんだけど……飛んだとたん、木は粉々のボロボロになっちゃったんだ。
 グッシーもビッキーも、パパ達もみんな動きを止めて、ボロボロになった木のゴミを見ています。
 そのボロボロになった木を見に行くと、木は凄く細かくなってて、手で持ってみたらふわふわでした。

『おいグッシー、これはどういうことだ。蹴りの威力が上がってるじゃないか』
『ああ、我も驚いた。今までもまぁまぁ蹴りには自信があったが、こんなことは初めてだ。もしかしてジョーディと契約したからか? お前の尾と一緒で、我は蹴りの威力が上がったのかもしれない』
『そうかもしれないな。それにしても、俺とグッシーがいれば、片付けが早く進むんじゃないか?』

 そんなお話をしてたグッシーとビッキー。その時僕と一緒に木のふわふわを触ってたママが、グッシー達の所に凄い勢いで駆け寄りました。

「グッシー! 実験よ!!」

 ママはとてもニコニコしています。あまりにも凄い勢いだったから、グッシー達がちょっと後ろに下がっちゃったよ。それから二匹とも嫌そうな顔をしました。パパはまた何か考えたなって、ため息をついてます。


 それからのグッシー達は大変でした。どのくらいの力で木をると、どのくらいふわふわモコモコな木が出来るのか。それを調べるため、グッシーはずっとママに実験をさせられてました。そのせいで木がどんどんなくなるから、ビッキーはどんどん木を運ばされたの。
 でもそのおかげで小屋の周りがとっても綺麗になったから、僕達はベルに頼んでおままごとの道具を持ってきてもらって、グッシーが蹴って作った木のふわふわモコモコで遊びました。モコモコをお皿に盛りつけて、みんなで食べるふりをしたよ。
 せっかく契約したんだし、本当はグッシー達と遊びたかったんだけど……ママったら全然グッシー達のこと離してくれないんだもん。でも、ふわふわモコモコで遊ぶのも楽しかったなあ。
 お昼になって、ちょっとお仕事に行ってたパパが戻ってきて、やっと木を蹴るのは終わり。グッシーとビッキーは少し疲れてました。小屋に入って行くと、すぐに伏せしてお休みです。
 僕達の前は、色んな細かさの木がいっぱいです。硬い木から、フワフワすぎて少しの風で飛んで行っちゃう物まで、色んな種類があります。

「で、ルリエット。こんなにグッシーに木屑きくずを作ってもらって、何を考えているんだ?」

 パパがママにそうたずねます。

「ソファーやベッド、毛布にクッション、綿わたは色々な物に使われているわ。でも、この街のそういったお店や、材料を溜めていた小屋は、今回の事件で破壊されて使えなくなってしまっているでしょう。だからグッシーが作ってくれた物をそれの代わりにできないかと思ったのよ」
「そうか! 今は綿が不足していて、硬い地面でそのまま寝ている住民たちが大勢いるからな」
「そうよ。だから、小屋や休む場所を先に建てて、そこでこれを使って、布団を作ってもらえれば」
「ここには木がいっぱいある。再利用できる物は建物に、できない物はグッシーに、布団などの材料に変えてもらおう」

 それからグッシーとビッキーは、毎日とっても大忙しでした。ビッキーが家を建てる木とモコモコにする木に分けて運んで、それをグッシーがふわふわモコモコにします。強くなったグッシー達のおかげで、どんどん街の中が綺麗になっていったんだ。
 だからクレインおじさんが帰ってきた時には、街の中のゴミはほとんど片付いてたの。新しい家も少し出来たんだよ。

