38 / 97
38話 出来事とに反して「おえぇ」の練習?
しおりを挟む
俺は急いでシャドウギルドのメンバーから離れると、人があまり来ない場所へと向かった。最悪な事があったからな。最後は人がいたとしても、2、3人くらいしかいない場所で、ゆっくりさせてあげたかったんだ。
まぁ、そこにいる奴らも、あの厚化粧女のような奴だった場合は、アーチー達をポケットから出さずに、また別の場所へ急いで移動するが……。
そう思いながら、10分ほどで予定していた場所へ着いた俺。心配していたような事は何もなかった。人は誰1人おらず、魔獣も1匹もいなかったんだ。
「よし、出てきて大丈夫だぞ。誰もいないから、好きな事ができる」
俺が声をかければ、すぐにポケットから顔だけ出してきたアーチーとフェリックス。そうして周りを確認してホッとため息を吐くと、今度こそポケットから出てきて地面に降りた。
「2人とも、触られていないから、怪我はしていないと思うが、他は大丈夫か? 怖いとか、気分が悪いとか、今日はもうこのダンジョンから出たいとか、何かあるか?」
『オレは大丈夫っチュ!! フェリックスは大丈夫だっチュか?』
『うん、ぴっ! げんきっぴっ!!』
「そうか。はぁ、悪かったな、すぐにあの場所から移動できなくて。あの女の接近を許してしまって」
『カズキ、悪くないっチュ。ササッ!! とした動きで、守ってくれたっチュ!! あの人間の女が悪いっチュよ。他の人もあの女のこと怒ってたっチュ。声、聞いてたっチュ』
『みんなおこってたっぴっねぇ。あのにんげんだけ、おかしいっぴ。……おかしい? おにいちゃん、ぼくあってるっぴ?』
『あってるっチュよ。あの女だけおかしかったっチュ。それに、カズキ、オレ別に怖くなかったっチュ』
『ぼくもっぴっ!!』
『怖いよりも気持ち悪かったっチュ。話し方とか、動きがクネクネしてて、おえぇって感じだったっチュ。おえぇっチュ』
『おえぇっぴっ』
『でも、今はもう側にいないから、おえぇもなくて元気っチュ。新しい果物食べれば、もっと元気っチュ!!』
『ぼくもっぴっ!!』
「そうか。……次も同じように団体が近くに来た時は、すぐに避けられるよう気をつける。お前達がおえぇってならないようにな」
『うん、それが良いっチュね!』
『おえぇっぴっ!』
『もう少し、こう羽を伸ばして、首を伸ばしておえぇの方が良いっチュよ』
『こうっぴっ?』
『ちょっと違うっチュ。後で教えてあげるっチュ。人間以外にも気持ち悪い魔獣や物があるかもしれないっチュからね。その時にしっかりおえぇってする練習っチュ』
『うん、ぴっ!!』
怖がっておらず、怯えてもいなかったから安心した。うん、安心はしたが、おえぇの練習って何だ? そんな練習してどうするんだよ。2匹ともやる気満々だし。
母さん達にそんな姿見られたら、俺が何を言われるか、そしてやられるか。可愛い2匹に、何教えてるのよ!! ってな。
そうして最初の、おえぇの原因がいなくなって、果物を食べればもっと元気になる、から。おえぇの練習のために元気にならないと、と。理由が変わったアーチーとフェリックスは、新たな果物を発見すると、すぐにそれを食べ始め。俺もアーチー達の隣に座り、一緒に果物を食べ始める。
今回はアーチーとフェリックスに、何もなくて本当に良かった。一応解決済みだが、叔父さんには報告しておいた方が良いだろう。
はぁ、それにしても最悪だった。もっと周りを気にして、しっかりと対応できるようにならないと。
俺1人の時は、誰に何を言われようと別に構わなかった。が、今は、守るべき大切な家族、アーチーとフェリックスがいるんだ。あんなに接近されて、しかも触られそうになるなんて。アーチー達を守ると言っておきながら、まったく本当に何をしているのか。
