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第3章 幼女編
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しおりを挟むギルの実力を茶化したつもりも、侮っていたつもりも全くなかった。だけど、まさか、ただ剣を構えただけでこれだけ圧倒されてしまうなんて思いもよらなかった。さっきのギルに対する発言は彼を軽んじ過ぎていたと反省し、そのまま正座して小さな頭を下げた。
「先ほどは、失礼な発言をしてしまい、大変申し訳ありませんでした」
「なんだよ、急に」
「こんなギル様から、教えをうけたまわれるのは、本当に光栄なことだと思っています。これから剣術の、ごきょうじゅをどうぞよろしくおねがいします」
「いつの間にそんな難しい言葉使えるようになったんだ?」
「これからは師匠とよばせてください」
「師匠って、仮にもお前はお姫様なんだから教えても護身術だけだ」
「ギル様の剣術をごきょうじゅいただきたいです!」
「だからダメだって」
「良いっていうまで、頭をあげません!」
頑なに頭を上げようとしない私に、はぁと本日何度目かのため息をつくギル。
「お願いギル!私強くなりたいの!」
なかなか首を縦には振ってくれないギルに煮を切らしそう叫ぶと、棒を強く握るとボっと炎が上がった。思わず手から離した木の棒は地面へ投げ捨てられるとそのまま炎に覆われ燃え尽くされてしまった。
「も、もえちゃった」
自分でもびっくりとして唖然とする。けど、それ以上にびっくりするギル。目を見開いてしばらく私を見つめたあと、ようやく声を発した。
「……だめだ、お前もう俺だけじゃ手に負えない。剣術の前にそれを制御できるようにならないと」
「そ、そんな!」
「ルイスに相談してみる」
それからは、ギルもことの重大さを感じたようで、急いで城へ帰るとルイスの元へ連行されてしまった。
ルイスは私のお目付け役でもある、自分ではどうしても甘く接してしまうからかわりに叱ってもらおうとしているのかもしれない。
「城の中と違って外部は魔素が充満している。蓄えていたもの以上に、どんどん魔素が蓄積されて爆発したんだろう。おそらく魔素を取り込む吸収が良過ぎるあまりに、元々の取り込める許容値が突破してしまった」
「上限突破って、こんな子どもが?今までどれだけ濃い魔素を取り込んでたんだよ」
「これじゃレイン様の膝上で見せた4元素の魔法もできてもおかしくない」
二人で幼子の未来を危惧している。なかなか深刻な事態のようで二人とも表情が険しい。自分のことながら、そんなことどうでも良いから早く魔法や剣術を学びたい私。
「リリア、これ以上は看過できない。この意味が分かるね?」
「分からない。強くなりたい」
「どうして」
その問いには、ギルが答えた。
「どこかに嫁に出されて外交の手段にされるのは嫌なんだってよ」
はぁ、と呆れたようにため息をつくルイス。
「そんなに嫁ぐのが嫌なら、もちろん結婚しない選択肢だってある。ずっとここにいて、あの得体の知れない黒い飲み物を飲んで、ポテチというものを食べて悠々自適に暮らせばいい」
「それではレイン様のお役に立てない」
「レイン様はそんなこと望んでいない。厳しいことを言うようだが、一人の力が加わったところで状況が打開するような簡単な問題じゃない。あの人は敵が多いんだ。リリアが戦うなんて言ったら心労が増すばかりだ、リリアには癒しであって欲しいんだよ」
「私が力を得ても無駄ってこと?かえってレイン様のストレスになるってこと?」
「そうだ、だから諦めなさい」
私が戦わない方が皆幸せなのか。お腹がすいたよ、ぶーぶーと足をばたつかせていた方が良いのか。自堕落に優雅に過ごせば良いのか。
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