「まぁ、私の家は、住民の住居と店を建て直して、落ち着いてからでいいだろう。半分でも家が残っていてくれてよかった」

 自分の家を見ながらそう言ったクレインおじさん。困った顔して笑ってました。
 僕達はママに、グッシーが作ってくれたモコモコを、クッションにしてもらったんだ。僕のクッションはサウキーの形をしてる可愛いクッションです。魔獣のみんなは自分の形のクッションを作ってもらってました。帰る時にはちゃんと持って帰らなきゃ。
 それからニッカが帰ってきても使えるように、ニッカの分も作ってもらったの。ニッカのクッションは特別に、僕の洋服に付いているサウキーのマークと同じものを付けてもらいました。ニッカ、喜ぶといいなぁ。


     *********


 クレインおじさん達がベアストーレの森から帰ってきて、パパとじぃじはそれまでもとっても忙しかったけど、もっと忙しくなりました。クレインおじさん達があの悪い黒服さん達を連れてきたから忙しくなったんだ。
 パパ達はその黒服さん達からお話を聞かなくちゃいけません。『ジンモン』ってお仕事なんだって。帰ってきても倒れっぱなしの黒服さん達もいたけど、なんとか話せる黒服さんたちもいて、パパ達は毎日夜遅くまで、『ジンモン』してました。
 パパ達が黒服さんへの『ジンモン』を始めて少しして、鳥の魔獣のスーがじぃじのお手紙を、この前僕の誕生日会の時に会った王様、えっと、アルバート・ホスキンス王様に届けに行きました。スーはスプレイドっていう鳥の魔獣で、とっても速く飛べるんだ。スーが、そのお手紙は黒服さん達のことが書いてある手紙だって言ってたよ。
 スーが手紙を届けに行って、パパ達はやっと少しゆっくりできるらしいです。でもきっとスーが帰ってきたらまた忙しくなるって言ってました。パパにニッカは元気?って聞いたら元気って言ってました。よかった!
 それから他にも色々あったよ。街の中の壊されてもう住めないお家を全部壊して、新しいお家に作り替えてました。まだまだ作らなくちゃいけないけど、他の街から大工さん達が来てくれて、パパやクレインおじさんが思ってたよりも、早く家が直っているらしいです。クレインおじさんの家は、この前言っていたように街の家が全部直ってから作り直すみたい。
 あと、森からは大きな石の魔獣のグエタ達も後始末を終えて帰ってきました。グエタはとっても元気で怪我もしてなかったよ。グエタのお仕事仲間で冒険者のクローさんも一緒です。でもちょっと残念なこともあって、グエタとクローさんは、少しだけゆっくりしたら、別の街に行っちゃったんだ。
 今僕がいる街の近くの街や村はもう大丈夫だけど、他の街がボロボロかもしれないから、それを確かめに行くって、先に行っちゃったんだ。僕達が住んでいるフローティーまで一緒に帰れると思ってたから、僕達がっかりです。でも少しして落ち着いたら、フローティーに遊びに来てくれるって、約束してくれました。


 スーが王様の所に行ってどのくらい経ったかな? たぶん一週間くらい? 僕達がパパやじぃじとお昼ごはんを食べてる時に、スーが帰ってきました。

『ただいま!!』
「すー、りぃ!!」
『スーお帰り!!』
『悪い魔獣に会わなかった?』

 ドラックとドラッホがそう言ってスーを迎えます。
 スーが持っていた手紙を、じぃじに投げました。投げた手紙はじぃじの顔に当たってベタッて張り付きます。
 スーはそのまま僕の頭の上に乗ってきて、あ~疲れたって言いました。お疲れ様、スー。

「スー、手紙は投げんでくれんかのう」
『だって、いつもの手紙よりも重かったんだもん。ちゃんと渡したからいいでしょう?』

 じぃじが手紙を顔から離して、顔をすりすり。それから封筒ふうとうを開けて手紙を読み始めました。うん、いつもよりも手紙が分厚いです。王様はそんなにいっぱい何を書いただろう?
 じぃじは手紙を読んでいる途中でしまって、パパとクレインおじさんに行くぞって声を掛けました。それですぐに三人は部屋から出て行っちゃいました。
 やっとパパと一緒にいられる時間が増えたのに……早く自分の家に帰って、パパとずっと遊びたいな。


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