【R18】イケメン御曹司の暗証番号は地味メガネな私の誕生日と一緒~こんな偶然ってあるんですね、と思っていたらなんだか溺愛されてるような?~

弓はあと

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「電車なくてどうするんだ?」
「うーん……いっそのこと会社に泊まろうかな。仮眠室あったよね、ここ。使った事ないけど」

 タクシーなんて使えるわけがないし。
 家についた時の金額が想像できなくて怖すぎる。

 成瀬君が眉をひそめた。
 そんな怪訝な表情でさえ、イケメンがするとシリアスなドラマのワンシーンのよう。

「あの部屋使うのは男ばっかりだろ。やめたほうがいい」
「そっか……。それならネカフェでも行こうかな。ビジネスホテルよりは安いよね、きっと」
「女がひとりでネカフェ? やめとけやめとけ、危なくて仕方ない」

 えー、ならどうしろと?

 目の前に何かのカードを差し出された。

 …………?
 何の、カード?

「これ、俺の家の鍵。何回か同期で飲んだことあるから場所は分かるだろ」

 場所は、分かる。
 同期の集まりに誘ってくれて、成瀬君の家で何回か飲んだことがあった。
 会社から歩いて15分くらいのところにある、高級マンション。

 同じ会社に勤めているのに成瀬君の住むところは私の住むアパートと、天と地ほどの差があった。
 実際私の部屋は一階だし、成瀬君の部屋は最上階で、まさに天と地ほどの差がある。

 噂好きな同期が教えてくれたところによると、成瀬君は大企業の社長の三男で御曹司だという。
 今の会社には、将来お兄さんの補佐をするための勉強のためにいるとかいないとか。
 自分で何かしら資産運用もしているらしい。

 そんな成瀬君の家の鍵……
 それを私に、どうしろと?

「俺は会社で寝るなり適当にやるから。桜井は俺の家を使え」
「え、え? そんなの悪いよ」
「桜井の居場所が分からない方が、夢見が悪くなって困る」

 手にカードキーを握らされた。

 うう、成瀬君。終電逃すようなマヌケな私にまで優しい。
 イケメンなうえに性格も良くて中身まで格好いいとか、ハイスぺ過ぎて困る。

「……ごめんね、成瀬君。ありがと……」
「そうだ、マンション鍵と暗証番号の二重ロックだから番号教えとかないと」

 耳かして、と手招きされる。

 人がいないから内緒話じゃなくても大丈夫だと思うけど、暗証番号だもんね。

 椅子に座ったまま成瀬君の方へ耳を近付けるように、ほんの少しだけ身体を傾けた。

 成瀬君の顔が、私の耳に近づいてくる。
 まるで頬にキスをするような動きで、心臓がバクバク飛び跳ねてしまう。

 成瀬君の心地よいテノールの声が、耳元で優しく響く。


 え――?


 成瀬君が教えてくれた暗証番号は、偶然にも私の誕生日と同じだった。

 すごい、これならメモしなくても忘れないで済む。

 しかも、好きな人の暗証番号が自分の生年月日と一緒。
 それだけで、なんだかおみくじで大吉をひいた時のように嬉しくなってしまう。

 成瀬君、番号どうやって決めたのかな?
 語呂合わせ? それとも好きなスポーツ選手の背番号ふたり分とか?


 神様、こんな偶然ってあるんですね。





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