可愛いけど最強? 異世界でもふもふ友達と大冒険!

ありぽん

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5巻

5-2

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『レンを取り込もうとしているんじゃない、器にしようとしているんだ』

 って。
 ディアブナスはさっき、腕と足が取れたでしょう? それにずっと魔力が漏れています。
 アレは今のディアブナスの力に、生贄いけにえになったラジミールの体が耐えられなくて、そうなったんじゃないかって。もうすぐあのラジミールの体は壊れちゃうみたいです。
 器がなくても、力は使えるけれど、実体があった方が、さらに力が強くなるみたい。
 封印の魔法陣も不完全とはいえ発動しているから、それに対応するために、新しい体が欲しくて、新たな器として、僕を選んだんじゃないかな。
 ディアブナスは僕を取り込むつもりで誘拐とかしてきてたけど、今度は器?
 僕、絶対に嫌だよ。
 だから僕は、立ち止まらずに、なんとか逃げ続けています。
 ルリ達とは途中で合流して、一緒に逃げてくれていたんだ。
 でも少しして、何体も出てきた黒い人型に挟まれちゃいました。

『レン、僕達ハリセン攻撃!』
『魔法できないけど、ハリセン攻撃はできるなの!』
『よし、僕もハリセン攻撃だ。さっき僕は攻撃できなかったからね、今度は頑張るよ!』
『僕は闇魔法で奴らを止めるよ! それでレン達がハリセンで攻撃して!』

 ルリ、アイス、ドラちゃん、ブローがそう言うので、僕は頷きます。

「こげき!!」

 近くにいた方の黒い人型を、まずはブローが闇魔法で抑えてくれます。
 それで動けない黒い人型の頭を、ルリとルリに運んでもらったアイスが攻撃。ドラちゃんは肩と脇腹を攻撃。僕は足を攻撃しました。


 しっかりと決まったハリセン攻撃。
 たたいた部分から黒い光があふれ出して、黒い人型はそのまま消えていきます。
 よし、ハリセンが使える!!
 確認した僕達は、何とか自分達の方に来る黒い人型を消していきます。
 でもね、気がついた時には、最初よりも黒い人型が増えていたんだ。
 僕達を囲んでいるせいで、スノーラ達の姿も、バディー、ローレンスさんの姿も見えなくなっていました。

『これ以上は僕達には無理! 僕が抑えているうちに、あっちに逃げよう!』
『やっぱり僕が飛んだ方がいいかも。あそこのまだ少しは人型が少ない所まで逃げたら、僕がレンをつかんで飛ぶから。みんなはレンの肩や頭に乗って!』

 ブローが悲鳴を上げたら、ドラちゃんがそう言いました。
 ドラちゃんが僕の肩の部分の洋服を掴んで、ルリとアイスが急いで僕の頭の上に乗って、ブローはドラちゃんの頭に乗って、すぐにドラちゃんが飛んでくれました。

『ごめん、今の僕だとこの高さまでしか飛べないみたい。もう少し飛べると思ったんだけど』
『いいよ、あいつらより高いから。あいつら飛べないみたいだからね』

 ブローがホッとした感じでそう言ったよ。
 僕達は今、黒い人型三人分の高さくらいの所を、ふわふわ飛んでいます。
 ふぅ、これで少しゆっくりできる。ドラちゃんありがとう。
 僕は、やっと周りを確認です。
 黒い人型が多いのは、バディー達の所。スノーラ達の所にも何体かいて、スノーラ達の攻撃を、コレイションと一緒に邪魔しています。

『あ、集まってきた!』
『向こうに行こう!』

 確認をしていたら、飛んでいる僕達の下に、黒い人型が集まってきてウヨウヨし始めたから、別の場所に移動します。
 そうしたら黒い人型もついてきて、また離れて……何回もそれの繰り返しになりました。
 でもね、それがよかったみたい。
 他の所にいた黒い人型も、飛ぶ僕達を見てどんどんこっちに集まってきたから、バディー達が戦いやすくなってたんだ。
 うん、それはよかったんだけど。