これからはもっと、気を引き締めて行動しないと。それに急に近づいて来られた時のために、対応する力をもっとつけなければ。それにはアーチー達のおえぇの練習ではないが、俺も今まで以上に、しっかり訓練をしよう。
そうすれば、もしかしたら対抗するよりも、すぐに逃げなければいけない、という状況になった場合も、逃げるためにその力を使えるだろう。
……それにしても、あれは何だったのか。あの厚化粧女。あいつに腕を掴まれた瞬間、ブワッと何かいやな感覚が、俺を襲ってきた。悪に満ち溢れ、ドス黒くネチネチしていて、体にまとわり付いてくるような何か。
あれと似たような物を、俺は昔見た事があった。そう、あの前世で俺を殺した、あの聖女。俺は死ぬ直前、今日厚化粧女から感じた嫌な感覚を、あの聖女の周りに見ていたんだ。
他の人間がどうだったのか、俺と同じ物を聖女に見ていたのか。今では確かめる事はできないが、記憶を思い出した時、あの聖女の体に確かに、ドス黒い物が包んでいたのを俺は見ていた。
まさか、その聖女と同じ物を、厚化粧女から感じるとは。あれにはもう2度と関わらない方が良いだろう。いや、絶対に関わらない方が良い。
次からダンジョンに入る時は、他に誰が入っているのか、入る予定なのかを確認し。シャドウギルドの名を見た場合は、その日のダンジョンを取りやめるか。変更ができるならば変更して、別のダンジョンへ行く事にしよう。
『カズキ、この果物、今日1番美味しいっチュ!!』
『うん、おいしいっぴっ!!』
「そうか、美味しいか!」
『これ、毎日食べられたら嬉しいっチュねぇ』
『カズキ、もってかえっていいっぴっ?』
「ああ、じゃあ沢山持って帰ろう。食べ終わったらみんなで採ろうな」
『いっぱい持ってかえるっチュ!!』
『うれしいっぴっ!!』
元気な2匹にホッとする。しかし……、この果物。これなら……。
まぁ、そこにいる奴らも、あの厚化粧女のような奴だった場合は、アーチー達をポケットから出さずに、また別の場所へ急いで移動するが……。
そう思いながら、10分ほどで予定していた場所へ着いた俺。心配していたような事は何もなかった。人は誰1人おらず、魔獣も1匹もいなかったんだ。
「よし、出てきて大丈夫だぞ。誰もいないから、好きな事ができる」
俺が声をかければ、すぐにポケットから顔だけ出してきたアーチーとフェリックス。そうして周りを確認してホッとため息を吐くと、今度こそポケットから出てきて地面に降りた。
「2人とも、触られていないから、怪我はしていないと思うが、他は大丈夫か? 怖いとか、気分が悪いとか、今日はもうこのダンジョンから出たいとか、何かあるか?」
『オレは大丈夫っチュ!! フェリックスは大丈夫だっチュか?』
『うん、ぴっ! げんきっぴっ!!』
「そうか。はぁ、悪かったな、すぐにあの場所から移動できなくて。あの女の接近を許してしまって」
『カズキ、悪くないっチュ。ササッ!! とした動きで、守ってくれたっチュ!! あの人間の女が悪いっチュよ。他の人もあの女のこと怒ってたっチュ。声、聞いてたっチュ』
『みんなおこってたっぴっねぇ。あのにんげんだけ、おかしいっぴ。……おかしい? おにいちゃん、ぼくあってるっぴ?』
『あってるっチュよ。あの女だけおかしかったっチュ。それに、カズキ、オレ別に怖くなかったっチュ』
『ぼくもっぴっ!!』
『怖いよりも気持ち悪かったっチュ。話し方とか、動きがクネクネしてて、おえぇって感じだったっチュ。おえぇっチュ』
『おえぇっぴっ』
『でも、今はもう側にいないから、おえぇもなくて元気っチュ。新しい果物食べれば、もっと元気っチュ!!』
