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77話 火と水の一悶着と平和の舞5
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そうしてお祭り当日。俺たちは神社に来て、これからお祭りで披露される、『火と水の神様の舞』を見るところだ。土地を守る二柱の神に感謝を捧げ、これからの平穏を祈るための舞らしい。
神社の中、中心には、今年も神の代わりとして、それぞれのぬいぐるみが供えられていて。舞は、そのぬいぐるみに向けて行われる。
シロタマに聞いたところ、いつも焔護と恵泉が代表のぬいぐるみを選んでいて。あのたくさんの、奉納されたぬいぐるみたちが置かれている部屋で。他のぬいぐるみたちの前に、これが代表だと言わんばかりに、前面に押し出して置いておくらしい。
それで宮司さんたちは毎回、誰が置いたんだろうと首をかしげながらも、まぁいいかとそのぬいぐるみを代表にするらしい。……まぁいいか、で決める宮司さんも宮司さんだけど。ともかく、そうして選ばれた代表のぬいぐるみに向けて、舞は行われる。
赤い衣装の舞手は火を、青い衣装の舞手は水を表していて、最初はそれぞれが激しく、美しく舞う。中盤になると、ふたりの動きは少しずつ交わりはじめ、終盤にはひとつの流れとなって調和する。火と水が合わさることで平和が訪れる、そんな願いが込められているんだ。
ちなみに舞は1日2回、2日間にわたって行われるんだけど。この2日間はあやかしたちも集まってきていて、どうやら隠れてみんなでお酒を飲んでいるらしい。
舞は見ないのか? と聞いたら、たま~に見にきて、また戻ってお酒を飲む、を繰り返していると。焔護と恵泉もそうで、特に焔護は毎年飲みすぎて、どれかの舞は必ず見逃すらしい。
それでいいのかよ!! と思わずツッコミたくなったが。シロタマいわく、焔護や恵泉のように祀られているあやかしたちは、だいたい酒飲みばかりで、みんなそんな感じだから問題ないんだろう、って。せっかくの舞なのに……。
俺はちゃんと見るぞ。小学生の時も見たいけど、ほぼ記憶にないしな。1人でだって見る! というかシロタマもお酒を飲みに行ったんだよ。氷菓丸もお菓子やご飯を食べたいと、シロタマについて行ったし。
他にカエンも来ているし、ピヨ太やヒビキ、ネズじいちゃんやサブロウじいちゃん、他にもみんな集まって、お酒を飲みご飯を食べている。あれだけの人数のあやかしが、どこに隠れて飲んでるんだか。
俺はじいちゃんと神谷さんと一緒に、関係者席に座らせてもらって、舞を見ることに。
そうして時間になって始まった舞は……。とても素晴らしいものだった。こう、その場の空気が変わって、神秘的で、美しくて。うん、ちゃんと見る事ができて良かったよ。
今の時代、確かにテレビや動画で、有名な舞を綺麗な映像で見ることもできる。だけど、目の前でこんなに素敵な舞を見られるなんて。やっぱり現地で、その場で見るのが1番だな。
最初の激しい舞が終わり、やがて火と水の神が少しずつ交わり始める。そして舞は終盤、ふたつがひとつに溶け合う場面へと移っていく。
う~ん、本当に素晴らしいな。午後の舞も見にくるかな? なんて思い始めた頃だった。ふと気づくと周りが暗くなっていることに気づき。俺は舞を気にしながらも、周りを見てみた。しかし何も変わった様子はなく。
次に空を見上げてみる。すると、さっきまで雲1つない、青空が広がっていたのに、今は真っ黒な雲が広がっていたんだ。そうしてすぐに、大きな雷が鳴り始め、ついには大雨が降り始めてしまったんだ。
急いで舞っていた人々が中へ入り、舞を見ていた市民も、神社の中へ入れてもらったり、他の建物中へ入ったりと、まぁ、ちょっとした騒ぎになって。俺とじいちゃんと神谷さんも、神社の中に入れてもらったよ。
バリーンッ!! バリバリッ!! バササササササッ!!
