ダンジョンの戦闘配信? いやいや魔獣達のための癒しスローライフ配信です!!

ありぽん

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65話 特別枠で待っていたのは?

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「え?」

「だから修也の所の魔獣が来てるわよ」

 今日は協会で、いつもの魔獣癒しの日だ。この前はかなりの予約数だったけど、今日はいつもと変わりない頭数と聞いてたため、時間通りに協会へやってきた。が、着いて早々、裕子さんから、まさかの魔獣の話しを聞く事に。

 修也のビックファイヤーモンキーとキックバードとメッセージバードが、特別わくとして、待っていると言うんだ。

 特別枠とは、たまたま協会に来ていて、職員がこれは癒さないとダメだと思った魔獣がいた場合。家族の許可をとり、予約とは別に俺の癒しを受けることができるものなんだけど。
 その特別枠に、修也達の魔獣が入ったらしい。しかもそれを修也に提案したのは裕子さんだった。

「それがね、ここ最近ガルーちゃんに、修也の所の魔獣達が話しかけてきてきていたのよ」

 始まりは少し前、その日も修也達はいつも通り、自分達が個人で採取した物と、ギルドで採取した物を売りに来ていた。
 それでその時は、プレイヤーは修也達だけしかおらず。裕子さんじゃなくて、別の職員さんが相手をし。裕子さんはその日提出された、書類や素材の買取について、まとめたり確認作業をしていたらしい。

 と、気づけば、裕子さんも驚く姿が。今まで裕子さんは修也の魔獣達を心配して。何度か自分の家族魔獣、レッドタイガーのガルーちゃんに。何か困っていることはないか、修也の魔獣に聞いて欲しい、と頼んでいた。

 しかしガルーちゃんが、いくら修也の魔獣達に話しかけても、ひと言も言葉が返ってくることはなく。それでもガルーちゃんは、毎回話しかけてくれていたらしい。

 そしてこの前だ。裕子さんが気づいた時には、今まで何も話してこなかった修也の魔獣達が、ガルーちゃんと話しをしていて。
 何を話しているのか気にはなったが。もしも大事な話しをしていたのに、自分が近づいたことで話してくれなくなったらと、その時は何もせずにいて。

 そうしてみんなが帰った後に話しを聞けば、ここに癒しはあるのか、と聞いてきたって言うじゃないか。だからガルーちゃんは、ここで癒しを受けられると、詳しい話しをしようとしたって。

 ガルーちゃん。お母さんみたいな魔獣なんだよ。まずレッドタイガーだけど。レッドタイガーはA級の炎を得意とする魔獣で。姿は虎を3倍にして、毛の色は炎のように燃えるような赤にした感じだ。とても強い魔獣のため、かなり恐れられる魔獣だよ。
 
 ただガルーちゃん。裕子さん同様、魔獣達が怪我をしていないか、無理をしていないか、とっても心配してくれる優しい魔獣だからさ。
 あんなに長い間話しかけても、返事をしてこなかった魔獣達が、急に癒しの話しをしてきたから、これは何かあると、詳しく話しを聞こうとしたらしい。

 でも初日は、癒しの事を聞いただけで、修也の魔獣達は、それ以上話しをせずに、そのまま帰ってしまった。

 だけどその後も協会に来るたびに癒しについて、少しずつ長く話しを聞いてくるようになり。俺についても聞いてきて。ガルーちゃんはその話しを全てを、きちんと裕子さんいに伝えた。

 そうして報告を受けた裕子さんは、はっきりと修也の魔獣達が口に出してはいないものの、心では癒しを求めていると判断。それとなく修也に、魔獣達に癒しを受けさせみないかと、提案したんだ。

「いろいろあるといけないから、あんまり首を突っ込むべきじゃないけど。今までの態度とあまりにも違うから。本当に癒しを求めているのかと思ってね」

「なるほど……」

「なぁ、タク。これってもしかしたら」

「ああ」

「どうしたの?」

「実は今回のこと、俺達が関係しているかもしれません」

「どういう事?」

 俺達はあの時の話しをした。修也に魔獣達を押し付けられて、その流れで魔獣達を癒してリフレッシュしてあげた話しを。そして何かあれば、協会にいる魔獣に話しをしろと言った事も。

「じゃあ、もしかして、その話しをちゃんと理解していて。たまたまその時にいた、ガルーちゃんに話しをしてきたのかしら」

「その可能性が高いと思います」

「そう。じゃあ拓哉君が言ったいう通りに、話してきたって事は。本当に癒しを求めている可能性が高いってことね」

「今から癒しに行きますが、もし話しが聞けるようなら聞いてみようと思います。それにしても、よく修也が癒しを受ける事を受け入れましたね。協会から強制的に指示を出したんですか? 修也はそういいう提案、絶対に突っぱねるでしょう」

「それが、私も最初は断られると思ったんだけど。何故か何も言わずに、私の提案を受け入れたのよね」

「は? あの修也がですか?」

「ひと言、分かった、ってね。それで特別枠に申し込んで、今日ちゃんと連れてきたのよ」

「そういえば、魔獣がいるって事は、修也もここにいるって事だよな?」

「あっ、そうだよな。じゃあ話しを聞くのは無理か? 話している途中で入ってこられてもな」

「修也なら、時間が勿体無いとかなんとか、ダンジョンに潜りに行ったわよ。完璧に癒しが終わったころ、迎えにに来るって」

「そうなんですか? 俺達に会いたくなって感じか……」

「なら、話しを聞けるな。早く行って、みんなを癒してから話しを聞いてみよう」

「頼むわね。もしかしたら今の話じゃないけど。強制的に助ける事になるかもしれないから」

「はい! よし、じゃあ行こう」

 俺達はすぐにいつもの癒しの部屋へ向かった。
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