『まずいよ! あっ! あぶない!!』

 ブローがそう言った直後、集まっていた黒い人型全部が混ざり合って、一つの大きな黒い人型になったんだ。
 大きな黒い人型は、僕達に闇魔法の攻撃をしてきて、吹き飛ばされて僕達はバラバラになります。
 地面に倒れているうちに、僕は大きな黒い人型に捕まっちゃいました。
 そしてすぐに、僕とその大きな黒い人型の下に魔法陣が現れました。
 飛ばされた時の衝撃でちょっとボケッとしていた僕。
 頭をフルフルと振って顔を上げたら、向こうにディアブナスのニヤッと笑う顔が見えて、それからスノーラ達の、僕を呼ぶ声が聞こえました。

『レン! くそ、こいつら邪魔だ!』

 スノーラ達はこっちに来られないみたい。

『レン、離して!!』
『離すなの!!』
『レンを離してよ! えい! もう! 闇魔法弾くなんて嫌なやつ! えい! えい!』

 そしたら、ルリ達が僕の方に来てくれました。
 そしてみんなで、僕を捕まえている大きな黒い人型を攻撃してくれます。
 僕もなんとかハリセン攻撃をと思ったんだけど、大きな手で掴まれていて、自由に腕が動かせません。
 さっき僕を見てニヤッと笑っていたディアブナスは、今は笑うのをやめています。目を閉じてるんだ。
 そんなディアブナスに攻撃するスノーラ達。
 でも目を閉じているのに、スノーラ達の攻撃が当たりません。
 と、ここで魔法陣に変化が。
 魔法陣の模様が、赤黒く光り始めたんだ。僕は光り出した魔法陣を見て、急いでドラちゃんにお願いしました。

「どりゃちゃ! りゅりとあいしゅ、ちゅれちぇ、にげちぇ!」
『ダメ! 今ハリセンで攻撃してる! これ消す!!』
『みんなで攻撃、大丈夫なの!』
「にげちぇ! まほじんひかっちぇりゅ! あぶにゃい!!」

 きっとディアブナスは、今にも僕を器にしようとしているんだ。それで魔法陣が光ってるんだと思う。
 もし魔法陣が発動して、みんなも巻き込まれたら?
 みんなの力もついでに吸い取られて、その強くなった力でスノーラ達を攻撃されたら?
 そんなの嫌でしょう?
 それに今、スノーラ達は僕を助けようと、一生懸命いっしょうけんめい僕の所に来てくれようとしています。
 そのための攻撃が、もしルリ達に当たったりしたら? そうなるかもって、スノーラが動きにくくなるかも。
 それはダメだよ。
 もちろん、ルリ達が怪我するのもダメ。
 僕はルリ達に、何度も逃げてって言います。
 それでも一生懸命、ハリセンで大きな黒い人型を攻撃するルリ達。
 ハリセンが当たったところは、しっかり削れるから効いているんだろうけど、すぐに元に戻っちゃうんだ。
 その時、ブローが攻撃を止めて、ルリ達の方に行きました。

『逃げるよ』

 もちろんルリ達は嫌だって言います。

『レン助ける!』
『置いていかないなの!』
『レンの言う通りだよ。今、みんなが助けようとしてくれてる。僕達が邪魔になる可能性があるなら、レンのためにも、みんなのためにも、今は離れていた方がいいよ。僕は残って、これ以上闇がまとわりつかないようにするから』

 顔を見合わせるルリ達。
 ブローがもう一度『ね?』って言ったら、ルリ達が僕の方をしっかりと見てきます。

『僕、向こうで待ってる』
『ボクもなの』
「うん!」

 大丈夫、絶対スノーラが助けてくれるから。
 ルリとアイスが最後に一発ずつハリセン攻撃をして、ドラちゃんの背中に乗せてもらって、向こうへ飛んでいきます。
 途中で何回も振り返って、僕を見てきて。
 僕はルリ達が向こうに行くまで、ずっと笑っていたよ。


