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第一章
第6話 想像していたよりも
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ウィステルは、自分はまだ運が良い方だと思っていた。キャスバート公爵家当主に見初められた、没落寸前の伯爵家の娘。公爵家の寵愛とも呼べる破格の援助を受けるラティマー伯爵家とその領地。貴族社会の風当たりこそ厳しく、舵取りの難しい立場に立たされている。けれどそれは、外の話。
内側、つまりキャスバート公爵家の中の風は、ウィステルにとって温かいものだったからだ。
基本的に公爵家に属している者たちは皆、ウィステルを『あのフィセリオ様を射止めた奇跡の人』として見ていた。観察眼があり、実利を重んじるフィセリオは、臣下の選定もそこが基準になっているのか、高位貴族にしては珍しく平民からの登用も多いと聞いている。
家格よりも、実力や性格を重んじているからか、忠義に厚く冷静な者たちばかりが揃っている。多かれ少なかれ思うところがあるにせよ、それをウィステルへと向けることはなく、ましてや侮ったり虐げるような真似は一切してこない。
それどころかとても丁重に扱われている。改めて義父母とも食事をする機会があったが、「結婚なんてしないと思っていたから、本当にありがたい」と感謝までされてしまうほどだった。
本来であれば、経済状況から難色を示すところだろう。おまけにラティマー家は二年前に見捨てられるまで、キャスバート家の最大の政敵であるフェアファクス公爵家の派閥に属していた。下手をすれば間者だと疑われてもおかしくなく、どう考えても歓迎されるような立場ではなかった。
けれどその感謝に嘘がないせいで、ウィステルは少しむず痒くなったことを覚えている。遠くなっていた亡き両親の笑顔と温かさが、少しだけ懐かしくなってしまった。同時に、そんな純粋な義父母や優しい公爵家の人々を欺いていることに小さな罪悪感を抱いた。
本当は、欠片も愛されていない妻なのだと、口が裂けても言えるわけがなかった。それでも選ばれて手を取った以上、公爵夫人として、フィセリオに相応しい妻として、“共犯者”になるのだと心に決めた。その苦さも、全て飲み干してみせよう。
* * *
朝食のあと、ウィステルはキャスバート公爵家と懇意にしている家門や商人の名前が一覧になった名簿を借りた。
公爵夫人として社交場に出る機会があることを思えば、顔は知らずとも名前くらいはきちんと覚えておいた方が良い。今日はそこに時間を使うことにした。
フィセリオは、今のところウィステルにほとんど何も求めてこない。就寝時の部屋と、フィセリオの在宅時は必ず食事を共にすることくらいだ。一日を自由に過ごすことを許し、潤沢すぎるほどの私費を与えられている。苦労をさせず、愛され、甘やかされているように見えるが、実際は飼い慣らされているだけの状態に近い。
「ウィステル様、朝の話は本当ですか? 私、ちょっと驚いちゃいました。意外と行動派だったんですね」
「公爵夫人としては、やっぱり変でしたか?」
「うーん……公爵夫人でなくても、伯爵夫人や伯爵令嬢でも十分違和感のある行動かな、と?」
ジャスミンが紅茶を淹れながら、オリーブグリーンの瞳を丸くして尋ねてきた。けれどそこに咎めるような非難めいた色はない。むしろ少し面白そうにしながら興味を持ってくれているのが伝わってくる。
畑へ出るという提案は「少し考えさせてくれ」とフィセリオが持ち帰ってしまった。恐らくこのままうやむやにする気だろうとウィステルは踏んでいる。
フィセリオの反応から察するに、やはり公爵夫人として“あり得ない”提案なのだろう。けれど頭ごなしに否定せず、妻の考えを寛容に受け止める演技を彼は選んだ。こちらの発言を演技に利用しつつも、許可を出すわけにもいかない……となれば、結果は見えている。
「もちろん、心がけはとても感動しました。贅沢することにしか興味のない方も多い中で、親睦を深めたいだなんて。そんなふうに夫人に言っていただける領の民は、本当に幸せ者ですよ。少なくとも私はそう思います!」
ジャスミンは飾らない朗らかな笑みでそう言い切った。公爵家の侍女ともなれば、慎ましやかで静かに控えているというイメージがあったが、彼女は少し違う。出しゃばることはないが、無邪気で純粋で、いろんなことを楽しげに語ってくれる。
