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110話 予想外の魔獣討伐
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「何もないって言ったけど、そうじゃななかったっぽいな」
「だな。あれから逃げてきて、ここまでは来ないと思って、こっちに集まってた感じか」
「こっちに来るなんて、そうないからな。やるしかないか」
「まぁ、配信が終わった後で良かったじゃないか。俺達は戦闘配信には向いてないカメラだからな」
「いつものププちゃんの魔獣討伐なら、ゆっくり撮影できるから、そのまま配信するけどな」
「これはさすがに無理だ。ま、俺達ならすぐに倒せるだろう。で、そろそろおばさんに頼まれた食材を獲り始めないと、少ないって言われて、また怒られるぞ」
「はぁ、ゆっくり獲る予定だったんだけどな。ほら、ラビ! ププちゃん!! クーちゃん!! 勝手に行こうとしない。それに挑発するんじゃない!! それとブーちゃん! いい加減こっちに戻ってこい! 優雅にゆらゆらと揺れている場合じゃないだろう! まったく危機感のない」
「ラビ達は、そこまで強敵じゃないと判断したか?」
「どうだか。だが、油断は禁物だからな。ほら、みんな乗れ乗れ」
俺達の乗っている船に戻ってきたラビ達を、すぐに船に上げ。優雅に浮いていて、ゆっくりゆっくり、やっと戻ってきたブーちゃんも、しっかり骨付き肉型ビート板と共に引き上げると。俺達は急いで、船置き場へ向かう。
と、俺達が進み始めて10数秒後、俺達の今まで居た辺りに、大きな魚魔獣が飛び出してきた。
配信が終わったのは、今から2時間くらい前。クーちゃんの泳ぎの練習、プルプル達との触れ合い。そしてププちゃんの新技のお披露目と。予定していた配信内容は、全て何事もなく終わることができ、配信は終了した。
そうして配信が終われば、そこからは俺達の時間ということで。もう少し沖で遊びたいというラビ達と、再び俺達は沖へ行き。今度は晴翔も一緒に海に潜り、みんなで遊んだんだ。
クーちゃんも配信の時の泳ぎの練習で、すぐにしっかり泳げるようになったから、問題はなかったぞ。
そうして、いつもよりも少し早いおやつを食べて。もう少し、1時間くらい遊んだら、母さんに頼まれていた食材を獲って帰ろう、とラビ達と約束して。最後にもう1度だけ沖へ向かったんだけど。さぁ、そろそろ浜辺に戻ろうか、と言おうとしたところで、問題が起きた。
普段はもっともっと、かなり沖にいるはずの、超攻撃的で有名な、AランクよりのBランク魚魔獣、サンダーシャークが現れたんだ。
サンダーシャークは、ホオジロザメを3倍にした感じのサメ系魔獣で。お腹が空いていようといまいと、目に入った物は何でも噛み付くか、雷魔法で攻撃してくる。その範囲の広いこと広いこと。
しかも海で雷を使うのに、自分はまったくダメージを受けず。雷のせいでバチバチ火花が散っている海を、こちらへ向かって進んでくる。
ただ、雷の魔法は連発できない。15分に1回くらいか? なので、その間に海水に残っている、雷に気をつけながら、奴を攻撃する。
が、ここでも問題があって。その辺の弱い、切れ味の悪い剣だと、奴の皮膚に弾かれてしまい、傷を負わすことができず。魔法も弱い魔法では弾かれてしまうので、そこは気をつけないといけない。
今回は晴翔と、一応はこいつを倒せるほどには、魔法を使える俺がいるから大丈夫だろう。それに協会の職員もいるしな。
いや、どうもな今回、このダンジョンの海へ来ていたプレイヤー達は、Bランクではあるが、奴を倒せるまでの、剣や魔法を使えなかったようで。協会の職員が、絶対にここから出るなと、急遽結界を張り、その中へプレイヤー達を入れていたんだ。
サンダーシャークは浅瀬に行かないため、浜辺にいる人達に、雷攻撃がとどくことはないけれど。
時々プレイヤーの方が、近寄るなって言われてるのに、勝手に近寄って来て。余計な手出しをし、怪我をすることがあるから。そうならないように、結界の中に入れるんだよ。
「さて、久しぶりにあれでも狩って、お金にでもするかね」
「そうだな。あの大きさなら、まぁまぁの値が付くだろう。後は教会側が何て言うかだけど」
一旦船を降り、奴が泳ぐ姿を見ながら、協会職員の方へ向かう、向こうも俺達の方へと駆けてきた。
「どうしますか? あなた方のレベルなら、問題なく討伐可能だと思いますが」
「こちらで処理いたしましょうか?」
「できれば俺達に、討伐させてもらいたいんだが、それで良いか? うちの家族もやる気満々なんで」
「分かりました。討伐後は協会へ売りに?
「ええ、そのつもりです」
「でしたら、あなた方が討伐しているうちに、ことらの回収班を呼んでおきます。結局持っていく場所は協会ですからね」
「ありがとうございます」
「それから、今回は私達が、その場であなた方の討伐を見届けますので、討伐に関する書類の作成は不要です。代わりに、こちらで換金用の書類をお渡ししますので、その書類を後日協会に提出していただき、報酬をお受け取りください」
「分かりました」
「討伐、よろしくお願いします。何かあればすぐに呼んでください」
「はい、では」
俺達は再び船乗り場へ。
「さてと、じゃあどの辺まで、奴を誘い込む?」
「そうだな。どうせ奴も警戒して、こんな浅瀬まではこないだろう。馬鹿な奴じゃないからな。見てみろ、さっきの場所からこっちには入ってこない。ただ、もう少しならいけると思うけど」
「だよなぁ。じゃあ、岩くらいまででどうだ? 俺達の足場としても使えるし、奴もあそこくらいなら、何とか来てくれるだろう。まぁ、来なかったとしても、俺とお前の合わせ技で、一気にやれば良いさ」
「だな。後は……。ラビ、ププちゃん、ブーちゃん、クーちゃん。絶対に俺や晴翔から離れるんじゃないぞ。何か技をする時も、俺達の側でやるんだ。良いな」
『きゅいっ!!』
『ぷぷっ!!』
『ぬおっ!!』
『は~い!!』
こうしてやる気満々なラビ達と、俺と晴翔は、最初よりは丈夫な船に乗り。再びサンダーシャークのいる沖へと向かった。
*・゜゚・*:.。..。.:*・' .。.:*・゜゚・* *・゜゚・*:.。..。.:*・' .。.:*・゜゚・*
ご愛読ありがとうございます。ありぽんです。
今年も第5回次世代ファンタジーカップの季節がやってきました。
私、ありぽん、今年も参加させていただきます。
毎年、皆様の温かい応援に支えられ、いつも力をいただいております。
皆様に楽しんでいただけるよう、今年も精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
なお、ファンタジーカップに合わせてまして、
3月21日(金)午前0時に新しい作品を掲載予定です。
少し早い掲載になりますが、是非よろしくお願いいたします。
そして、ファンタジーカップの応募開始となる28日には……。
第5回次世代ファンタジーカップ、どうぞよろしくお願いします!!
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