【BL-R18】転生しても平凡な僕~前世で別れたスパダリが、双子に生まれ変わって溺愛過剰~

弓はあと

文字の大きさ
40 / 45

輪〇される!?

しおりを挟む


 僕が黙っていたら、フォッグ様が言葉を続けた。

「この男たちは、ルフトエア公爵家で裏の仕事を行う者たちだ」
「裏の、仕事……?」
「そう、裏の仕事さ。相手が男でも女でも犯した後に舌を切って、事実を証言できないようにさせるなんて事もある。今これからするみたいにな」

 ヒッ、と声を上げてしまった。

「ど、どうして、そんな事を……」
「僕はお前を誘拐犯に仕立て上げるだけで構わないと思っていたんだけど」

 フォッグ様のうしろに立っていた男たちが僕の方へ近付いてきた。
 自分の心臓がドクドク悲鳴をあげている気がする。
 音が凄い、このまま破裂してしまいそうで怖いくらいだ。

「父上が言うには、慰み者になった状態を見せつける事が重要なんだと」
「み、見せつける? いいいったい、誰に?」

 僕のそんな状態を誰に見せる必要が……。

「宰相と騎士団長だよ。あの二人はルフトエア公爵家にとって目障りだからな」
「っ!」

 急に吐き気がこみ上げてきた。

 クラウド様とレイン様に見られる!?
 複数の男たちに嬲られた僕の姿を!!??

「自分たちのお気に入りが悪事を働いたうえに他の男たちの手で穢されているとなったら、ダメージをくらって少しはおとなしくなるだろう?」

 手首の拘束が外された、けれど。
 僕の身体が自由になる事は無く、男たちの手で土の床へ押し倒されていた。
 砂が少し口に入ったのかもしれない。
 歯を食いしばったら、ジャリ、と小さいのにかなり気になる不快な音がした。
 男たちが四人で、僕の両手と足を押さえつけている。
 でも手足よりも鼻の奥がツンとして痛い。
 もしかして僕、泣いているのかな。
 フォッグ様が片手を上げたのがぼんやりと滲んで見えた。

「終わるまで僕は馬車で待っている。早いところ始めてくれ」

 フォッグ様が男たちへ命令を下す。
 もう、だめだ……
 食いしばっていた歯が、今はカチカチ音を立てて震えている。
 押さえつけられているから体は震えることさえできない。

「おい、僕の声が聞こえなかったのか?」

 僕の手足を掴んでいる男たちの視線が動いた。
 彼らは僕ではなく、違う方を見ている。
 フォッグ様の方……?

「さっさと始めるんだ」

 苛立ったようなフォッグ様の声。
 フォッグ様の事を見ているのかと思ったけれど、違う。
 男たちはフォッグ様の隣に立つ人物へ視線を向けていた。
 ここにいる中で、一番体格が大きな男。
 その男はぼさぼさの髪をガシガシ掻きながら、気怠そうに言葉を発した。

「俺たちは金を手に入れてからでないとこれ以上は動きませんぜ」
「なんだと、僕の命令に従えないというのか」

 大男の目が、ギラリと光る。
 その視線を向けられたフォッグ様の肩が、ビクッと震えた。

「坊ちゃん、口のきき方には気をつけた方がいいですよ」

 荒々しくて野太い声が地を這うように響く。
 フォッグ様は男から視線を逸らした。

「金なら父上が持ってくる。もうすぐ来るはずだ。受け取ったら仕事をして……ください」

 先ほどよりも小さな声でフォッグ様が告げた。
 その言葉を聞いた大男が満足そうにニヤリと笑う。
 もうすぐ来るって……ルフトエア公爵が?
 確か公爵は、クラウド様やレイン様と同じようにシュトルム王太子殿下の公務に同行しているはずだけど。 

