46 / 234
第四十六話 世界二位、タダ働きに泣く
鈴木努は、
現在、世界ランキング第二位。
匿名の謎ランカー。
その正体が本人だとは誰も知らない。
本人も知らない。
世間が知っているのは別の顔だけだった。
五輪五冠の怪物
総合格闘技世界王者
変態スーツ男兼世界パルクール大会優勝者
サイコパス鈴木
肩書きが終わっていた。
さすがに各方面から苦情も多かった。
品位に欠ける言動。
他人名義出場問題。
煽り発言。
子どもへの悪影響。
そこで日本スポーツ界は決めた。
「社会貢献させよう」
ありがちな処分である。
第一弾 謝罪会見
記者会見場。
フラッシュの嵐。
司会者が言う。
「まず、藤原正吾さんへの件について一言お願いします」
努はマイクを持った。
「えー……」
少し考える。
そして堂々と言った。
「本人がそのまま出ても優勝していたと思います」
会場が凍った。
「ですので、私は代理として責任を果たしただけです」
さらに凍った。
「相手はザコばかりでしたし」
たまりかねて記者が聞く。
「謝罪は?」
「え?」
「謝罪会見ですが」
「もちろん私は、心から藤原さんを応援してます」
最悪だった。
後日ニュース見出し。
『謝罪会見で謝らない男』
『反省ゼロ』
『サイコパス再確認』
炎上再燃である。
第二弾は、子どもスポーツ教室であった
全国巡回。
パルクール体験会。
格闘技基礎講座。
陸上教室。
体育館で子どもたちが目を輝かせる。
「うわー!本物だ!」
「金メダルの人だ!」
「かっこいい!」
努は少し機嫌が直った。
(子どもは純粋だな……)
だが指導内容は若干おかしかった。
「いいか、相手が油断したら後ろに回れ」
先生たちが止めた。
「それは違います!」
「勝負は勝ったやつが強い」
保護者がざわつく。
「このスーツ着ると速くなるぞ」
ラバースーツを出した瞬間、スタッフに没収された。
そして第三弾は、未来のアスリート育成講座であった。
スポーツ選手志望の子どもたちへの特別授業。
「努力とは何ですか?」
という質問に、努は真剣に答えた。
「継続と、補助金だ」
教育委員会が頭を抱えた。
しかし、どの会場でも人気は高かった。
なぜなら実績は本物だからである。
子どもには人格評価よりメダルの方が強い。
だが、努の顔はずっと曇っていた。
理由は単純。
『タダ働き』だから。
帰宅後。
ソファで倒れ込む努。
「ああ……金が欲しい……」
ニーが頭の上に乗って言った。
「もう一億円もらったじゃん」
「それはそれ」
「これはこれ」
ニーは固まった。
「……なんだいそれ」
「真理だ」
「君のお母さんそっくりじゃん」
努は飛び起きた。
「やめろ!」
「あんなのと一緒にするな!」
「取材に来る人間を嫌ってこの可愛い息子である俺を追い出したやつだぞ!」
ニーは冷静だった。
「でも言ってること同じだよ」
チーも頷く。
「さすが親子」
「似てるね」
「似てない!」
全力否定だった。
だが、
それはそれ、これはこれ
金への執着
自分ルール優先
かなり似ていた。
その頃、世界ダンジョン協会では。
「匿名世界二位、依然特定できず」
「候補者に鈴木努は?」
「あんな変態が?まさか」
また外した。
世界第二位は、
国家機密級の強さを持ちながら、
無償ボランティアに不満を漏らし、母親そっくりと言われていた。
現在、世界ランキング第二位。
匿名の謎ランカー。
その正体が本人だとは誰も知らない。
本人も知らない。
世間が知っているのは別の顔だけだった。
五輪五冠の怪物
総合格闘技世界王者
変態スーツ男兼世界パルクール大会優勝者
サイコパス鈴木
肩書きが終わっていた。
さすがに各方面から苦情も多かった。
品位に欠ける言動。
他人名義出場問題。
煽り発言。
子どもへの悪影響。
そこで日本スポーツ界は決めた。
「社会貢献させよう」
ありがちな処分である。
第一弾 謝罪会見
記者会見場。
フラッシュの嵐。
司会者が言う。
「まず、藤原正吾さんへの件について一言お願いします」
努はマイクを持った。
「えー……」
少し考える。
そして堂々と言った。
「本人がそのまま出ても優勝していたと思います」
会場が凍った。
「ですので、私は代理として責任を果たしただけです」
さらに凍った。
「相手はザコばかりでしたし」
たまりかねて記者が聞く。
「謝罪は?」
「え?」
「謝罪会見ですが」
「もちろん私は、心から藤原さんを応援してます」
最悪だった。
後日ニュース見出し。
『謝罪会見で謝らない男』
『反省ゼロ』
『サイコパス再確認』
炎上再燃である。
第二弾は、子どもスポーツ教室であった
全国巡回。
パルクール体験会。
格闘技基礎講座。
陸上教室。
体育館で子どもたちが目を輝かせる。
「うわー!本物だ!」
「金メダルの人だ!」
「かっこいい!」
努は少し機嫌が直った。
(子どもは純粋だな……)
だが指導内容は若干おかしかった。
「いいか、相手が油断したら後ろに回れ」
先生たちが止めた。
「それは違います!」
「勝負は勝ったやつが強い」
保護者がざわつく。
「このスーツ着ると速くなるぞ」
ラバースーツを出した瞬間、スタッフに没収された。
そして第三弾は、未来のアスリート育成講座であった。
スポーツ選手志望の子どもたちへの特別授業。
「努力とは何ですか?」
という質問に、努は真剣に答えた。
「継続と、補助金だ」
教育委員会が頭を抱えた。
しかし、どの会場でも人気は高かった。
なぜなら実績は本物だからである。
子どもには人格評価よりメダルの方が強い。
だが、努の顔はずっと曇っていた。
理由は単純。
『タダ働き』だから。
帰宅後。
ソファで倒れ込む努。
「ああ……金が欲しい……」
ニーが頭の上に乗って言った。
「もう一億円もらったじゃん」
「それはそれ」
「これはこれ」
ニーは固まった。
「……なんだいそれ」
「真理だ」
「君のお母さんそっくりじゃん」
努は飛び起きた。
「やめろ!」
「あんなのと一緒にするな!」
「取材に来る人間を嫌ってこの可愛い息子である俺を追い出したやつだぞ!」
ニーは冷静だった。
「でも言ってること同じだよ」
チーも頷く。
「さすが親子」
「似てるね」
「似てない!」
全力否定だった。
だが、
それはそれ、これはこれ
金への執着
自分ルール優先
かなり似ていた。
その頃、世界ダンジョン協会では。
「匿名世界二位、依然特定できず」
「候補者に鈴木努は?」
「あんな変態が?まさか」
また外した。
世界第二位は、
国家機密級の強さを持ちながら、
無償ボランティアに不満を漏らし、母親そっくりと言われていた。
あなたにおすすめの小説
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
毎日スライム討伐していたらいつの間にか勇者になっていた
七瀬ななし
ファンタジー
主人公の高田馬彦は、高校時代から「高田の馬場」とからかわれてきた気弱な青年で、卒業後はハンターとなり、危険を避けてダンジョンの第一層だけでスライムを倒し続けるという地味な生活を送っている。彼の目的はただ一つ、毎日一万~二万円ほどの小金を稼ぎ、月二十万から三十万円程度の収入で静かに暮らすことである。月三万円の安アパートを「マンション」と呼び、回転寿司やハンバーガーをささやかな贅沢として楽しむ生活に、彼は心から満足していた。
しかしある日、長年にわたりスライムを倒し続けた結果、思いがけず「勇者」の称号を獲得してしまう。勇者は国家に保護され、年間一億円の保障を受ける特別な存在だが、同時に政府の管理下に置かれ、自由の少ない生活を送ることになる。目立つことを極端に嫌う馬彦にとって、それは最も避けたい事態だった。そこで彼は、これまで貯め込んできた膨大なスキルポイントをすべて「隠蔽」スキルに投入し、勇者の称号を徹底的に秘匿することを決意する。