 ルリ達と合流したスノーラ達は、何かを話した後。コレイションを攻撃しながら、僕の方へ来てくれます。
 僕も一生懸命、手を出そうとしているよ。

『これでもくらえ!!』

 スノーラとドラゴンお父さんの合わせ技が炸裂さくれつ!!
 コレイションの体にしっかりと当たって、コレイションが飛ばされました。
 でもすぐに立ち上がって、よく見たら洋服は少しボロボロになっていたけど、全然怪我はしていないみたいです。

『身体強化を最大までかけたか。皆、攻撃を集中しろ!! スノーラ! お前はレンの元へ行くことだけ考えろ!!』

 ドラゴンお父さんの合図で、次の攻撃がまた、コレイションにしっかり命中して、コレイションがさっきよりも吹き飛んだよ。

『レン!!』

 スノーラが僕の方へ走ってきます。
 それで、いつものヒュンッ! って見えない動きで、一瞬で僕の目の前に来たスノーラ。
 でも次の瞬間、スノーラが何かに弾かれて少し後ろに下がりました。
 ブローがすぐに確認。
 僕達の後ろには何もなかったんだけど、前にだけ見えない結界みたいなものがあるって。
 スノーラが急いで後ろに回ります。でもまた弾かれて、ブローが前と横を確認。前には何もなくなっていました。
 どうもスノーラが行く方行く方に、見えない結界が出るみたい。
 チッ! と舌打ちをしたスノーラ。
 見えない結界を無理やり攻撃しようとしたら弾かれちゃって、スノーラの体にビリビリ雷みたいなものが襲いかかりました。

「しゅの!?」
『くっ!』

 スノーラが弾かれた瞬間、僕達の周りをさらに何体もの、大きい黒い人型が囲みました。
 と、同時に、ディアブナスが僕の方に飛んでくるのが見えました。
 僕は急いで、ブローに逃げてって言います。
 ブローは凄く嫌そうな顔をしたけど、すぐにルリ達の所に行ってくれました。
 そしてブローが向こうへ行ってすぐ、ディアブナスが僕の隣に浮かんで、みんなを見渡しました。
 ブローを見て、スノーラ達を見て、それから僕を見て。
 スノーラが来てくれようとするんだけど、あの動く結界に邪魔されて来られません。

『ようやく準備が整った。お前はこれから私の新たな器として、私を受け入れるのだ』

 僕はディアブナスをにらむけど、ディアブナスは気にせずに僕の頭に手を置きました。

『復活できたのはよかったが、まさかここまで、予定通りに動けないとは』

 ディアブナスが話している時でした。
 ぼろっとディアブナスの片足が取れたんだ。それから顔、ほっぺの部分がちりちりってがれてきて、剥がれた皮膚がサラサラ、風に乗って消えていきます。

『スノーラ、急げ!』
『分かっている!』

 向こうからドラゴンお父さんとスノーラの声が聞こえるけど、振り向くことができません。
 ディアブナスが僕の頭に手を置いてから、僕、動けなくなっちゃったんだよ。
 それに……。
 ディアブナスは精神世界で、僕とブローを取り込もうとしていたでしょう? あの世界は本当に気持ち悪かったんだけど、今の感覚は、もっと気持ち悪い感じがするの。
 そんな僕の様子を無視して、ディアブナスがまだ話してます。

『だがお前を新たな器にすれば……お前の力はかなりのものだからな。私の力にも耐えられ、さらにはお前の力までも、手に入れることができる。お前は小さすぎるから、動きは制限されるだろうが……お前のその力があれば、そんなもの大した問題ではない』
『スノーラ、助けて!!』
『助けてなの!!』

