アストラリスの檻

わん子

文字の大きさ
4 / 10

第四話:隠れ部屋の日常とオラクルの穴

しおりを挟む
場所:ルナヴェルの下層、闇市の外れにあるカイの隠れ部屋。狭いコンクリートの部屋、壁にひび、床にガジェットの残骸が散乱。古いモニターがノイズを吐き、ネオンの光が隙間から漏れる。
カイはサラからもらった端末を机に置き、配線をいじる。首筋のチップが熱い。

「闇市でデータ売れば、情報屋からオラクルの脆弱性が買える。まずはアストラの解析だ。」

彼が呟く。

「支配で人が死ぬ世界を変えたい。」

ミラ、制服用マスクを外し、隣でデバイスを操作。チップがピッと鳴る。

「カイ、サラのデータ、暗号化が複雑。解析に時間かかる。」

彼女が顔を上げる。

「第三区の情報屋、脆弱性の手がかり持ってるかも。売るデータ、選ばなきゃ。」

カイが頷く。

「ミラ、お前の解析ならいける。急ごう。」

部屋の隅に置かれた簡易キッチン、錆びた鍋に合成タンパクのスープが煮える。カイがスプーンでかき混ぜ、ミラに渡す。

「食えよ。こんなゴミみたいな飯でも、腹減ったら終わりだ。」

ミラが苦笑い。

「カイの料理、いつも味気ないね。でも、ありがとう。」

二人はプラスチックの椅子に座り、スープをすする。外のドローンのエンジン音が遠く響く。ミラがスプーンを置く。

「カイ、毎日こうやって隠れて…私、いつバレるか怖い。チップ、感情検知してる。」

カイが目を細める。

「怖くても戦うしかない。両親もそうだった。」

彼がポケットからペンダントを取り出す。銀の鎖に嵌まった石、鈍く光る。

「これ、両親の遺品。なんか…普通じゃない気がする。」

ミラが覗き込む。

「石、変な模様あるね。後で調べてみる?」

突然、鉄扉がノックされる。カイが端末を隠し、ナイフを握る。

「誰だ!?」

扉が開き、レンがニヤリと立つ。茶髪、軽い身のこなし。

「ハッカー、落ち着け!サラからの伝言だ。」

カイがナイフを下げる。

「レン、勝手に入るな!何だ、伝言って?」

レンが壁に寄りかかる。

「サラが三日後、闇市の廃倉庫で会うって。次の取引だ。準備しとけよ、闇市の有名人。」

ミラがデバイスを握る。

「レン、サラって…信用できる?リベリオン、なんか怪しい。」

レンが笑う。

「ハハ、疑い深いな!サラはガチだよ。オラクルの網、俺が潜ってるから安心しろ。」

カイがペンダントを握る。

「レン、サラに伝えろ。必ず行く。オラクルの穴、絶対見つける。」

レンがウインク。

「了解、ハッカー!じゃな!」

彼が扉を閉め、足音が遠ざかる。ミラがスープを飲み干す。

「カイ、三日後…データ間に合うかな。」

カイが端末を手に。

「ミラ、解析急げ。両親の仇、支配の鎖、全部ぶっ壊す。」

ネオンの光が部屋を切り裂く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

処理中です...