10 / 18
聖魔祭編
ねむいけどチビに威圧されます。
しおりを挟む「そういえば言い忘れたんだけど、僕も聖魔祭にエントリーするつもりなんだけど」
「は?」
今悠太たちは聖魔祭にエントリーする選手の為の説明会の一室に向かっていたところ、突然美桜が隣で手を後ろに回しながら、満面な笑みでそう告げてきた。その笑みは心から笑っているのではなく意思を変えるつもりはないといった風に見えた。だがわざわざエントリーするなんて正直何を考えているのかわからない。
「どういうつもりなんだよ」
「別にいいじゃん出たって、エントリーは自由なんだし。それに....一緒に....その....屋台も....見回れるし....」
「えっ?なんだって?最後らへん小さすぎて聞こえんぞ」
「死ね」
「あべしっ!」
悠太は美桜の強烈なビンタをもろにくらう。しかし突然のビンタをくらっても本人はケロッとしており、悠太は逆の意味で今のビンタに驚いていた。
「思ったより痛いな」
「ほんとになんなの?僕の本気のビンタをくらっておいてその余裕そうな反応は!」
「さっきからお前の言っている意味がわかんねぇよ」
そして、ビンタされた頬を撫でながら歩く悠太とさっきから一言も喋らない美桜と歩くこと約五分、ついに目的地の場所に着く。そこにはすでに数百人以上の聖魔祭にエントリーをする生徒が集まっていた。
(どいつもこいつも出るだけあってなかなか強そうだが.....ん?)
悠太は不意に誰かの視線を感じる。そしてその視線の先を辿ると深くフードを被ったいかにも怪しい生徒がこちらの方向に身体を向けていた。
(なんだあいつ?見たことはないが、どこか懐かしい感じがする)
「ふっ、」
その女か男かわからない生徒は一瞬潮笑うように微笑みを浮かべるとすぐに人混みの中に消え去っていった。去る寸前悠太に向けて不気味な笑みをしていたように見えたがきっと気のせいだろうと悠太は思い込む。
「ねぇ、悠太?ねぇ、悠太ってば!!」
「ぉ、うん?なに?」
「もぅ、どうしたの?」
「いや、なんでもない。」
「そう、それならいいけど。」
悠太はこの時嫌な予感がした。あの生徒もだが、何故かこれから開催される聖魔祭に。
それから数分経ち、未だ始まらない説明会にだんだんまだかまだかとソワソワしだした生徒たちの態度をぶち壊すかのように次の瞬間人間の声とは思えないほどの激音がこの場全体に響き渡る。
「よーっし!!!みんな始めるぞー!!!!これからこの学園のアイドル(自称)である『蘭城 寧々』先生が!これから聖魔祭にエントリーする生徒のために聖魔祭のルールについて説明するよー!!!」
そこから現れたのは、黒いロングヘアの身長百四十センチ程しかない着物を着た小柄な先生が机の上に立って説明をすると言いだした。その人を知らない生徒たちは「本当にこんな子供が教師なの?」と疑問を抱くが、
「もしもーし、誰かなー今私を心の中で《チビ》だと思ったオ・バ・カさんは~、殺すぞ」
「「「「「!?!?!?」」」」」
先ほどまでの口調が嘘かのように、ドス黒く低い声で生徒全員に威圧する。その場にいたほぼ全員の生徒が、先生の殺気に怯え、苦しそうに地面に倒れる。中には身体を震わせ涙ぐんでいる生徒もいた。この場にいる生徒はけして弱くはない、むしろこの学園内では強い方なのだ。それをここまで恐怖に落としいるとはまさしく人は見かけによらないということだ。
「おっ私の殺気に全く動じない者が三人もいるとは、今年は面白くなりそうねぇ」
そう寧々先生が手に持った扇子を眉の場所まで上げ、見渡すように「へぇ~」と感心しながら怖じけず立っていた生徒たちを観察する。
その生徒たちとは、美桜、そしてフードを被った生徒と女子生徒であった。美桜は「えっ?」と首をかしげる。だがそれは至極当然な反応だろう。自身よりも強いはずの悠太が座っているのだ、だがその疑問はすぐに解消される。
悠太の性格は面倒くさがりで常に寝ることしか考えてない怠惰な人間、つまり寧々に目をつけられることをめんどくさいと思った悠太は威圧にやられた演技をしたと言うわけだ。それは単純と言うかバカというかとりあえずやっぱり悠太だなと美桜は心の中で思った。
(だけど寧々先生レベルなら気づいていると思うけどな~、現に悠太の方をめちゃくちゃ見てるし)
その言葉どうり寧々は悠太をガン見しており、ふふふっふっふ~んと上機嫌に脚をバタつかせていた。しかしそんなことすら知らない悠太はというと、
「空気読んで急いで座っといて良かった~」
安心しきる悠太のその言葉は誰にも聞かれることなく空気とともに溶け消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす
蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。
追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。
しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。
港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。
イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。
犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。
被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。
追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜
犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。
これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
婚約破棄されたので、隠していた聖女の力で聖樹を咲かせてみました
Megumi
恋愛
偽聖女と蔑まれ、婚約破棄されたイザベラ。
「お前は地味で、暗くて、何の取り柄もない」
元婚約者である王子はそう言い放った。
十年間、寡黙な令嬢を演じ続けた彼女。
その沈黙には、理由があった。
その夜、王都を照らす奇跡の光。
枯れた聖樹が満開に咲き誇り、人々は囁いた。
「真の聖女が目覚めた」と——
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる