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聖魔祭編
ねむいけど最後のお掃除です。
しおりを挟む「私は死なないわ~」
「やってみなければわからないだろう」
緊迫したこの空気の中、ウリエルは余裕の笑みを崩さない。
「やってみる以前にあなたは私に勝てない」
「どういう意味だ?」
戦いは『場の力』『個人の力』『運の力』この三つの力によって勝負は決する。
しかし彼女はその力の法則なんぞ自身にとっては無意味だと言っているのだ。
悠太はその言葉は真っ赤な嘘だと心の中で断定する。
「知ってる~?私の身体にはね、吸血鬼、それも真祖の血が混じっているのよ~」
「なっ!?」
神と吸血鬼の真祖が契りを結んだ。
神は他の種族と契ることは禁忌とされている。それが古からの掟であり絶対なのだ。
「フフッ、まだ疑っているようね~。まあ、物は試しっていうし~さあ殺りますか~!」
そう声を荒げるとウリエルの瞳が赤から水色に変色し、彼女から溢れ出す魔力が桁違いに跳ね上がる。
「────ッ!?」
「さあ~私の愛しのペットちゃん、いらっしゃあ~い!」
彼女の数メートル先に闘技場の半分を埋め尽くすほどの巨大な魔法陣が浮かび上がる。
その魔法陣は神々しく光だす。その輝きは幻想的であった。
「第一の眷獣、豹浪の獅子!!!」
そこから現れたのは蒼い稲妻を纏ったライオン、さらに従来のライオン一回りも二回りも大きい巨体。
逆立った髪も、鋭く伸びた巨大な前歯も、尖り尖った爪も、全てが氷と化したライオン。いや、ライオンを遥かに超える獅子だ。
「これまた凄いもんを見てしまったな」
「フフッ、どうしました~?もしかして戦う気が失せましたか~?」
「いや、」
悠太は不敵な笑みを漏らすと再度ウリエルに目線を移し、ハイライトのない虚ろな瞳が彼女の眼を見据える。
「逆にワクワクしてきたぜ、あんたを圧倒的に痛みつけ、殺した未来を想像するとナッ!!!」
「そうですか、では死んでください。あなたの妄想で私が殺される前に」
冷酷な表情と言葉で右腕を上げると、身体に纏っていた紅色の光の粒子が激しく動き出す。
その刹那、空一帯に何億という数の魔法陣が浮かび上がる。その一つ一つが強大なデカさと魔力を持ち、そこから多種多様の眷獣たちが止むことなく召喚される。
「あんたは神と吸血鬼の生まれ、おそらく敗北なんてことしたことが無いのだろう」
「ええ、そうよ~」
「いいねぇ、そんなお前に聞きたい、どれだけ身を削ってもどう足掻いても太刀打ちできないほどの強さを持つ者が立ちはだかったとしたらどうする?」
「……?」
どうやら本当に分かっていないみたいだ。
そんなことを考える間にもニルムヘイムの氷の雷が激音を生み出しながらこちら迫る。
その電撃に当たれば忽ち肉体が焼け、意志に関係なく死ぬことになるだろう。
だがそれは当たればのはなし、当たらなければどれだけ強力なものでも意味を成さない。
「第二秘剣《魔力吸収》!!」
エルムヘイムが放つその雷が悠太のなまくら剣に接触した瞬間なにもなかったかの様に雷が一瞬にして消え失せた。
「へぇ~やるじゃな~い」
「前から思っていたんだがお前のその余裕は一体どこから来るんだ?お前ほどならわかるだろうがさっきの俺の技は──」
「魔力を吸収することで自身の糧とするでしょ~?」
悠太は目を大きく見開く。ウリエルは悠太の魔術を理解している。だからこそ悠太は訳が分からないとばかりに舌打ちをする。
「ああ、眷獣ってのは魔力の塊だ。つまりこの技をもってすれば眷獣なんぞ相手にならないし、会長を生かしたままお前を簡単に殺せる!」
「たしかに~一応筋は通っているわ~。だけどね、」
「あまり眷獣をなめないほうがいいわよ」
その言葉が引き金となったのか、何億という数の眷獣が悠太めがけて突進し、攻撃しする。
「チッ、」
眷獣はその一つが第九魔術に匹敵する。つまり今彼は天地開闢に等しい攻撃を何億という規模でその身一つで受けているのだ。
その規模の攻撃を受けて辛くないはずがない。
「いつまで持ちこたえられるかしら~?」
「はぁ?持ちこたえる?お前はさっきから何を言ってるんだ?ちゃんと会話しようぜ、オーケー?」
「───!?」
ウリエルの表情が一変する。
その揺れる瞳に映るのは俺の右手。
「これ出すのも久々なんだわ、あんまり早くへこたれてしまっては面白く無いしな」
「させるかっ!!!」
ウリエルは右腕を大きく横に振る。
それは合図となり眷獣たちが一斉に攻撃を放つ。
「無駄だ」
そしてその瞬間悠太の目に映るのは全てがスローモーションとなった世界。
「ちょっくら次元の違う強さってのを見せてやろうか」
自身の右手に魔力を縮小し凝縮具象化させる。
「【我は王の理《ことわり》を凌駕し 神の理《ことわり》さえも凌駕する 我は神王 神々から簒奪し 最強の剣で全てを切り裂くゆえに 我は皇帝 皇々から略奪し 無敗の剣で全てを薙ぎ払うゆえに 全ての理《ことわり》を超え 最強無敗の剣よ 今宵顕現せよ 《終焉の剣《ゼレウス》》】」
その詠唱は形となりて右手に現れる。
その澄み渡った青色に神々しさを感じさせるオーラを纏いし聖魔剣。
それは視界に入れるだけでも人知を超えた代物だということは一目瞭然だ。
「死ね死ね死ね死ね死んでぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!!!!!!!!!!!!!」
「くたばりなぁ、あのクソ野郎の家畜どもがっ!!!」
神々しく青白く輝く聖魔剣が悠太によって横一線に振りかざされる。
「「「「「グギャァァァァァァア!!!!!」」」」」
その剣先は眷獣達の胴体を貫き、死へと誘う。
眷獣たちの苦しみに満ちた大きな悲鳴ともに瞬く間に塵一つ残さず薙ぎ払われた。
「そっ、そんなっ…」
ウリエルの表情は驚愕、絶望、この世の終わりかのような虚無に包まれ歪んでいた。
「結局この程度か」
「この程度ですって!?」
「ああ」
プライドを傷つけられたのかどうか定かではないがウリエルの表情からするに今の言葉はあのクソ野郎の怒りを買ってしまったらしい。
「そういえばお前って確か神とか吸血鬼の真祖とかなんだよなぁ?」
「……」
どれだけ今の俺が醜いのかなんてもんはとっくに分かっている。
だが鳴神凛を巻き込んだことは許せない。
俺はウリエルに向けてウザみったらしく顔を歪ませてこう言った。
「神様って案外弱っちぃのなっ、フッ、」
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