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〜閑話〜

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アレックスサイド

俺の名はアレックス・ラ・ファン・レサーラ。レサーラ王国の王子で、将来は、このレサーラ王国を継ぎ全てをこの手に握る覇王だ。選ばれた男、それが俺、この間までそう思っていた。

祝福の儀で出会ったいとこ。名前は聞いたことがあったがあんな生意気な奴とは知らなかった。父上や母上が、いつも褒めていたので、いけ好かない奴だとは思っていたが、まさかあんな武闘派だったとは。

勇者の称号を得て、やはり自分が選ばれた存在だと確信したその直後、あやつは、また俺に恥をかかせた。許せん。こうなったら、あいつを付け回して、あの強さの秘密を知るしかない。

そして、その秘密を盗んだ後は、再び俺が、王としてこの世に君臨し、あやつを顎でこき使ってやる。見た目だけはいいから、側室ぐらいならしてやってもいいぞ。

しかし、念のためどれぐらい強いか俺の師匠である騎士団長に聞いたら、残念ながら人類であれに対抗できるのは、現時点で、剣聖様しかいないと聞いた。おそらく王宮筆頭魔術師では、呪文を詠唱中に瞬殺される可能性が高く、騎士団長も、体力負けしかねないそうだ。あんなゴリラみたいな騎士団長より体力が上とは。

実は3人とも訓練をリクエストされていたが、なんとか回避し続けていたらしい。ところが今回、王からの通達で、3人とも涙目だそうだ。

王宮筆頭魔術師に至っては、どうやって逃げ出そうか、それだけを真剣に考えている最中らしい。

そんなことを聞くとますますあいつの秘密が知りたくなる!

俺の名はアレックス・ラ・ファン・レサーラ、全てをこの手に握る覇者だ!主神様、私は誓う、いつの日かあいつを俺の足元に膝まづかせることを。そのためにも明日から観察だ!


ロザリアサイド

ああ、今日、わたしくは、ついにわたしくしの夢の王子様に出会いました。女の方と聞きましたが、遠い南では、女性とも魔法で子を得られるとのことですし、別に苦になりませんわ!わたくしは、わたしくの愛を貫くためエルセリア様の伴侶として、選ばれ、そして、よき子を得たいと思います。このロゼリア・ラ・ファン・パラスの名において、この愛を主神様に捧げたいと思います。主神様、わたくし達をお導きくださいませ!


王宮筆頭魔術師サイド

わしの名は、サリス・セルマン。王宮筆頭魔術師をやっておる。残念ながら、この地位は、魔術師の中で決める名誉的なもので、別に一番強いとか一番術が得意だとかではなく、どうやって、皆の間を調整するかにかかっておる。面倒な役目じゃが、まあ満足しとる。しかし、最近、エルサリスとかいう公爵令嬢が、訓練したいというので、遠見の鏡で覗こうとしたらあやつ気がつきおった。そればかりかこちらを見て不敵に微笑みおった。いかん、あれは、若い自分お師匠様と一緒になんとか倒した黒竜より何倍もやばい。こうなったら、引退してこの地位を一番弟子に譲るべきか。しかし、誰がなったとてボコボコにされる未来しか見えぬ。主神様、どうして、魔族との対戦の時、あの鬼神のような、おなごを生まずに、この平和な世に遣わされたのか。間違っているじゃろ、主神様!




妖精サイド

主神様、あれは無理です。更生しません。更生というのは善悪がわかっていて、初めて正しい方に向かえるものです。あいつは、自分が間違っているということすらわかっていないのです。勘弁してください。主神様。配置換えをお願い致します。


主神サイド

参ったな。いきなり殴りかかってくるとは。避けられたからいいようなものの、あたったら主神の威厳がなくなってしまうから目も当てられない。どんどん鋭さも増しているし。あいつ、現時点で、武神より強くないか?そして、この皆から届く謎の祈りの数々。頭が痛い。もう顕現するのはやめようかな。ほんと。姿を見せた途端に殴りかかってくるなんて、クレイジーすぎだろ!





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