ライトノベルの悪役魔獣使いだった俺、現代に転生し新テイム能力で今の世界を突き進む

ありぽん

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62話 庭でサリーバーベキュー

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『ふわぁぁぁ、これ、どうするっチュ? 凄いっチュねぇ』

『いっぱい、いっぱい~っぴっ~♪』

『今日はこれから、庭でご飯を作って、そのまま庭でご飯を食べるんだ。バーベキューって言うんだぞ』

『バベ……チュ?』

「バーベキュー。この道具で食材を焼いたり煮たり、あとは蒸す事もできるし。いろいろな事ができるんだ。食材もお肉に魚にお野菜に。これじゃないとダメっていう食材はないから、何でも料理できるんだぞ」

『このパチパチしてて、燃えてる物は何っチュか?』

『パチパチまほうっぴっ?』

「これは魔法じゃなくて、炭って言うんだ。これに火を付けると、すぐには火は付かないんだけど、だんだんと火が強くなってきて、今みたいに全体的に火が付く。しかもすぐに消える事はなくて、長い時間火を使う事ができるんだ。外でご飯を食べる時は、この炭を使うことが多い。他にも燃やす道具はあるけど、うちは炭だな」

『オレ達、ダンジョンで火を使うの大変だったっチュ。それに火を使うと魔獣が寄ってくるから、なかなか使えなかったっチュよ。でも、使ってもすぐに消えちゃう火だったから、問題なしだったっチュ』

「そうだな。確かに火は、魔獣を惹きつけるからな」

『ぼくはひ、つかったことないっぴっ。つよいまじゅうが、つよいまじゅうを、ひまほうでやっつけたっぴっ。そのときの、たべのこしのおにく、おいしかったっぴっ。でもいっしょにもえたくだものは、まずかったっぴっ』

「ははっ、木の実や果物は物によるからな。フェリックスが食べた果物は、不味いやつだったんだろう。今日は果物で、美味しい物を作ってやるから、楽しみにしてろよ」

『おいしい、たのしみっぴっ? やったーっぴぃぃぃ!!』

「よし、和希。そろそろ焼いて良いぞ」

 父さんと一緒に火を起こしていた俺は、火が安定したから、今日最初の具材を焼き始める。そう、アーチーとフェリックスが倒した、あのサリーだ。

 あの最後のアーチーの飛び蹴り。俺が急いで近づき、サリーを確認すると。背中にしっかりヒビが入り、少しだけ中身が見える状態になっていて。サリーは完全に生き絶えていた。

 サリーの皮膚はかなり硬いのに、よくここまでの攻撃ができたな、と感心しながら聞いてみると。

 フェリックスよりも先に、ハサミ部分を齧り落としたアーチー。そのあと、他の足部分を噛み落とし、さらにフェリックスを待っている間に。
 あの硬くて、少しザラザラしている皮膚を。ずっと削るように齧っていたらしい。たとえ完璧に、皮膚を破る事はできなくてもな。

 そうして最後の攻撃だ。アーチーは飛び蹴りをするとき、その削るように齧っていた場所に向かって飛び蹴りをしたんだ。

 皮膚への齧り攻撃で、破る事はなくても、しっかりと削れていた皮膚は。アーチーの飛び蹴りにより、今度こそ皮膚にヒビをいれ、穴があけ、その衝撃でサリーの心臓が止まり。
 こうしてアーチーとフェリックス対サリーとの戦いは。アーチとフェリックスの勝利で、幕を閉じたんだ。

 サリーが完璧に死んだ事を伝え。アーチーとフェリックスに、頑張ったな、見事な連携だった。完璧な攻撃だった。と、いろいろと褒めてやると。2匹は大喜びで、サリーの周りをぐるぐる回りながら踊り出した。

 と、予想していたよりも早く、サリーとの戦闘は終わったんだけど。その踊りのせいで、その予定時間よりも時間が過ぎてしまい。いい加減、俺はサリーを焼いてやろうと、火を起こそうとした。

 しかしここで、アーチーとフェリックスが俺を止めてきて、サリーを持ち帰ると言い出したんだ。ちょうどお昼ご飯を食べようと考えていたからな。ついでにサリーも焼いてやろうと思った俺。何だ? 食べたくないのか? と聞いてみると。

 初めて、大きなサリーを倒したから、父さん達にも見せたい。そして大きなサリーはみんなで食べたほうが、楽しくてもっと美味しくなる。サリーパーティーをやりたい。と言ってきたんだ。

 確かにアーチーとフェリックスの、初めての大物討伐だったからな。サリーを見たら父さん達も喜んでくれるだろう。それにみんなで食べるパーティーか……。

 その言葉に俺は、今回のバーベキューを思いつき。アーチーとフェリックスに言われた通り、そのまま綺麗にサリーを持ち帰る事に。

 そうして持ち帰ったサリーと、アーチーとフェリックスの話しを父さん達にすれば。父さん達もみんな、2匹のことをとても褒めてくれて、すぐのバーベギューの用意を始めてくれた。

『う~ん、良い匂いがしてきたっチュ~』

『おせんべいみたいな、においっぴっ~』

「カリカリに焼くから、確かにお煎餅みたいになるぞ」

『お煎餅っチュ!? ほえぇ、自分でお煎餅作れるっチュか』

「いつもお店で買うようなお煎餅は、さすがに作る事はできないが。お煎餅に似ている物が作れるんだよ」
 
『もうたべれるっぴっ?』

「ははっ、まだ焼き始めて数分だからな。もう少し待ってくて。じっくり焼かないと、焦げて食べられなくなるぞ」

『こげこげ、あれはダメっぴっ。くだものがやけて、まずくなったのよりダメっぴっ』

『カズキ、気をつけるっチュ!! あれはダメっチュ!! ゆっくり焼かないとダメなら、ゆっくりっチュ。オレ達待つっチュよ!! ね、フェリックス』

『うん、まつっぴっ』

 アーチーとフェリックス揃って、うえぇぇぇっ!! という仕草をする。まぁ、アレはな。うん。

 俺は姉さんのどんな料理も真っ黒焦げにしてしまう、料理の腕前を知っていたから。もしも姉さんが、料理をすると言えば、何としても止めたんだけど。たまたまその時、ちょっと買い物に行っていて、姉さんがホットケーキを焼くのを止められなかったんだ。

 そうしてホットケーキを知らないアーチーとフェリックスは、姉さんの作った真っ黒焦げのホットケーキを食べてしまい。
 あの時の2匹には、本当に可哀想な事をした。もちろん俺がホットケーキを作り直したが。

 それからアーチーとフェリックスは、焦げに対してかなり警戒するようになった。それはそうだよな。今日のサリーのお煎餅。焦がさないように、完璧に作ってやらないと。
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