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え……?(スデーションタ視点)
しおりを挟む「では、またのちほどお迎えに上がります。どうぞごゆっくりお楽しみください」
「ああ」
ラカスデギサ商会の男に連れられてやってきた性交渉のできる店は、外見からは全くそれっぽい雰囲気のわからない建物だった。
案内された部屋も、侯爵邸に比べるともちろん狭いがそれなりに広く調度品も落ち着いた色合いの物が使われている。
普通の部屋と違うのは、部屋に対してベッドの占める割合がかなり大きいという事くらいか。
「こういったお店をご利用されるのは初めてですか?」
可愛らしい顔に不釣り合いなくらいボリュームのある胸をした女性と今、部屋でふたりきり。
この胸が本物かどうかは、服を着ているからまだ分からない。
彼女の質問にぎこちなく頷いて答える。
「では、まずあちらで身体を流してきてくださいね」
部屋の隅にあるドアを指差された。
ドアを開けて中を覗いてみる。
――ほう、小さいが部屋に湯浴み処がついているのか。
「脱がすの、お手伝いしましょうか?」
うむ、と頷いて服を女に脱がせてもらう。
城にいた頃は侍女が脱がせてくれていたが、結婚してから人に服を脱がせてもらうのは初めてだ。
身体を流すのも手伝ってくれるのかと思ったが、彼女は一緒に入ってくることなくパタンとドアを閉めた。
ササッと手早く身体を流す。
小さいながらも俺のアソコはこれから起こるであろう展開を期待して膨らんでいる。
身体を流し終えてから気がついた。
濡れた身体を拭く布が無い。
きっと彼女が持っているのだろう。
声をかけようとドアを開けて、ベッドのある方の部屋を覗く。
誰もいない。
ん……?
部屋の外が、騒がしい……?
廊下に面したドアの方へ行き、聞き耳を立てる。
『逃げろ、ガサ入れだ!』
『全員動くな、抵抗する者はこの場で逮捕する』
『やだぁ逃げなきゃ、どいてー!』
『邪魔だ、どけ! 俺を誰だと思って……いや、知らなくていいッ、名は言うなっっ』
『この店は違法経営の疑いがある、責任者はどこだ!』
――え……?
この国では、不貞行為をすると身分剥奪の重罪だ。
ヤバい、逃げなければ!!
確か案内されたこの部屋は2階だった。
窓から外へ出れば、逃げられるか?
いや、しかし……
俺は今何も着ていない、裸だ。
服は……無い。
そうだ、確か湯浴み前に脱がせてもらって……
そのまま、女が持っていた……。
すでに女はいないし、服も無い。
どうする、どうする……?
このまま逮捕されるのを待つか、イチかバチか窓から外へ逃げるか。
だが外に逃げても、裸では変態扱いされてすぐに通報されてしまうだろう。
人として捕まるか、変態として捕まるか……。
俺は逃げずに、人として捕まる方を選んだ。
裸だった俺は何の言い逃れもできず、処分が下された。
シブツリトー侯爵家当主から一転、平民へ。
俺への取り調べが行われる関係で、侯爵家にも調査が入ったらしい。
すると、不正なお金の動きが発見された。
前シブツリトー侯爵夫妻による、帳簿の改ざんや税の不正取り立てに私的流用。
その罪は重く、夫妻ともに貴族籍剥奪のうえ禁固刑の判決が下される。
シブツリトー侯爵家の領地は財政立て直しのため第三者による管理が必要と判断され、王室預かりとなった。
あえなくシブツリトー侯爵家はお取り潰し。
行き場の無くなったネムセーニは俺と離縁し修道院へ入ることを勧められたようだが、俺の子を妊娠している可能性がゼロではないためこのまま俺と家族でいる事を選んだ。
この先どうすればいいんだ……。
俺は禁固刑では無いから住む場所がない。
そして住む場所を得るための金も無い。
どうやって稼げばいい?
片付けのために与えられた猶予期間は明日で終わる。
そうしたら、この屋敷を出ていかなければならない。
悩む俺のもとに、働き先を紹介する手紙が届く。
送り主はレーバンガ職業案内所だった。
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