社交辞令でも、心にもないことを口にされると“匂ってしまう”ウィステルにとって、裏表のないジャスミンは一緒にいて苦にならない。それどころか少し懐かしさのような親しみを感じてホッとする。
「ねぇ、ジャスミン。公爵夫人はどのようにして民と親睦を深めるのが理想的なのですか?」
「そうですねぇ……先代公爵夫人のヘレニーテ様は、慈善事業や寄付などで支援していたみたいですよ。親睦とは少し違うのかもしれませんが……そういう感じかと」
「なるほど。慈善事業と寄付……そういう形もあるのですね」
慈善事業も寄付も、資本がなくてはできない。万年金欠であったラティマー家のウィステルにはない発想だった。
とはいえ寄付だと、親睦を深めるのはなかなかに難しい。まるでお金をチラつかせて関わりを持とうとするいやらしさがある。であれば、取れる手段は慈善事業の方だろうか。
「フィセリオ様は、ラティマー領へ多くの援助をしてくれようとしています。わたくしも早く相応しい妻になって、お役に立てるようになれると良いのですが……」
「ウィステル様ぁ……! それをフィセリオ様がお聞きしたら、きっと感激の涙を流すと思いますよ!」
いや、流さないでしょう。
残念ながら、フィセリオはウィステルにそんな情を持ってはいない。ウィステル自身も、フィセリオの“役に立ちたい”が一番の理由でもない。ただ“共犯者”として釣り合うだけの力を得ようとしている。
それがゆくゆくはフィセリオの孤独な嘘を支え、それぞれの領地や兄のローワンを守り、公爵家の人々の笑顔を守ることにも繋がると信じている。
しかしそれを前面に出すわけにもいかない。敬愛する夫に尽くそうと懸命に頑張る妻という、都合の良い姿を選んだだけだ。それがフィセリオの“妻を愛する夫”の嘘を補強し、自身の立場を盤石にしてくれる。
ジャスミンに良い印象を持ってもらえれば、きっと他の従者たちに広めてくれるだろう。利用しているようで申し訳ないが、綺麗な手段を選んでいられるほどウィステルに余裕はなかった。
「だと良いのですが……何ができるかは、少し考えてみます」
「協力できることがありましたら、このジャスミンに何なりとお申し付けくださいませ!」
「ふふ、頼りにしてますね」
胸をトンと叩いて強気な笑みを見せるジャスミンに、思わず顔が綻ぶ。公爵家の侍女のイメージからは少しズレている彼女を、ウィステルの専属侍女として選んだのは偶然なのか。それとも、フィセリオなりの考えがあってのことなのかはわからない。けれど、不慣れな日々を明るく支えてくれている彼女と、その采配に感謝していた。
ウィステルは途中になっていた名簿に目を向ける。一人ずつ名前を視線でなぞるように読み、頭の中へと少しずつ刻んでいく。そうして最後のページを開き、一番最後の名前を見て、ふと思考が止まる。
『ローワン・ラティマー』
まだ最近書き足されたと思しき新しいインクの筆跡。丁寧に記された……兄の名前。援助を受け入れると決め、ウィステルがフィセリオと婚姻を結んだ時点で、ラティマー家はキャスバート家の派閥に名を連ねた。
ラティマー領は山を挟んだ北西側がキャスバート領と隣接し、南側は平原続きでフェアファクス領と隣接している。他にも北側、東側、南東側をそれぞれ別の家の小領地と隣接したいわゆる緩衝地のような立地だった。
山に隔てられたキャスバート家よりも、平原で繋がるフェアファクス家との方が親交があった。兄のローワンは窮状を訴え、支援を求めた。しかし足元を見たような酷い条件を突きつけられ、諦めて帰ってきたのだ。
領地運営が傾いたのと同時に、フェアファクス家から見捨てられたも同然だった。そうして頼れる伝手もなく、手を差し伸べてくれる者もなく、災害復興だけで疲弊して没落していったのだ。
ただ緩衝地として自分の味方をしてくれていればキャスバート家に対して有利、くらいにしか思われていなかったのだろう。土地は痩せ、目ぼしい要地もないラティマー領を支援する利益はほぼない。わざわざ繋ぎ止めずとも、中立としてそこに存在していれば良いという扱いに成り下がった。
どこにも属さず……いや、属せず、貴族社会の波間を漂っていた二年。そこから掬い上げてくれたキャスバート家は、紛れもなくラティマー家の命綱だった。