「そろそろ金が届くのは知ってますよ。具合いの悪くなった公爵を俺の部下が迎えに行っているのだから」

 ククッと大男が笑う。
 この様子だと仮病を使ったルフトエア公爵が公務先から戻るまで、僕の体は無事らしい。
 とりあえず危険が先送りになったことに、ホッと安堵の息を吐く。
 その時だった。
 僕の左足を押さえていた男の視線が、大男から僕へ向けられたのは。
 なぜかギラギラしているように見える男の目。
 かなり、怖い。
 僕と目が合うと、ニタリ、とその男が笑った。

「仕事じゃなくて遊びならもう始めても構わねぇっすよね。おれ最近、娼館の出禁くらってて溜まってんすよ」

 僕の手を押さえている男たちから、下卑た笑い声が聞こえてくる。

「そりゃお前が娼婦を壊しちまったせいだろうが」
「違いねぇや」

 サーッとお腹の中が冷えていくような感覚に陥った。
 思わずリーダー格の大男の方を見てしまう。
 先ほどのように、報酬を得るまで動かないという言葉を期待して。
 だけど聞こえてきた声に、僕は深い絶望へと突き落とされる。

「仕方ねぇなぁ。ま、ヤッてるうちに来んだろ。金受け取る前に壊すんじゃねぇぞ」

 その直後、僕のシャツに男の手がかかったと思ったら強引に引き裂かれた。
 ブチブチブチッと音を立ててシャツのボタンが弾け飛ぶ。
 冷たい空気に晒され外からもお腹が冷えていく。
 男のガサガサした手が僕の胸に触れた。

「ひぃぃッ」

 僕の口からは、なんとも情けない声しか出てこない。







 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【読者様へ】

 いつも閲覧&しおり、お気に入り登録に感想の投稿やエール等、本当にありがとうございます。
 こちらの小説を第11回BL小説大賞にエントリーさせていただきました。
 11/1から投票ができるようになっています。
 もし差し支えなければ、この小説に読者様の一票を投じていただけると嬉しいです☆彡






しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。

あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。 だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。 よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。 弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。 そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。 どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。 俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。 そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。 ◎1話完結型になります

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

溺愛の加速が尋常じゃない!?~味方作りに全振りしたら執着兄上たちの愛が重すぎました~

液体猫(299)
BL
毎日AM2時10分投稿 【《血の繋がりは"絶対"ではない。》この言葉を胸に、末っ子クリスは過保護な兄たちに溺愛されながら、大好きな四男と幸せに暮らす】  アルバディア王国の第五皇子クリスが目を覚ましたとき、九年前へと戻っていた。  巻き戻す前の世界とは異なるけれど同じ場所で、クリスは生き残るために知恵を振り絞る。  かわいい末っ子が過剰なまでにかわいがられて溺愛されていく──  やり直しもほどほどに。罪を着せた者への復讐はついで。そんな軽い気持ちで始まった新たな人生はコミカル&シリアス。だけどほのぼのとしたハッピーエンド確定物語。  主人公は後に18歳へと成長します(*・ω・)*_ _)ペコリ ⚠️濡れ場のサブタイトルに*のマークがついてます。冒頭のみ重い展開あり。それ以降はコミカルでほのぼの✌ ⚠️本格的な塗れ場シーンは三章(18歳になって)からとなります。 ⚠️若干の謎解き要素を含んでいますが、オマケ程度です!

助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!

夜刀神さつき
BL
医者である内藤 賢吾は、過労死した。しかし、死んだことに気がつかないまま異世界転生する。転生先で、急性虫垂炎のセドリック皇子を見つけた彼は、手術をしたくてたまらなくなる。「彼を解剖させてください」と告げ、周囲をドン引きさせる。その後、賢吾はセドリックを手術して助ける。命を助けられたセドリックは、賢吾に惹かれていく。賢吾は、セドリックの告白を断るが、セドリックは、諦めの悪いヤンデレ腹黒男だった。セドリックは、賢吾に助ける代わりに何でも言うことを聞くという約束をする。しかし、賢吾は約束を破り逃げ出し……。ほとんどコメディです。  ヤンデレ腹黒ドS皇子×頭のおかしい主人公

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

処理中です...