 ルリ達の声? 何かとっても遠くに聞こえる。
 それにルリ達よりも近くにいるスノーラの声は、もっと遠くに感じる。
 何か変な感じだよ。
 ディアブナスの、僕の頭に乗せている手から、ブワッと黒いモヤが出てきました。
 このモヤモヤはダメな気がする。
 ハリセンを使って抵抗できれば、体をディアブナスに取られちゃうまで時間を稼いで、その間にスノーラが助けに来てくれるかな?
 僕の腕動いて! お願い!!
 僕はどうなってもいいけど、ここには大好きなみんながいるんだよ。
 新しい僕の家族がいるんだよ。
 僕、ここに来て、家族ができてとってもうれしかったんだ。
 僕が体を乗っ取られて、僕の力でみんなを攻撃されたら――
 そんなの嫌だよ。だからお願い! 腕動いて!!
 でも僕の思いとは裏腹に、腕は動きませんでした。それどころかさっきから、体から力が抜けていく感覚がします。
 それに頭がふらふらする感じもしてきたよ。
 お願い、僕、スノーラ達には幸せでいてほしいんだ。
 スノーラは前に大切な人がいなくなっちゃって。
 ルリもアイスも、他のみんなもコレイション、ディアブナスに傷つけられて。
 みんなにはこれ以上傷ついてほしくないんだよ。

「て、うごかしゅ」
『何だ、まだ意識があるのか。ふんっ、もうかなり私の力を注いでいるはずだが』
「はりしぇん、ちゅかう」
『はりしぇん? お前達が使っている、見たことのない武器のことか? 確かにかなり使えるようだな。今の私の状態は、お前達のその武器のせいだからな。コレイション!!』
「はっ!!」
『これから私は、この者の中へ入る。すぐに終わるが、その瞬間を狙われると面倒だ。しっかり奴らを抑えておけ』

 そう言って、スノーラ達がいるだろう方を見ます。
 お願い動いて! それでハリセンで攻撃するの!
 でもその瞬間、ブワッと、ドロッとしたものが、僕の中に入ってくる感覚がして、目の前が暗くなってきました。
 視界のはじから、どんどん黒に染まってくる感じです。
 それから遠くの方で、スノーラやルリ、アイスの声が聞こえた気がしました。
 ごめんねスノーラ、ルリ、アイス。このまま体を乗っ取られたら、みんなを確実に傷つけちゃう。本当にごめんね。
 僕はそっと目を閉じました。
 その時……。

『何だ!? どこから現れた!! くそおぉぉぉ! ふざけるなあぁぁぁ!!』

 ディアブナスの怒鳴り声が聞こえたんだ。
 でもおかしいの。さっきまで目の前でディアブナスは話していたのに、今の怒鳴り声は遠くで聞こえたんだ。
 それからブワッとしたドロドロとした感じも、僕の体から出て行った感覚がありました。
 それに、僕の頭を押さえていた、ディアブナスの手の感触もなくなりました。
 それに体がとってもスッキリした気がして、腕を動かしてみたら軽く動いたよ。
 でも……。色々とスッキリしたし、軽くなって腕も動かせるようになったけど、背中に何か、掴まれている感覚が。
 それから僕の周りを、風がかなりの勢いで吹き抜ける感じがしてます。

『これ、一体どんな状況なの? なんでこんな危ない状況になってるのさ』

 え? この声?
 目をそっと開ける僕。
 見えたのはディアブナスでも、スノーラ達でも、ユイゴさん達でもありません。
 それどころか誰も僕の前にはいません。見えているのは街の風景。
 え? と思いながらさらに周りを確認しようとした僕。
 でもまたあの声が聞こえて。

『本当にギリギリだったよ。なんであんな状況になってるのさ』

 バッ!! と見上げる僕。
 そこには大きなカラス――魔獣姿のカースが、僕を掴んで飛んでいました。


 ◇ ◇ ◇


『イテテテ、久しぶりに本気を出したから、距離を見誤ったね』

 周りを確認しようと、この辺りで一番大きな木に止まろうとしたら、僕、カースは行きすぎて、枝に顔をぶつけてしまった。
 はぁ、これで何回目だろう。
 だんだんと感覚が戻ってきて、ぶつかる回数は減ったけどね。
 森を出てから数時間、僕はもう街の近くまで来ていた。
 うん、やっぱり僕が本気を出せば、こんなものだ。
 ただ……、この状況はまずいね。街へ近づくにつれて、闇の力がかなり強くなってきてる。
 今では周りの気配が分からないほどに、闇が全てを覆ってしまっている。
 まったく、前にディアブナスが現れたあの頃のようだ。いや、あの頃よりも悪い状況かな。
 はぁ、まったく。マサキが命をかけて封印したのに、誰がその封印を解いたのか。
 奴が世界を支配すれば、この世界なんてすぐになくなってしまう。そんなこと分かっているはずだろうに。
 そうまでして奴を復活させ、何がしたいのか。
 ディアブナスがここまで力を取り戻しているなら、スノーラだけでは止められそうにないか。
 でも、ディアブナスがあの街にとどまっているということは、他にも何かあるのかな?