「いやぁ、これは凄いのう」
「こんな雷と雨、久しぶりですね」
「ここは雷雨が多い方だが、それにしても酷いのう」
雷雨に慣れているじいちゃんたちがそう言うんだから、本当に酷い雷雨なんだろう。まったく、せっかく舞を見ていたのに、どうしてくれるんだ。
それにしても、シロタマたちは大丈夫かな? この雷に怖がっていないかな? 何て思いながら、俺は中を見渡す。と、俺は思わず吹き出しそうになった。
今日は代表以外のぬいぐるみも、あちこちに置かれているんだけど。その中にまさかのシロタマが混ざっていたんだよ。
まったく何をしてるんだか。でもあの様子……。シロタマのしっぽがさ。いつもはゆらゆらと揺れたり、ピンと立っているのに、変に左斜めになっているっていうか。
俺はみんなに変に思われないように、ササッと他のぬいぐるみを見る感じでシロタマに近づき、そしてそっと聞いてみた。
「左に、左のドアから出ろって事か?」
すると軽く頷くシロタマ。すぐに俺はじいちゃんに、糸がほつれているぬいぐるみがあったから、雨が降ってる間に修復おくよと言い。そのままササッとシロタマを抱え、左のドアから出たんだ。
神社の中、中心には、今年も神の代わりとして、それぞれのぬいぐるみが供えられていて。舞は、そのぬいぐるみに向けて行われる。
シロタマに聞いたところ、いつも焔護と恵泉が代表のぬいぐるみを選んでいて。あのたくさんの、奉納されたぬいぐるみたちが置かれている部屋で。他のぬいぐるみたちの前に、これが代表だと言わんばかりに、前面に押し出して置いておくらしい。
それで宮司さんたちは毎回、誰が置いたんだろうと首をかしげながらも、まぁいいかとそのぬいぐるみを代表にするらしい。……まぁいいか、で決める宮司さんも宮司さんだけど。ともかく、そうして選ばれた代表のぬいぐるみに向けて、舞は行われる。
赤い衣装の舞手は火を、青い衣装の舞手は水を表していて、最初はそれぞれが激しく、美しく舞う。中盤になると、ふたりの動きは少しずつ交わりはじめ、終盤にはひとつの流れとなって調和する。火と水が合わさることで平和が訪れる、そんな願いが込められているんだ。
ちなみに舞は1日2回、2日間にわたって行われるんだけど。この2日間はあやかしたちも集まってきていて、どうやら隠れてみんなでお酒を飲んでいるらしい。
舞は見ないのか? と聞いたら、たま~に見にきて、また戻ってお酒を飲む、を繰り返していると。焔護と恵泉もそうで、特に焔護は毎年飲みすぎて、どれかの舞は必ず見逃すらしい。
それでいいのかよ!! と思わずツッコミたくなったが。シロタマいわく、焔護や恵泉のように祀られているあやかしたちは、だいたい酒飲みばかりで、みんなそんな感じだから問題ないんだろう、って。せっかくの舞なのに……。
俺はちゃんと見るぞ。小学生の時も見たいけど、ほぼ記憶にないしな。1人でだって見る! というかシロタマもお酒を飲みに行ったんだよ。氷菓丸もお菓子やご飯を食べたいと、シロタマについて行ったし。
他にカエンも来ているし、ピヨ太やヒビキ、ネズじいちゃんやサブロウじいちゃん、他にもみんな集まって、お酒を飲みご飯を食べている。あれだけの人数のあやかしが、どこに隠れて飲んでるんだか。
俺はじいちゃんと神谷さんと一緒に、関係者席に座らせてもらって、舞を見ることに。
そうして時間になって始まった舞は……。とても素晴らしいものだった。こう、その場の空気が変わって、神秘的で、美しくて。うん、ちゃんと見る事ができて良かったよ。
今の時代、確かにテレビや動画で、有名な舞を綺麗な映像で見ることもできる。だけど、目の前でこんなに素敵な舞を見られるなんて。やっぱり現地で、その場で見るのが1番だな。
最初の激しい舞が終わり、やがて火と水の神が少しずつ交わり始める。そして舞は終盤、ふたつがひとつに溶け合う場面へと移っていく。
う~ん、本当に素晴らしいな。午後の舞も見にくるかな? なんて思い始めた頃だった。ふと気づくと周りが暗くなっていることに気づき。俺は舞を気にしながらも、周りを見てみた。しかし何も変わった様子はなく。
次に空を見上げてみる。すると、さっきまで雲1つない、青空が広がっていたのに、今は真っ黒な雲が広がっていたんだ。そうしてすぐに、大きな雷が鳴り始め、ついには大雨が降り始めてしまったんだ。
急いで舞っていた人々が中へ入り、舞を見ていた市民も、神社の中へ入れてもらったり、他の建物中へ入ったりと、まぁ、ちょっとした騒ぎになって。俺とじいちゃんと神谷さんも、神社の中に入れてもらったよ。
バリーンッ!! バリバリッ!! バササササササッ!!
「いやぁ、これは凄いのう」
「こんな雷と雨、久しぶりですね」
「ここは雷雨が多い方だが、それにしても酷いのう」
雷雨に慣れているじいちゃんたちがそう言うんだから、本当に酷い雷雨なんだろう。まったく、せっかく舞を見ていたのに、どうしてくれるんだ。
それにしても、シロタマたちは大丈夫かな? この雷に怖がっていないかな? 何て思いながら、俺は中を見渡す。と、俺は思わず吹き出しそうになった。
今日は代表以外のぬいぐるみも、あちこちに置かれているんだけど。その中にまさかのシロタマが混ざっていたんだよ。
まったく何をしてるんだか。でもあの様子……。シロタマのしっぽがさ。いつもはゆらゆらと揺れたり、ピンと立っているのに、変に左斜めになっているっていうか。
俺はみんなに変に思われないように、ササッと他のぬいぐるみを見る感じでシロタマに近づき、そしてそっと聞いてみた。
「左に、左のドアから出ろって事か?」
すると軽く頷くシロタマ。すぐに俺はじいちゃんに、糸がほつれているぬいぐるみがあったから、雨が降ってる間に修復おくよと言い。そのままササッとシロタマを抱え、左のドアから出たんだ。
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