ローワン兄様は領地のことに専念してください。キャスバート家へのご恩は、わたくしの方で返せるよう努めます。
届かない声を胸の内で響かせながら、ウィステルは兄の名前をそっと指で撫でる。幼い頃から追いかけてきた兄の背中……その背中に、少しは届くだろうか。
内側、つまりキャスバート公爵家の中の風は、ウィステルにとって温かいものだったからだ。
基本的に公爵家に属している者たちは皆、ウィステルを『あのフィセリオ様を射止めた奇跡の人』として見ていた。観察眼があり、実利を重んじるフィセリオは、臣下の選定もそこが基準になっているのか、高位貴族にしては珍しく平民からの登用も多いと聞いている。
家格よりも、実力や性格を重んじているからか、忠義に厚く冷静な者たちばかりが揃っている。多かれ少なかれ思うところがあるにせよ、それをウィステルへと向けることはなく、ましてや侮ったり虐げるような真似は一切してこない。
それどころかとても丁重に扱われている。改めて義父母とも食事をする機会があったが、「結婚なんてしないと思っていたから、本当にありがたい」と感謝までされてしまうほどだった。
本来であれば、経済状況から難色を示すところだろう。おまけにラティマー家は二年前に見捨てられるまで、キャスバート家の最大の政敵であるフェアファクス公爵家の派閥に属していた。下手をすれば間者だと疑われてもおかしくなく、どう考えても歓迎されるような立場ではなかった。
けれどその感謝に嘘がないせいで、ウィステルは少しむず痒くなったことを覚えている。遠くなっていた亡き両親の笑顔と温かさが、少しだけ懐かしくなってしまった。同時に、そんな純粋な義父母や優しい公爵家の人々を欺いていることに小さな罪悪感を抱いた。
本当は、欠片も愛されていない妻なのだと、口が裂けても言えるわけがなかった。それでも選ばれて手を取った以上、公爵夫人として、フィセリオに相応しい妻として、“共犯者”になるのだと心に決めた。その苦さも、全て飲み干してみせよう。
* * *
朝食のあと、ウィステルはキャスバート公爵家と懇意にしている家門や商人の名前が一覧になった名簿を借りた。
公爵夫人として社交場に出る機会があることを思えば、顔は知らずとも名前くらいはきちんと覚えておいた方が良い。今日はそこに時間を使うことにした。
フィセリオは、今のところウィステルにほとんど何も求めてこない。就寝時の部屋と、フィセリオの在宅時は必ず食事を共にすることくらいだ。一日を自由に過ごすことを許し、潤沢すぎるほどの私費を与えられている。苦労をさせず、愛され、甘やかされているように見えるが、実際は飼い慣らされているだけの状態に近い。
「ウィステル様、朝の話は本当ですか? 私、ちょっと驚いちゃいました。意外と行動派だったんですね」
「公爵夫人としては、やっぱり変でしたか?」
「うーん……公爵夫人でなくても、伯爵夫人や伯爵令嬢でも十分違和感のある行動かな、と?」
ジャスミンが紅茶を淹れながら、オリーブグリーンの瞳を丸くして尋ねてきた。けれどそこに咎めるような非難めいた色はない。むしろ少し面白そうにしながら興味を持ってくれているのが伝わってくる。
畑へ出るという提案は「少し考えさせてくれ」とフィセリオが持ち帰ってしまった。恐らくこのままうやむやにする気だろうとウィステルは踏んでいる。
フィセリオの反応から察するに、やはり公爵夫人として“あり得ない”提案なのだろう。けれど頭ごなしに否定せず、妻の考えを寛容に受け止める演技を彼は選んだ。こちらの発言を演技に利用しつつも、許可を出すわけにもいかない……となれば、結果は見えている。
「もちろん、心がけはとても感動しました。贅沢することにしか興味のない方も多い中で、親睦を深めたいだなんて。そんなふうに夫人に言っていただける領の民は、本当に幸せ者ですよ。少なくとも私はそう思います!」
ジャスミンは飾らない朗らかな笑みでそう言い切った。公爵家の侍女ともなれば、慎ましやかで静かに控えているというイメージがあったが、彼女は少し違う。出しゃばることはないが、無邪気で純粋で、いろんなことを楽しげに語ってくれる。
社交辞令でも、心にもないことを口にされると“匂ってしまう”ウィステルにとって、裏表のないジャスミンは一緒にいて苦にならない。それどころか少し懐かしさのような親しみを感じてホッとする。
