アストラリスの檻

第五話：魔導石の覚醒とリベリオンの亀裂

ルナヴェルの下層、闇市の廃倉庫。

リベリオンの臨時アジト、錆びた鉄骨とガジェットの残骸が散乱。
壁に魔法の紋様が薄く光り、ネオンのノイズが響く。

カイはサラからもらった端末を握り、机に広げる。首筋のチップが熱い。

「この前の闇市で手に入れたアストラのデータ、解析進めばオラクルの穴が見える。」


ミラは制服用マスクを外し、デバイスを操作。チップがピッと鳴る。

「カイ、アストラの計画、解析できた！オラクルが魔力適性者を特定して抹消する思想操作プログラム。中央サーバーが支配の中枢！」

彼女が目を上げる。

「サーバーは上層の神聖塔、オラクルの本部ビルにある。そこをハッキングしないと！」

カイが頷く。

「神聖塔か。上層の監視網、突破できるか？」

ミラが震える。

「でも…私のチップ、闇市で感情検知されてから警告が止まらない。抹消信号が48時間後に脳を焼く…死ぬよ。死にたくない！」

カイがミラの手を握る。

「絶対死なせない。サーバーぶっ壊せば信号も止められる。」

彼がポケットから両親のペンダントを取り出す。銀の鎖に嵌まった石が微かに光る。

サラが鉄扉から入る。掌に炎が揺れる。

「カイ、時間がない。オラクルが下層を締め付けてる。」

彼女の後ろにレン、茶髪で軽い身のこなし。

「ハッカー、解析ナイス！神聖塔の鍵なら俺の潜入で開けるぜ！」

ハヤト、油まみれのゴーグル男が遮断装置を凝視。

「この歯車、宇宙の愛！」

彼が陶酔、装置に頬擦り。サラが低く。

「ハヤトは上層の職場で機械に異常な執着により規律違反で追放された技術者だ。下層でしか生きられない。」

少女が闇から現れる。12歳くらい、ぼろ着に隠れた魔力の輝き。

「サラ、遅い。」

サラが頷く。

「アイラ、魔力適性者。オラクルに追われてる新入りだ。」

アイラがミラを睨む。

「上層の解析官が下層に？あんた、オラクルのスパイだろ！アジトがバレたのあんたのせいよ！」

ミラが叫ぶ。

「違う！カイのデータ検証のために来た！私は…死にたくないだけ！」

アイラが食い下がる。

「じゃあなんでドローンがすぐ来る？お前のチップ、信号漏らしてるんだ！」

カイが割って入る。

「アイラ、ミラは仲間だ！スパイってなんのことだ？」

サラが冷たく。

「リベリオンにオラクルのスパイがいる。データ漏洩が続いてる。誰も信用できない。」

ミラがデバイスを握る。

「カイ、神聖塔のサーバー、ハッキングの準備できた。でも…死ぬの怖い！」

カイがペンダントを握る。石が強く光り、チップの熱が一瞬消える。

「これ…何か！？」

サラが近づく。

「魔導石、魔科戦争で封じられた魔力の結晶。両親の形見か？カイ、石に集中してみろ。力を引き出せ。」

カイが目を閉じる。石から青い光が溢れ、チップの信号が乱れる。ミラが叫ぶ。

「カイ、チップの監視、一部無効！でも私の抹消信号、止まらない！」

ブーン！天井でドローンのエンジン音。レンが窓を確認。

「オラクル、早い！またバレた！」

ハヤトが装置を撫で、動かさず。

「この曲線、神の意志！動かすなんて冒涜！」

サラが怒鳴る。

「ハヤト、今だ！」

カイが叫ぶ。

「ドローン来てるぞ！」

「ハヤト！」

サラが炎を放ち、ドローンを牽制。

「撃墜はダメ、監視が厳しくなる！」

レンがガジェットを投げ、ドローンを誘導。

「俺の潜入技術で網を抜ける！」

アイラが震えながら光を放つ。

「私、魔力使える！」

小さな雷がドローンを混乱させる。

カイが拳を握る。

「サラ、両親のこと、いつ話す？」

サラが目をそらす。

「今は生き延びることを考えろ。」

アイラがミラを睨む。

「スパイ、お前だ！アジトバレるの、お前のチップのせい！」

ミラが叫ぶ。

「違う！カイ、信じて！」

カイがミラの手を握る。

「ミラ、俺は信じる。全員で神聖塔へ！オラクルをぶっ壊す！」

チームはアジトを飛び出し、ネオンの闇へ消える