ライトノベルの悪役魔獣使いだった俺、現代に転生し新テイム能力で今の世界を突き進む

ありぽん

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17話 ラノベに転生した女の今1

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「今日からウチのギルドに入った操だ」

「川西操です!! よろしくお願いします!!」

「こんな時期に新人ですか?」

「この女、役に立つスキルを持っているんですか?」

「みんな、そんな事言っちゃダメよ。ギルドマスターが入れた子なんだから、実力があるに決まっているじゃない」

「いや、まだそこまでのスキルは使えない」

「あら、そうなんですの。では何故?」

「まぁ、いつもの事だ。分かるだろう?」

「ああ、なるほど」

「そういう事か」

「じゃあ待つしかないって事ですね」

「ああ。初めのうちはお前達に迷惑をかけるだろうが、こいつの面倒を見てやってくれ。そうだな、女同士、最初の細かな決まりごとなんかは、麗奈、お前が教えてやってくれ」

「……分かったわ。私に任せて」

「よし、話しは終わりだ。俺は今日、行く所があるから、後のことは北斗、お前に任せる」

「はっ!!」

「解散!!」

 はぁ、やっと挨拶が終わったわ。でもこれからこのギルドの説明があるのよね。まったく面倒ねぇ。でも、ちゃんと話しを聞いておかないと、何かやらかして問題になったら、そっちの方が面倒だものね。ここは言うことを聞いておいた方が良いわね。

 私の担当になった女が、私の方へやって来て挨拶してきたわ。確か名前は麗奈って言ったかしら。どうせならカッコいい男のプレイヤーのほうが良かったのに。そうね、副ギルドマスターの北斗なんて良いわね。後で話せないかしら。

「さぁ、こっちよ。まずはどこから紹介しようかしら。あなたは家からここへ?」

「いえ、今日からここでお世話になります。でも、少ししたら別に部屋を借りる予定です」

「そうなの。じゃあ物件に詳しい人がいるから、後で紹介するわね」

「はい!! ありがとうございます!!」

 そう言って、私から少し離れて歩く麗奈。その時この女のボソッと囁く声が聞こえたわ。

「チッ! 早く出ていかないかしら。ここにいるのは私だけで良いのよ」

「その言葉、あんたにそのまま返すわよ」

 気づかれないように答える私。なぁ~んだ。この女も私と同じようにタイプの女だったのね。

 そういえばここに来るまでに、このギルドに所属しているプレイヤー達が噂していたわね。今日は幹部が揃っている。じゃあ彼女も来ているのか? ああ、ちょっとでも良いから彼女に会えないだろうかって。

 幹部として集まっていた中で、女はこの麗奈だけ。ということは、プレイヤーが噂していたのは、この麗奈で間違いなさそうね。あの話の感じから、このギルドでかなり人気があるみたいだけど。

 でも残念ねぇ。私がこのギルドに入ったからには、あんたがみんなにちやほやされるのも、あと少しだけ。私の存在を示せば、すぐにみんな私の虜になるんだから。

 ただ、それには早く、私が力を使いこなさないと。まぁ、可愛さだけでも虜にできるでしょうけど、力を示せれば、それがもっと確実になるはず。だって、前世もそうだったんだから。本当、前世を思い出して良かったわよ。

 私が全てを思い出したのは5ヶ月前。それまでの私は、どうにも力がうまく使えずに。まぁ、全力を出さなくてもそこそこの力は使えていたから、そこまで問題はなかったけれど。その力を使って、私の言うことを、何でも聞いてくれる男を探していたわ。

 でも5ヶ月前、なぜ突然思い出したかは分からないけれど。私は自分の前世の事を思い出したの。まさか2回も転生していたなんて。

 最初の私は、過去の地球で暮らしていたわ。でも突然ライトノベルの世界へ転生してしまって。これが1回目の転生よ。

 あの時、初めはそれはとても驚いたわよ。でもよくよく調べてみれば、私の知っているライトノベルの世界だと気がついて。
 その後はイージーモードで、私のやりたいように、好きなように、生活させてもらったわ。なにしろ私は、世界中の人々が崇める聖女だったんだから。

 全ての恋愛対象のキャラを攻略して、それ以外にも気に入った男は、全て手に入れてやって。
 全員が私に簡単に騙されて、私の言う通りに動くんですもの。本当、顔と使い勝手は良かったけど、馬鹿な男達だったわ。まぁそのおかげで、良い生活ができたのだけどね。

 でも、何故か手に入れようとしていた、世界最強の悪役魔獣使いが従えていた魔獣を、1匹の見つける事ができなかったのが、嫌な思い出かしらね。
 せっかく私の、道具やコレクションに加えようと思っていたのに。あいつがどこへ転移させたのか、結局最後まで見つけることは出来なかったわ。本当、王子達は、何でも言う事を聞いてくれたけど、その辺は役に立たなかったわよねぇ。

 そんなライトノベルのの中の生活で。私は最後、永遠の美を手に入れる事に成功して、最後まで美しい姿のままで、生涯を終えたわ。何人の女を生贄にしたか忘れたけど、私の美のためなら、文句はないでしょう。

 そして2回目の転生よ。未来の地球へと転生を果たしたわ。また転生できたと知った時の私の気持ちと言ったら。あんなに幸せを感じたのは久しぶりだったわよ。
 しかも何故か前世を思い出したことで、今の与えられたスキルも、どんどんレベルを上げられるようになって。周りの男達がまた私に寄って来るように。

 たぶん完璧に前世の力の使い方を思い出せば、そして今のスキルレベルを上げられれば、私はまた世界から注目される存在になれるはず。
 そうなれば私は、男を選び放題、好き放題して生きていけるかもしれない。ああ!! なんて素晴らしいのかしら!!

「じゃあ、最初は、ここから説明がするわね」

 麗奈が笑顔で私に話しかけてきたわ。まったく、これからの素晴らしい未来を考えていたのに。ふんっ、その笑顔。私は騙されないわよ。
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