【R18】イケメン御曹司の暗証番号は地味メガネな私の誕生日と一緒~こんな偶然ってあるんですね、と思っていたらなんだか溺愛されてるような?~

弓はあと

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21《本編最終話》

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 翌朝、目が覚めた時にはホテルの部屋にひとりで寝ていた。
 成瀬君の姿は……無い。
 帰ったのかもしれない。


 もしかして成瀬君、寝て起きて冷静になったら自分の気持ちが勘違いだったって気付いたのかな。
 私のこと、好きとか可愛いとか、おまけに結婚してとか言ってたけど、普通に考えたら成瀬君のように凄い人が私みたいな地味メガネをそんな風に思うなんてあり得ない。
 でも……、初めてを成瀬君へ捧げたことに後悔は、無い。すごく幸せな時間だったから。





 ガチャリ、と部屋の扉が開いた。
 昨日と同じ服装の成瀬君が部屋の中に入ってくる。

「成瀬君、いたの!?」
「あ……起きた?」

 また成瀬君にこのセリフを言わせてしまった。
 私ったら、どんだけ成瀬君の前で図々しく寝てばかりいるんだろう。

「はい、これ」
「何、これ?」

 ベッドに座った成瀬君に紙袋を渡された。
 裸の身体を布団で隠すようにしながら片手を伸ばして受け取る。
 中を見てみると、上下セットの可愛らしい下着に、ストッキング。

「桜井の、昨日のは穿けそうになかったから」

 そう言われて、ストッキングを破かれ下着を濡らしたことを思い出し、顔が熱くなる。

 表示を確認すると成瀬君が買ってきてくれた下着はバストもお尻も私にぴったりの大きさで、サイズがバレてることが恥ずかしすぎてますます顔が火照ってしまう。

 成瀬君に頭をわしゃわしゃと撫でられた。

「桜井、可愛すぎ」

 可愛すぎって……成瀬君は、まだ勘違いから目が醒めていないらしい。

「そうだ、これ渡しとく」

 成瀬君が胸ポケットからカードを取り出した。
 見覚えのあるカード。

「これ、俺の家の鍵。二枚あるからひとつ持ってて。暗証番号はもう教えなくてもいいよな。桜井の誕生日だから」

 信じられない思いで、カードキーをジッと見つめてしまった。



 ホテルで少し遅めの朝食を取り、そのあとは成瀬君の買い物につきあう事に。
 お箸やお茶碗、マグカップに歯ブラシを買いたかったようで、一緒に選んだ。
 成瀬君はどれもふたつずつ買っている。お兄さんが遊びに来た時用? どれもふたつのうちのひとつは可愛らしい色だけど、お兄さんこの色でいいのかな。


 買い物が終わり、この後どこ行く?と言う成瀬君に、もうそろそろ帰ろう、と提案した。
 もう帰るのか、と少し不機嫌になる成瀬君を宥めて説得する。

 明日の午前中は大事なプレゼンだもの。
 今日はなるべく早く帰って、体調を万全にできるように早く休んでもらわないと。

 明日の夕食を一緒に食べる約束を提案され私が受け入れたら、渋々……といった感じだったけれど、成瀬君も今日はもう帰ることを了承してくれた。


「あ、桜井は明日の朝は会社に来ないで直行した方がいいんじゃないか? その方が楽だろ。俺が朝、課長には言っておくから」

 明日プレゼンに行く企業は会社よりも私の家に近い、そうさせてもらえると助かる。
 成瀬君の言葉に甘えさせてもらうことにした。

 こうして夕食を食べる前に、今日のデートはお開きとなる。





 あ……、そう言えば……。

 家に帰ってから気がついた。

 成瀬君に、私と会社以外で会ったことは職場の人には内緒にしてねって、言わないと。

 職場で噂になったりしたら、成瀬君が正気に戻って私と別れた後にふたりとも働きづらくなってしまう。

 今から電話してみようかな……。
 でも……、明日の午前中には大事なプレゼンがある。
 電話なんてしたら迷惑だよね。
 明日の夕食は一緒に食べる約束をしたし。よし、その時に話そう。







 連休明けの火曜日、午前10時から取引先で行われた成瀬君のプレゼンは大成功だった。
 自分のことのように嬉しい。
 足取り軽く会社への帰路につく。
 会社の最寄り駅に着いたところで、成瀬君に言われた。

「悪い、桜井、俺の分の昼飯何か買ってきてくれないかな。俺は先に戻ってみんなに報告するから」
「うん、いいよ。成瀬君が好きそうなもの適当に買うね」
 
 プレゼンが上手くいったから、早めに報告したいよね。
 よかったね、成瀬君。

「部長と課長には、朝、報告しておいたから」

 ん? 朝??
 プレゼンは、まだ終わったばかり。
 んん?

 部長と課長への報告の件がちょっとひっかかったけれど、私が質問する前に成瀬君は、じゃまたあとで、と言って先に行ってしまった。






 あれ……?

 ふたり分のお昼を買ってから会社に戻り営業部のドアの前に着いて、なんだか違和感を覚えた。

 部屋の中がずいぶん騒がしいような……

 何かトラブルでもあったのかな、と心配しながらドアを開けた途端、部屋の中で歓声が沸いた。

「婚約おめでとう、桜井さん!」
「ふたりはいつの間に付き合ってたんですか、全然知りませんでした」
「結婚式は半年後くらいで考えているんでしょう? 成瀬君が言ってた」

 え? え? え? え?
 婚約おめでとう?
 結婚式???
 誰と? 誰の??

 成瀬君はみんなの中心で仲の良い男の先輩に肩を組まれていた。

「まったく、お前は仕事も恋愛も何でも上手にこなして。どうすれば人生そんなに上手くいくんだ。成瀬、秘訣を教えてくれ!」
「秘訣ですか? あったら俺が知りたいですよ」

 私、知ってる。
 金曜日の残業の時、成瀬君に教えてもらったから。



 ――相手が承諾せざるを得ない状況を作る事、かな



 この半年後、私の名字は桜井から成瀬に変わった。





 【本編 完】
 ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。
 あと一話だけ本編の半年前(半年後ではありません)のおまけ話がありますので、もしよろしければお付き合いください。





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