ドラゴンともふ魔獣に懐かれて〜転生幼女は最強ドラゴン騎士家族と幸せに暮らします〜

ありぽん

文字の大きさ
6 / 62

6話 優しいドラゴンのまさかの提案

しおりを挟む
『それじゃあ、お互い落ち着いたらところで、さっきみたいに話しがかぶると面倒だからな。先にお前の話しから聞こう。さっき、何と言っていたんだ?』

「えっちょ……」

 言っても良いのかな? あれを言って、ああ、これから食べるつもりだったぞなんて言われて、結局食べられたりして……。

 でもなぁ。なんかこの綺麗なドラゴン、大きな猪魔獣との戦闘は凄かったけど、別にだからと言って怖いドラゴンって感じないし。それに花の蜜とか、話しをわざわざ聞いてくれるところとか、優しいドラゴンだし……。

 ここは最後まで信じて、話しをするべきかな。

「えっちょ、あの。しゃきっきのおおきないきもの、あたちたべよとちたの。だからまた、たべらりぇりゅおもっちぇ。たべないでくだしゃい! はなちきいてくだしゃい!! っちぇいっちゃの」

『ああ、そういうことか。なるほど、さっきの事を考えれば、そう考えるのは当たり前だな。他には? 他にも何か言っていただろう?』

「おなじようなこと、いっちゃだけ」

『そうか、分かった。じゃあ次は、詳しいことは後で話すが、俺がさっき言ったことを話しても良いか』

「あい」

『よし、それじゃあ。俺はさっき、なぜ幼児がここに? ここは危険だ。安全な俺たちの巣まで連れて行こう、と言ったんだ。別にお前を食べたりしないから安心しろ』

 え!? そんなことを言ってくれてたの!? 全然聞けてなかったよ……。

 というか、え、本当に? ドラゴンが人間でチビの私を? 安全な場所に連れて行ってくれるって? ……まぁ、ドラゴンの巣が、安全かは分からないけど。それにしてもだよ、まさかそんな提案をしてくれるなんて。

「あんじぇん?」

『そうだ。もう少し行った場所に、俺たちの巣がってな。様々な種のドラゴンたちが大勢集まって暮らしているんだ。それに、他で暮らしているドラゴンたちと違って、一緒に住んでいるドラゴンたちは俺も含め、人間を襲うことはない。だから俺たちの所へ来た方が、こんな危険な魔獣の多い森の奥深くにいるより、ずっと安全だぞ』

「おしょわない?」

『ああ。というかな、俺たちは人間と関わって生きているんだ。だから襲うことはない』

「?」

『まぁ、その話しも後にしよう。どうだ、俺に付いてくるか? 聞くのを忘れていたが、どこかにお前の親がいるのなら、親の元へ送って行ってやるぞ?』

「……かじょくいない」

『……そうか。じゃあ。俺たちの所へくるで良いか? そろそろ暗くなってくるからな。ここは今もお前にとって危険な場所だが、暗くなるともっと危険な場所になるぞ』

 私のことを考えてくれている、綺麗なドラゴン。ここまでの話し、本当に私を襲おうとは思ってないみたい。それよりも話してる表情や様子から、やっぱりとても心配してくれている。

 それにさっき、人間と関わって生きているって言っていたよね? これってもしかしたら、綺麗なドラゴンについて行ったら、人に会える可能性もある?

 うん! ここにいても、さっきみたいな魔獣に襲われて殺されるだけだろうし、ここは心配してくれている綺麗なドラゴンについて行ってみよう!!

「うん、あたち、いっちょいく!!」

『よし、決まりだ!!』

 ホッとした表情を浮かべた綺麗なドラゴンが、ニッと笑って私に指を向けてきた。すると私の体がふわりと浮き上がり、そのまま空中を移動して、綺麗なドラゴンの背中にポンと乗せられたんだ。

『結界を張って飛ぶから、落ちても問題はないが。それでもなるべくしっかりと座っていてくれ』

「あい!!」

『もし怖かったら目をつぶっていろ。それから途中でトイレに行きたくなったら言ってくれ』

 そういえばトイレ。今は大丈夫だけど。どうするんだろう?

『なに、トイレも問題ないからな。あとそれから……』

 それから10分くらい続いた、綺麗なドラゴン注意事項。渡しを心配してくれるのは嬉しいんだけど、行かなくて良いのかな? ここはこれからもっと、危険な場所になるんでしょう?

「いかなくちぇいいの?」

『ん? ああ、いつもの感じで話してしまったな。行かないと』

 私が声をかけたら、ハッとした綺麗なドラゴン。ようやく出発だよ。

『よし、それじゃあ飛ぶぞ!!』

 そう言った瞬間、一気に木々のずっと上まで飛び出した綺麗なドラゴン。そして夕日に向かって、景色を眺められるくらいの、そしてちょうど心地良いくらいの速さで、空を飛び始めたんだ。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

獅子王の運命の番は、捨てられた猫獣人の私でした

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:女性HOT3位!】 狼獣人のエリート騎士団長ガロウと番になり、幸せの絶頂だった猫獣人のミミ。しかしある日、ガロウは「真の番が見つかった」と美しい貴族令嬢を連れ帰り、「地味なお前はもう用済みだ」とミミを一方的に追い出してしまう。 家族にも見放され、王都の片隅の食堂で働くミミの前に現れたのは、お忍びで街を訪れていた最強の獣人王・レオンハルトだった。 彼は一目でミミが、数百年ぶりの『運命の番』であることを見抜く。心の傷を負ったミミを、王は包み込むように、そして激しく溺愛していく――。 「もう誰にもお前を傷つけさせない」 一方、ミミを捨てた元夫は後悔の日々を送っていた。そんな彼の元に、次期王妃の披露パーティーの招待状が届く。そこで彼が目にしたのは、獅子王の隣で誰よりも美しく輝く、ミミの姿だった――。 これは、不遇な少女が本当の愛を見つけ、最高に幸せになるまでの逆転溺愛ストーリー。 ※気を抜くと読点だらけになることがあるので、読みづらさを感じたら教えてくれるとうれしいです。 祝:女性HOT69位!(2025年8月25日4時05分) →27位へ!(8/25 19:21)→11位へ!(8/26 22:38)→6位へ!(8月27日 20:01)→3位へ!(8月28日 2:35)

この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~

柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。 家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。 そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。 というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。 けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。 そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。 ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。 それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。 そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。 一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。 これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。 他サイトでも掲載中。

ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~

うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」 探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。 探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼! 単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。 そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。 小さな彼女には秘密があった。 彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。 魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。 そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。 たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。 実は彼女は人間ではなく――その正体は。 チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん
ファンタジー
「貴方には剣と魔法の異世界へ行ってもらいますぅ~」 ────何言ってんのコイツ? あれ? 私に言ってるんじゃないの? ていうか、ここはどこ? ちょっと待てッ!私はこんなところにいる場合じゃないんだよっ! 推しに会いに行かねばならんのだよ!!

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!

ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。 一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて? 主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍? 「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」 『わふっ』 もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!

処理中です...