「ねぇ、ジャスミン。公爵夫人はどのようにして民と親睦を深めるのが理想的なのですか?」
「そうですねぇ……先代公爵夫人のヘレニーテ様は、慈善事業や寄付などで支援していたみたいですよ。親睦とは少し違うのかもしれませんが……そういう感じかと」
「なるほど。慈善事業と寄付……そういう形もあるのですね」
慈善事業も寄付も、資本がなくてはできない。万年金欠であったラティマー家のウィステルにはない発想だった。
とはいえ寄付だと、親睦を深めるのはなかなかに難しい。まるでお金をチラつかせて関わりを持とうとするいやらしさがある。であれば、取れる手段は慈善事業の方だろうか。
「フィセリオ様は、ラティマー領へ多くの援助をしてくれようとしています。わたくしも早く相応しい妻になって、お役に立てるようになれると良いのですが……」
「ウィステル様ぁ……! それをフィセリオ様がお聞きしたら、きっと感激の涙を流すと思いますよ!」
いや、流さないでしょう。
残念ながら、フィセリオはウィステルにそんな情を持ってはいない。ウィステル自身も、フィセリオの“役に立ちたい”が一番の理由でもない。ただ“共犯者”として釣り合うだけの力を得ようとしている。
それがゆくゆくはフィセリオの孤独な嘘を支え、それぞれの領地や兄のローワンを守り、公爵家の人々の笑顔を守ることにも繋がると信じている。
しかしそれを前面に出すわけにもいかない。敬愛する夫に尽くそうと懸命に頑張る妻という、都合の良い姿を選んだだけだ。それがフィセリオの“妻を愛する夫”の嘘を補強し、自身の立場を盤石にしてくれる。
ジャスミンに良い印象を持ってもらえれば、きっと他の従者たちに広めてくれるだろう。利用しているようで申し訳ないが、綺麗な手段を選んでいられるほどウィステルに余裕はなかった。
「だと良いのですが……何ができるかは、少し考えてみます」
「協力できることがありましたら、このジャスミンに何なりとお申し付けくださいませ!」
「ふふ、頼りにしてますね」
胸をトンと叩いて強気な笑みを見せるジャスミンに、思わず顔が綻ぶ。公爵家の侍女のイメージからは少しズレている彼女を、ウィステルの専属侍女として選んだのは偶然なのか。それとも、フィセリオなりの考えがあってのことなのかはわからない。けれど、不慣れな日々を明るく支えてくれている彼女と、その采配に感謝していた。
ウィステルは途中になっていた名簿に目を向ける。一人ずつ名前を視線でなぞるように読み、頭の中へと少しずつ刻んでいく。そうして最後のページを開き、一番最後の名前を見て、ふと思考が止まる。
『ローワン・ラティマー』
まだ最近書き足されたと思しき新しいインクの筆跡。丁寧に記された……兄の名前。援助を受け入れると決め、ウィステルがフィセリオと婚姻を結んだ時点で、ラティマー家はキャスバート家の派閥に名を連ねた。
ラティマー領は山を挟んだ北西側がキャスバート領と隣接し、南側は平原続きでフェアファクス領と隣接している。他にも北側、東側、南東側をそれぞれ別の家の小領地と隣接したいわゆる緩衝地のような立地だった。
山に隔てられたキャスバート家よりも、平原で繋がるフェアファクス家との方が親交があった。兄のローワンは窮状を訴え、支援を求めた。しかし足元を見たような酷い条件を突きつけられ、諦めて帰ってきたのだ。
領地運営が傾いたのと同時に、フェアファクス家から見捨てられたも同然だった。そうして頼れる伝手もなく、手を差し伸べてくれる者もなく、災害復興だけで疲弊して没落していったのだ。
ただ緩衝地として自分の味方をしてくれていればキャスバート家に対して有利、くらいにしか思われていなかったのだろう。土地は痩せ、目ぼしい要地もないラティマー領を支援する利益はほぼない。わざわざ繋ぎ止めずとも、中立としてそこに存在していれば良いという扱いに成り下がった。
どこにも属さず……いや、属せず、貴族社会の波間を漂っていた二年。そこから掬い上げてくれたキャスバート家は、紛れもなくラティマー家の命綱だった。
ローワン兄様は領地のことに専念してください。キャスバート家へのご恩は、わたくしの方で返せるよう努めます。
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