 僕は再び動き出す。

『確かまっすぐに進んで右に少し曲がって、それからまたまっすぐ? いやぁ、久しぶりに森から出たから記憶がねぇ。ん? あれは……』

 向こうの方に街が見えてきた。
 記憶通り、スノーラ達が向かった街だ。
 その街はどこよりも闇の力を強く感じる。
 あの街に奴、ディアブナスがいることは間違いないだろう。
 それにしても、街を覆っている結界と、それに群がる魔獣達。
 街を守っている結界からは、さまざまな力を感じる。
 どうも僕が思っていたよりもかなりの人数で、ディアブナスに対抗しているみたいだ。
 大勢の者達の力で張られている、街を守る結界。そしてその結界を張るための魔法陣。
 それは昔、結果としては失敗してしまった魔法陣でもあるけれど、それでも一度はディアブナスを封印した魔法陣だ。
 確かにあれで止めておくのはいい考えだね。
 ただ、いくらスノーラ達でも、ディアブナスの相手をしながら、この魔法陣を発動させたとは思えない。
 しかもよく見れば、まだ魔法陣は不完全だ。
 誰かが何とか発動させたけど、全然魔力が足りていないって感じかな。
 う~ん、そうだね。着いたら僕は魔法陣の方に行こうかな? まずは魔法陣を完成させることが大事だろう。
 それと、どこから入ろうか。
 せっかくの結界だ。僕が中へ入るために穴を開けて、そこから魔獣が入ったら、結界を張った者達に文句を言われそうだよ。
 その辺からヒョイと入れてくれないかな?
 なんて考えているうちに、僕は街の中心の上空に着いた。
 う~ん、本当にどこから入ろうか。
 と、あれはハイエルフか?
 そうか、彼らが来てくれていたんだね。だからここまでもったのか。
 さてさて、ディアブナスはどこだろうね。
 ……おっ、あれか。あいかわらずの禍々まがまがしい力だね。
 ん? おいおい、何をやっているんだ!
 レンが捕まってるじゃないか! しかも、ディアブナスに頭を掴まれてる!
 僕は急いで結界の中に入れそうな場所を探す。
 僕が中へ入れば、あそこまでは一瞬で着く。
 ハイエルフ達には悪いけど、彼らの結界に穴を……。
 そう思っている時だった。
 たまたま魔獣達が結界に穴を開けている所を見つけた。
 結界は何度も修復しているようだけど、あそこはどこよりも、弱くなっていたみたいだ。
 ちょうどいい、あそこから入らせてもらおう。そして全速力であの子の所に行かなきゃ。
 僕は穴の開いた方へ向かう。
 あまり速く飛ぶと中に入れずに通り過ぎることになるから、ここだけは普通に飛んだ。
 そうして次々に、街に入ろうとする魔獣達をささっと倒しながら、結界の中へ入って、次の瞬間――結界が修復された。
 危ない危ない、ギリギリだった。
 近くにいたハイエルフ達と目が合う。
 でも僕が誰かすぐに分かったようで、攻撃をされることはなかった。
 僕は一直線に、あの子の所へ向かう。
 一瞬だ。僕はそれだけ速く飛べるのだから。
 ディアブナスに僕の気配がバレていなければ、一瞬で助けることができる。
 スノーラのためにも、スノーラの家族を助けないと。
 彼が悲しみの中で生きるのは、もう見たくないからね。もちろん後でお礼はしてもらうけど。
 見えた! よし、気づいていない! 今だ!!


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