神の愛し子と呼ばれていますが、婚約者は聖女がお好きなようです

天宮花音

文字の大きさ
11 / 14

11

しおりを挟む
そんな王に、リュシアールは一瞬ひるんだが、その言葉を待っていたかのように続けた。
「いいえ、陛下。ローゼリカの罪はそれだけではありません。まず、証言者ですが…アモルナ様です!アモルナ様がナナリーにおっしゃったのです、突き落としたのはローゼリカだと!!!」
アモルナという言葉を聞きローゼリカは驚き、言った。
「アモルナはそんなこと言うわけないわ!アモルナを騙らないで!!!」
「アモルナ様を騙るなだと?それは貴様のことだろう、ローゼリカ!」
「どういうことですの?」
「陛下も、皆も聞いてくれ!ローゼリカは愛し子ではない!本来の愛し子はここにいるナナリー・メイナー子爵令嬢なんだ!ミュンバル公爵家は前代聖女ソフィーナを脅し、ローゼリカが愛し子だと偽った!そうだろう、ナナリー?」
それまでずっと俯いていたナナリーはローゼリカを見ると怯えた様子を見せ、それでも決意を秘めた目で言った。
「はい、ある日、神様から話しかけられました。本当の愛し子は私だって。ローゼリカ様はミュンバル公爵家が仕立てた偽の愛し子だと。そして、ローゼリカ様がいつも話されているのは………あ、悪魔だと!!!!悪魔はアモルナ様を害し、これまで封じこめられていたけれど、私の祈りが届き力が戻りつつある。ローゼリカ様と悪魔にこのままでは国が乗っ取られてしまうと!私が階段から突き落とされたときもローゼリカ様がやったと神様が言ったんです!」
会場にいる人々は困惑していた。突拍子のない話である。そして困惑の中、リュシアールが言った。
「証拠もある!ミュンバル公爵から前代聖女ソフィーナに宛てた愛し子を偽装するよう指示する手紙だ!とある使用人が隠し持っていたのを見つけたのだ!」

「リュシアール、ローゼリカは紛れもない愛し子だ、そのような偽の手紙どこから手に入れたのか知らぬがくだらない話に惑わされおって!聖女ナナリーも、聖女の立場で愛し子を害そうなどどういうつもりだ?聖女が愛し子に成り変われるとでも夢を見たのか?」
王は厳しい態度を崩さない、そして在校生や卒業生などの若い者たちはいまだ困惑しているようだったが、在校生の親世代の貴族たちも陛下の言葉に納得しているようだった。
だがしかし、リュシアールたちは納得しない。
「そんなの嘘よ!だって私、神様とお話出来るもの!神様とお話しできるのが愛し子でしょう!?その神様は私が愛し子だというのよ!!そうよ、王様は悪魔に騙されてるんだわ!ローゼリカがいなくなればきっとわかるわ!!!リュシー様、フランツ、ヴィル、キース!!!」
そうしてナナリーが声を上げると、リュシアールが自身の護衛騎士として帯刀させていたフランツに命令した。
「フランツ、ローゼリカを殺せ!ローゼリカが死ねば悪魔の力も弱ると言っていた、そうすれば陛下たちも目を覚ますはずだ!」
フランツはローゼリカを殺そうとするも、マリオンがその剣を自身の剣で受け止める。
「兄上!なにを言っているのですか!!!!もうお止めください!」
だがしかし、リュシアールは耳を貸さず、ローゼリカを睨みつけている。
会場は騒然となった。


≪ローゼ、私に任せてほしいの≫
『アモルナ…わたくしの力ではどうにもできないの?わたくしは無力だわ。』
≪ローゼ、心配させたくなくて言っていなかったけれど、多分ナナリーやリュシアールは正気ではないの。なにか得体の知れない力を感じるわ。あなたはよく頑張ったわ。でもね、私の名を騙り、ローゼを害そうとした。あなたが望むから見守っていたけど、ここからは私にやらせてちょうだい。必ずナナリーとリュシアールを元に戻してみせるわ。≫
『わかったわ、お願いアモルナ。ナナリーもリュシアール様も変わってしまったわ、それでも私はあの二人が大好きよ。もし、何かに操られているのだとしたら解放してあげて!』
≪えぇ、もちろんよ、愛しいローゼ、それがあなたの望みなら≫


「ローゼリカの瞳が金色に!悪魔と話しているぞ、なにかしでかすつもりかもしれない!止めろ!!!」
リュシアールがそう叫んだ瞬間、辺りが光に包まれた。
そうして、光が収まると声が会場に響いた。

「静まりなさい」

声を発したのはローゼリカだった。
でもその瞳は金色のまま、そしてなにより神の色は七色に光る銀髪だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約破棄?とっくにしてますけど笑

蘧饗礪
ファンタジー
ウクリナ王国の公爵令嬢アリア・ラミーリアの婚約者は、見た目完璧、中身最悪の第2王子エディヤ・ウクリナである。彼の10人目の愛人は最近男爵になったマリハス家の令嬢ディアナだ。  さて、そろそろ婚約破棄をしましょうか。

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

攻略対象の王子様は放置されました

蛇娥リコ
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

断罪される令嬢は、悪魔の顔を持った天使だった

Blue
恋愛
 王立学園で行われる学園舞踏会。そこで意気揚々と舞台に上がり、この国の王子が声を張り上げた。 「私はここで宣言する!アリアンナ・ヴォルテーラ公爵令嬢との婚約を、この場を持って破棄する!!」 シンと静まる会場。しかし次の瞬間、予期せぬ反応が返ってきた。 アリアンナの周辺の目線で話しは進みます。

処理中です...