『ぼくもっぴっ!!』
「そうか。……次も同じように団体が近くに来た時は、すぐに避けられるよう気をつける。お前達がおえぇってならないようにな」
『うん、それが良いっチュね!』
『おえぇっぴっ!』
『もう少し、こう羽を伸ばして、首を伸ばしておえぇの方が良いっチュよ』
『こうっぴっ?』
『ちょっと違うっチュ。後で教えてあげるっチュ。人間以外にも気持ち悪い魔獣や物があるかもしれないっチュからね。その時にしっかりおえぇってする練習っチュ』
『うん、ぴっ!!』
怖がっておらず、怯えてもいなかったから安心した。うん、安心はしたが、おえぇの練習って何だ? そんな練習してどうするんだよ。2匹ともやる気満々だし。
母さん達にそんな姿見られたら、俺が何を言われるか、そしてやられるか。可愛い2匹に、何教えてるのよ!! ってな。
そうして最初の、おえぇの原因がいなくなって、果物を食べればもっと元気になる、から。おえぇの練習のために元気にならないと、と。理由が変わったアーチーとフェリックスは、新たな果物を発見すると、すぐにそれを食べ始め。俺もアーチー達の隣に座り、一緒に果物を食べ始める。
今回はアーチーとフェリックスに、何もなくて本当に良かった。一応解決済みだが、叔父さんには報告しておいた方が良いだろう。
はぁ、それにしても最悪だった。もっと周りを気にして、しっかりと対応できるようにならないと。
俺1人の時は、誰に何を言われようと別に構わなかった。が、今は、守るべき大切な家族、アーチーとフェリックスがいるんだ。あんなに接近されて、しかも触られそうになるなんて。アーチー達を守ると言っておきながら、まったく本当に何をしているのか。
これからはもっと、気を引き締めて行動しないと。それに急に近づいて来られた時のために、対応する力をもっとつけなければ。それにはアーチー達のおえぇの練習ではないが、俺も今まで以上に、しっかり訓練をしよう。
そうすれば、もしかしたら対抗するよりも、すぐに逃げなければいけない、という状況になった場合も、逃げるためにその力を使えるだろう。
……それにしても、あれは何だったのか。あの厚化粧女。あいつに腕を掴まれた瞬間、ブワッと何かいやな感覚が、俺を襲ってきた。悪に満ち溢れ、ドス黒くネチネチしていて、体にまとわり付いてくるような何か。
あれと似たような物を、俺は昔見た事があった。そう、あの前世で俺を殺した、あの聖女。俺は死ぬ直前、今日厚化粧女から感じた嫌な感覚を、あの聖女の周りに見ていたんだ。
他の人間がどうだったのか、俺と同じ物を聖女に見ていたのか。今では確かめる事はできないが、記憶を思い出した時、あの聖女の体に確かに、ドス黒い物が包んでいたのを俺は見ていた。
まさか、その聖女と同じ物を、厚化粧女から感じるとは。あれにはもう2度と関わらない方が良いだろう。いや、絶対に関わらない方が良い。
次からダンジョンに入る時は、他に誰が入っているのか、入る予定なのかを確認し。シャドウギルドの名を見た場合は、その日のダンジョンを取りやめるか。変更ができるならば変更して、別のダンジョンへ行く事にしよう。
『カズキ、この果物、今日1番美味しいっチュ!!』
『うん、おいしいっぴっ!!』
「そうか、美味しいか!」
『これ、毎日食べられたら嬉しいっチュねぇ』
『カズキ、もってかえっていいっぴっ?』
「ああ、じゃあ沢山持って帰ろう。食べ終わったらみんなで採ろうな」
『いっぱい持ってかえるっチュ!!』
『うれしいっぴっ!!』
元気な2匹にホッとする。しかし……、この果物。これなら……。
62
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる