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《本編最終話》隣国第一王女フィーネの想い
隣国王室より書簡が届いた。
第一王女である私に、婚約の申し込み。
相手は隣国王太子の、アフェクト殿下。
明らかに、国同士の利益のための婚約。
こちらは向こうの国の資金狙い。
向こうはこの国の利権を手に入れることができる。
王家に生まれた者として、政略結婚の駒となる身であることは幼い頃から承知していた。
それは逆らう事のできない運命。嫌だと言って逃げる事はできない。
だから25歳も年上の、父と年齢の近い男が婚約者だと言われた時だって、それも仕方のない事だと受け入れていた。
近隣諸国に比べ経済的に貧しかったこの国に数年前、希望の光が差す。
国土に資源となる有用な鉱物が豊富にあることが判明したから。
それなのに、発掘のために必要な王命で使える資金が無くて。
お金を動かすために、私が成金公爵の元へ嫁ぐことが決められる。
国のために、と思って自分を納得させてきたのに。
その決意も空しく、婚約者は長年の不摂生が祟り帰らぬ人となってしまった。
この国で、自由に使えるお金を持っている者は限られている。
その男たちの事を考えると、結婚に夢など持てるはずもなかった。
ただ義務のための結婚として、次の婚約者の決定を待つ日々。
結婚に、夢など持てるはずがない、と思っていた。
今の、今まで。
まさか、あの方と婚約できる日が来るなんて。
隣国で行われた建国記念の式典に、体調を崩されていたお母様の代理として出席したあの日。
式典開始前にお父様とはぐれてしまった私は、さらに見知らぬ男性から絡まれてしまって。
困り果てていたところへ声をかけて助けてくださった方。
ひとめぼれ、とういう事が実際にある事に驚いた。
お礼を告げようとしたのに、婚約者を迎えに行くところなので、と急ぎ足で去っていってしまう。
――婚約者の方がいらっしゃるのね。
私の初恋は、一瞬にして砕け散ってしまった。
もともと自分にも婚約者がいるのだから、初恋が実るはずもないのだけれど。
その後の式典で、先ほど私を助けてくれた男性が、王太子のアフェクト殿下であることを知る。
アフェクト殿下の横には、可愛らしい婚約者の方がいらっしゃって。
遠目でも、アフェクト殿下が婚約者の方を宝物のように大切になさっているのがよく伝わってきた。
王太子の立場であれば、おそらく婚約相手を自分で選ぶことはできなかっただろうに。
政略的な婚約にもかかわらずあんなに素敵な関係を築いていることに驚き、同時に羨ましく思った。
あの時の婚約者の方はどうされたのだろう。
そう考えて、頭を静かに横に振る。
詮索なんてしない方がいい。
国のために婚約者が変わっただけ。政治的な理由に過ぎない。
でも、アフェクト殿下は傷ついていらっしゃるのではないかしら。
あの日婚約者の方を、あんなに愛おしそうに見つめていたもの。
つらい思いをして、ひとりで抱え込んでいるかもしれない。
それにいずれ王となれば、国のため、今まで以上に苦しい判断を何度も迫られることでしょう。
つらい時は彼の心を支え、大切にしてさしあげたい。
始まりは政略結婚でも、いつの日か、私と結婚してよかったと思っていただけるように……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【あとがき】
ここまでの閲覧ありがとうございました。いったんこれで完結になります。
またいつか、その後のお話を書かせていただくかもしれません。
イメージが固まったらそれぞれの初夜編を書いてみたいと思っています。
兄の代わりにリーベを幸せにしようと溺愛しまくるストルグ。
そんなストルグの溺愛に戸惑いながら、自分はお飾りの妻だと勘違いし続けその役割を果たそうと奮闘するリーベ。
ストルグとリーベを見てつらい想いを抱えるアフェクトに寄り添うフィーネ。
健気なフィーネに少しずつ心惹かれていくアフェクト。
そんな四人の心情を描けたらいいな、と考えています。
(婚約者になれなかったイーバル公爵の娘も絡めてみたい)
その際はご一読いただけると嬉しいです。
ではでは、しばらく他の長編の執筆へと戻ります。
こちらの短編の他にも書いている小説がありますので、もしよければ著者名『弓はあと』で検索してみてください。
またどこかでお会いできるのを楽しみにしています。
第一王女である私に、婚約の申し込み。
相手は隣国王太子の、アフェクト殿下。
明らかに、国同士の利益のための婚約。
こちらは向こうの国の資金狙い。
向こうはこの国の利権を手に入れることができる。
王家に生まれた者として、政略結婚の駒となる身であることは幼い頃から承知していた。
それは逆らう事のできない運命。嫌だと言って逃げる事はできない。
だから25歳も年上の、父と年齢の近い男が婚約者だと言われた時だって、それも仕方のない事だと受け入れていた。
近隣諸国に比べ経済的に貧しかったこの国に数年前、希望の光が差す。
国土に資源となる有用な鉱物が豊富にあることが判明したから。
それなのに、発掘のために必要な王命で使える資金が無くて。
お金を動かすために、私が成金公爵の元へ嫁ぐことが決められる。
国のために、と思って自分を納得させてきたのに。
その決意も空しく、婚約者は長年の不摂生が祟り帰らぬ人となってしまった。
この国で、自由に使えるお金を持っている者は限られている。
その男たちの事を考えると、結婚に夢など持てるはずもなかった。
ただ義務のための結婚として、次の婚約者の決定を待つ日々。
結婚に、夢など持てるはずがない、と思っていた。
今の、今まで。
まさか、あの方と婚約できる日が来るなんて。
隣国で行われた建国記念の式典に、体調を崩されていたお母様の代理として出席したあの日。
式典開始前にお父様とはぐれてしまった私は、さらに見知らぬ男性から絡まれてしまって。
困り果てていたところへ声をかけて助けてくださった方。
ひとめぼれ、とういう事が実際にある事に驚いた。
お礼を告げようとしたのに、婚約者を迎えに行くところなので、と急ぎ足で去っていってしまう。
――婚約者の方がいらっしゃるのね。
私の初恋は、一瞬にして砕け散ってしまった。
もともと自分にも婚約者がいるのだから、初恋が実るはずもないのだけれど。
その後の式典で、先ほど私を助けてくれた男性が、王太子のアフェクト殿下であることを知る。
アフェクト殿下の横には、可愛らしい婚約者の方がいらっしゃって。
遠目でも、アフェクト殿下が婚約者の方を宝物のように大切になさっているのがよく伝わってきた。
王太子の立場であれば、おそらく婚約相手を自分で選ぶことはできなかっただろうに。
政略的な婚約にもかかわらずあんなに素敵な関係を築いていることに驚き、同時に羨ましく思った。
あの時の婚約者の方はどうされたのだろう。
そう考えて、頭を静かに横に振る。
詮索なんてしない方がいい。
国のために婚約者が変わっただけ。政治的な理由に過ぎない。
でも、アフェクト殿下は傷ついていらっしゃるのではないかしら。
あの日婚約者の方を、あんなに愛おしそうに見つめていたもの。
つらい思いをして、ひとりで抱え込んでいるかもしれない。
それにいずれ王となれば、国のため、今まで以上に苦しい判断を何度も迫られることでしょう。
つらい時は彼の心を支え、大切にしてさしあげたい。
始まりは政略結婚でも、いつの日か、私と結婚してよかったと思っていただけるように……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【あとがき】
ここまでの閲覧ありがとうございました。いったんこれで完結になります。
またいつか、その後のお話を書かせていただくかもしれません。
イメージが固まったらそれぞれの初夜編を書いてみたいと思っています。
兄の代わりにリーベを幸せにしようと溺愛しまくるストルグ。
そんなストルグの溺愛に戸惑いながら、自分はお飾りの妻だと勘違いし続けその役割を果たそうと奮闘するリーベ。
ストルグとリーベを見てつらい想いを抱えるアフェクトに寄り添うフィーネ。
健気なフィーネに少しずつ心惹かれていくアフェクト。
そんな四人の心情を描けたらいいな、と考えています。
(婚約者になれなかったイーバル公爵の娘も絡めてみたい)
その際はご一読いただけると嬉しいです。
ではでは、しばらく他の長編の執筆へと戻ります。
こちらの短編の他にも書いている小説がありますので、もしよければ著者名『弓はあと』で検索してみてください。
またどこかでお会いできるのを楽しみにしています。
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あとがきにありましたようにその後の4人の心情が分かる続編を読んでみたい!!と思いました。
他の作品を執筆中で難しいとは思いますが、あとがきにあった様にそれぞれに幸せになって欲しいので、是非是非その辺りを描いて欲しいと思いました。
基本完結一気読み派なのですが「白い結婚~」はラブコメ短編バージョンが完結していたので取敢えずそこだけ読んでみようと読み始めました。
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素敵なお話をありがとうございました。
栗栖 瀬貴哉様
感想ありがとうございます!
『素敵なお話』、書き手冥利に尽きる褒め言葉ですっっ
嬉しくて、栗栖 瀬貴哉様からいただいた感想を何度も読み返しています☆彡
亀更新でかなり歩みが遅く恐縮ですが、ゆっくりでも前に進んでいきますのでまた読んでいただけると嬉しいです♪
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柚木ゆず様
こちらの世界にも訪れてくださり、本当にありがとうございます!
しかも感想までいただけて、感謝の気持ちでいっぱいです♪
この話は作者にしては珍しく切ない雰囲気になっており、より幸せな結末になるようにいつか続きを書きたいと思っています☆彡
更新がいつになるかまだまだ未定ですが、引き続きお付き合いいただけると幸いです♪♪
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お互いの誤解が交錯している2人も
王太子のその後も気になります。
こちらの続編も楽しみにしていますので
ぜひ続きをお願いします(о´∀`о)
みかん様
こちらのお話も読んでくださり、本当にありがとうございます♪
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