最悪のハーレム〜絶対にあなたを逃しません

七瀬ななし

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プロハーレムマスター(笑)編

アイスの日再び

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「ねえ、たかちゃん。」
「あ、なんだ。」
「何か変わったことに気がついた?」
「うーん、特に何も。」

松木加代は、絶賛俺の上にぐでーっといつものように腹ばいになりながらアイスを食べている。アイスが時々、俺の腹のシャツの上に落ちてきて気持ち悪い。

「なあ、お前がこんなにひっついてると暑くてかなわんのだが。」
「中学生とこんなにひっつけるなんて滅多にないことだよ。感謝しないと。」
「いや、もう不快指数が天元突破なんだけど。」
「あーあ。夢がないなー、たかちゃんは。で、何か気がついた。」
「うーん、あ、髪切った?」
「違うよ!先月切ってそのまま。切った時にも尋ねたけど全然あてられなかったじゃん。」
「そうだっけか。」

クーラーはあまりいい仕事をしていないようだ。しかし、中学生とはいえ、女性に腹の上に乗っかられているというのは、もしかしたら、事案なのではないか。俺は、ぼーっと考えていた。

「あ、わかった!そのTシャツ、新しいだろ?」
「これ、去年一緒に買いに行って大きかったから寝かして置いたやつ。そんなこともわすれちゃったの、たかちゃん。」
「うーん、ヒントは?」
「そうだなあ。私の成長です。」
「わかった、身長が伸びたんだ。」
「いや、その兆候すらない。たかちゃんも小さいけど、私もこのまま伸びないかも。まあ、どうせ、たかちゃんにもらってもらうには、いいサイズだと思うからいいか。」
「だとすると・・・・・。」

俺は、考えるのを放棄した。どこからか蝉の声が聞こえてくる。暑い夏だ。

「なんだ、資格でも取れたとか。英検とか、漢検とか。」
「たかちゃんのアホ!そんなの外見からわからないじゃないか。」
「そうかな。俺たちは、日々成長している。そして、徐々に、死に近づいていっている。毎日、1日ずつ着実に墓場に向かっているのだ。」
「こわ、こっわ。何そのネガティブ・シンキング。中学生にそんなこというなんて、ひくわー。」
「ギブ。」
「ふっふっふっー。なんと加代ちゃんのバストが1cmも大きくなったのだ!おののけ。」
「うーん、そうか?さっきから感じられるのは、肋骨だけだが・・・・。」
「たかちゃんのアホー!」
「ギェー!!!」

いきなり、股間を殴られて俺は悶絶した。

「あ、ごめん、使い物にならなくなってないよね。ちょっと加代ちゃんに見せてみ!」
「アホか見せるか。」

俺は痛みが引くまで手足をぐたーっと投げ出した。

「ごめんよ、アイスちょっと舐めていいから。」
「おう、助かる。」

俺は加代のアイスをもらって全部食べてやった。

「あ、ひどーい!たかちゃんのバカー!」
「バカって言う奴がバカなんだぞ!」

俺たちはしばらく怒鳴りあったが疲弊してやめた。

「ねえ。」
「なんだ。」
「罰としてアイスおごってよ。」
「おう。スーパーカップでいいか?」
「いや、なぜそれで妥協すると思う?」
「小学生の時は喜んで食べてたじゃん。」
「あん時はあん時、今は今。」
「じゃ、モールの中のイタリアンジェラートでも食べにいくか?」
「おう!」
「門の前で20分後に会おう。」

ところが、俺が外に出てみると、みんなが俺を待ち構えていた。

「お前らなー!」

大舘沙羅が、偉そうに、踏ん反り返った。

「イタリアンジェラートと聞いて飛んできましたわ。輝さん、いい仕事をなさいましたわ。」
「奥様、ほめてほめてー。ボクやったよ!」

こいつら揃いも揃って暇なのか?なあ。

「やっほーお兄さまー。きてあげたよー。嬉しい?」

大迫留里。こいつはガチの現役アイドルだ。生意気にもサングラスをかけている。変装のつもりなのだろう。池乃恋もいるが、なぜか西瓜こと竹下桃と一緒にメイド服を着せられている。

「ああ、これですの、この間の罰として、しばらくメイドをやらせているのですわ。おほほほほ!」

沙羅は、怖い。恋も西瓜も、わなわなと震えている。

「ぼっちゃま、私たちも警護でお伴しますわ!」

春さんと、霞がどこからともなく現れた。

「わ、私はじゃあ、記録係でついていく。」

電柱の後ろから楓がビデオカメラ(4K)を抱えて飛び出してくる。記録係ってなんぞや?

すると、向こうからハアハアと加代が走ってきた。

「あー、たかちゃん、ずるい!どうなってるの?」

お前が遅いせいで、つかまってしまったわい!

俺たちは拉致されてマイクロバスに放り込まれた。

「なあ、モールだったら歩いてもいけるだろ?」
「何をおっしゃいますの。今から、イタリアに参りますわよ!」
「マジか!」

すると、後ろからひょこっと顔を出した胸の薄い女がいた。

「あんたたちのせいで、ずっとタダ働きさせられてるのよ!どうしてくれるの!」
「誰だっけ?」
「私よ私、天才キューチューバーの姉崎京子様よ!」
「あ、登録者数9千人の!」
「ちゃんとあたしのこと覚えてんじゃないのよ!具体的な数字まで!」
「いやー忘れてたなー。なんて、俺たち登録者数300万人を突破しちゃったしー!」

俺が煽ると胸の薄い女は、ぷるぷる震えていた。しかし、かわいそうにプライベートジェットではメイド服に着替えさせられて給仕の仕事をさせられていた。こんど、チャンネル登録者数の増やし方教えてやろう。

女性たちに埋もれて暑くなってボーっと考える俺なのであった。
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