神の愛し子と呼ばれていますが、婚約者は聖女がお好きなようです

天宮花音

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長年、神アモルナによって守られてきたこの国では平和が続いている、よって神からの啓示があることはあまり多くない。それでも聖女は国のため民のため、毎朝祈りを捧げるのだ。



『アモルナさま、本日もこの国を民をお守りください。』
―――あーあ、めんどくさい…でもこれもヒロインであり聖女でもある私の大事な役割ってもんよね。ゆくゆくは素敵な人と結婚するためよ!
うぅーん、だれが良いかなぁ、ヒロインなんだし、やっぱりここは王太子のリュシアール様かしら?輝かしいほどの金髪に金色の瞳、それになにより笑顔が素敵♪
第2王子のマリオン様も素敵だけど黒髪で同い年…どちらかというと金髪で年上の方が好みなのよね。定番の生徒会の人たちもみんな素敵なのよね、あー迷う!!!
逆ハーとか出来たりしないのかな?ゲームとかならよくあるじゃない!
うーーーん、そうだ!逆ハー狙いつつ、一番好みのリュシアール様メインで攻略しよう!せっかくかわいく生まれ変わったんだもん、チヤホヤしてもらいつつ、王妃様になって贅沢するの!完璧ね!
でも確かリュシアール様ってローゼリカと婚約してるのよね?愛し子ってなんなのかよく知らないけど、リュシアール様と結婚するためには邪魔なんだよね~。
いつも笑顔で誰にでも優しい公爵令嬢のローゼリカ…私、そういう子、昔から嫌いなのよね!!!どうにかならないかなぁ。


祈りもそこそこにナナリーがそんなことを考えていたとき、とある声が聞こえた。
〈ナナリー。あなたはいずれ王太子リュシアールと結ばれるわ。〉

「えっ!?…本当ですか神様!?本当にリュシアール様と結ばれるの!?」
ナナリーは驚き、つい声が出てしまった。

〈そうよ、ナナリー。あなたがリュシアールと結ばれいずれ王妃になるのよ。〉
聖女はアモルナと対話することは出来ない、だがしかしこのとき確かにナナリーの問いに答えたのだ。

「うそ、神様が答えてくれた?聖女は声を聞くだけじゃないの?」

〈ナナリー、この国に危機が迫ってるの。今から話すことをよく聞いて。〉
そうして、声の主は語り始めた。
本当の愛し子はナナリーであること。それは自分と話ができるのが何よりの証拠であると。
愛し子と呼ばれているローゼリカは偽物であること。16年前ミュンバル公爵家が権力を持たんとし前代聖女ソフィーナを脅し味方に引き入れ、愛し子であると偽ったと。
ローゼリカが瞳を金色に変え話をしている相手、それはアモルナではなく、アモルナを排除しようと企んでいる悪魔であること。ローゼリカは王妃となりこの国を自分の意のままにしようと画策していると。
その悪魔に自分は不意を突かれ、力を奪われてしまい今まで深い眠りに入ってしまっていたこと。けれどナナリーの祈りの力で目覚めることが出来たと。


〈だからね、ナナリー。本来の愛し子であるあなたがローゼリカを排除して、この国を救ってほしいの。これは愛し子の試練でもあるわ、だから私は直接手を出せない。でもアドバイスは出来るし、なにより、あなたなら出来るわナナリー。〉

―すごいすごいすごい!!!やっぱり私の思った通り、ヒロインは私で王子様と結ばれる運命なんだわ!ローゼリカは悪役令嬢ってことね。こんなの、こんなの…
「もちろんです、神様!わたし、頑張ります!とはいえ、なにからすれば…」

〈まずは味方を増やしましょう、ナナリー。でもいきなりすべてを話しては駄目よ。そうね、まずはリュシアール含めた生徒会の子たちと仲良くなりなさい。きっとナナリーの役に立ってくれる子たちばかりだわ。〉

「わかったわ!マリオン様は?マリオン様も王子よ?」

〈マリオンは駄目よ、ローゼリカと常に一緒にいるもの、気付かれてしまっては大変だわ。そうそう、ローゼリカとも表面上は今まで通り接しなさい。あなたがローゼリカの秘密に気付いたと悟られてはあなたが危ない目にあってしまうわ。〉

―ちぇっ、マリオン様は攻略不可なのかな、もしかして隠しルートとか?まぁ、神様が言うなら仕方ないわ、一理あるし。リュシアール様は婚約者とは言え、生徒会と王太子としての公務が忙しくてあまりローゼリカと一緒にはいないみたいだしね。
「神様、わかりました。早速、生徒会の方々と仲良くなるよう頑張るわ!」

〈えぇ、頑張ってね、ナナリー。そうだ、忘れるところだったわ。これをいつも身に着けておきなさい、あなたの身を少しでも守れるようお守りよ。〉
そう言われた瞬間、ナナリーの前にガーネットのような美しい石のついたネックレスとブレスレットが現れた。

「ありがとう、神様!大事にするわ!あっ、そろそろ学園に行かなくちゃ!」
―もしかしてこれって攻略アイテムってやつかしら?ラッキー♪

〈いってらっしゃい、ナナリー。〉



彼女は気付かない。気付けない。今ならまだ泣いているあの子に気付けたのに。
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