こうして彼は表向きはFランクのまま、「スライムハンター」「スライムのお友達」と呼ばれる地味な存在として生活を続ける。しかし、世界を救う可能性を秘めた勇者が、ただ静かに小銭を稼いで生きようとすることで、周囲では少しずつ奇妙な出来事が起こり始める。
俺のレベルが常人では到達不可の領域にある件について ~全ユーザーレベル上限999の中俺だけレベル100億いった~
仮実谷 望
ファンタジー
ダンジョンが当たり前のようにある世界になって3年の月日が流れてずっとダンジョンに入りたいと願っていた青年が自宅にダンジョンが出現する。自宅の押し入れにダンジョンが出現する中、冷静に青年はダンジョンを攻略する。そして自分だけがレベル上限を突破してレベルが無尽蔵に上がり続けてしまう。そうしていづれは最強への探索者として覚醒する青年なのであった。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
幸せになるためにスキルいっぱい取得します!五歳から始めるやり直し異世界生活
天野流星
ファンタジー
物心ついた時から不運だらけだった葛城麻弥(三十九歳)。気付いたら異世界で五歳児になっていた!
前世は学歴や生い立ちに関係なく資格取得をすることで仕事を得られていたし、今世もスキルいっぱい取得して、今度こそ幸せな人生を送ってみせる!
テイマーとして、モフモフ家族を増やしたり、前世の知識で商品を開発したり─。
やりたいこと、興味があることをどんどんやっていくうちに、次々とスキルが増えていく!?
努力を惜しまないマヤが素敵な人達に愛されながら、見守られながら、一流冒険者になっていく。
不運だらけのOLが、五歳から始める幸せな異世界やり直し人生。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
クラスごとの異世界召喚で現実に取り残されたけど、現実世界でゴミ拾ってたら最強になった件
七瀬ななし
ファンタジー
クラス全員が突然消えた――そんなニュースが日本中を騒がせる中、ただ一人だけその事件に巻き込まれなかった高校生・木村正。理由は単純、インフルエンザで学校を休んでいたからである。気づけば教室は空っぽ、親友の田中勇気もいない。どうやらクラスごと異世界に召喚されたらしい……って、いやいやそんなわけある?と思いつつも、自分の目の前にはしっかりと「ステータス画面」が出現。どうやら自分にも何かしらの“力”は与えられているようだ。
ただしそのスキルが微妙すぎる。《翻訳》と《クリーンアップ》。いや、地味すぎない?と思いながらも試してみると、なんとゴミを拾うだけでレベルが上がることが判明。しかも不法投棄されたゴミは経験値がバカ高い。これは……やばい。誰にもバレずに最強になれるやつでは?
こうして正は、毎朝こっそりゴミ拾いをしながらレベルアップするという謎の生活をスタート。すると、体育祭でちょっと走っただけで高校記録寸前、野球の助っ人では球速160kmを叩き出すなど、気づけばとんでもないスペックに。周囲からは注目されまくるが、本人はあくまで「目立たない」を貫こうとする。
一方で、異世界に行ったクラスメイトたちはどうなっているのか? なぜ自分だけが残されたのか? 現実でコツコツ強くなる“裏ルート主人公”がなんと生きようとする物語(のはず) 疲れている人が頭を使わないで読める作品です。ちなみに読むとIQが少し下がります。
*完結しました 長い間のご声援とご支援、ありがとうございました
*ちょっとだけ第二部を付け足しました。第三部までお休みします。
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?