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30 二股令嬢
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アルフォンスの指先がリリーの腕を掴みかけたその時だった。
「リリーに触れるな」
ぱしりとアルフォンスの手を払った影が二人の間に立つ。
リリーを背中にかばう人影は……金髪の男。
「な?え?王太子殿下?」
アルフォンスが王太子だと思うならば間違いなく。
(レオ様……)
「私の婚約者に手を出すなといっている」
低音の凄みをきかせた声が中庭に響いた。
その声に込められた怒りにアルフォンスがビクリと跳ねた。
『まだ、返事はもらってないけれど。リリーは毎日会いに来てくれたし。今日だって来てくれてる。絶対私のこと好きだ。うん。婚約者でいい。大丈夫だ。大好きだよリリー私の運命。こんな奴にリリーを触れさせたりしない!!私が守る!!あぁかわいい。かわいいリリー。大好きだ!!』
だが、レオの本心はかなり、なんというか、残念な思考であった。
リリーへの愛を歌うその心の声は飼い主に向かって愛情を全身で表現する犬のような喜びにあふれている。
「は?で、でんか?」
「聞こえないのか?」
心の中とは裏腹にレオの声は氷のように冷たい。
「こ、婚約者?」
アルフォンスの視線がレオとリリーの間で行ったり来たりと落ち着かない。
「そうだリリーは私の運命の相手だ!!」
きっぱりと言い切ったレオがアルフォンスをにらみつける。
『やっぱりリリーの可愛さに目がくらんだ男が現れた。早く結婚しなくては』
レオは至極真面目だがアルフォンスはレオをアレクサンダーだと思っているのだ。
地面に尻をついていたアルフォンスが立ち上がりレオに向かって礼をとる。
頭を上げたアルフォンスは貴族らしい笑みを浮かべていた。本音を覆い隠すよそ行きの表情である。
だがリリーにはアルフォンスが何を考えるのか先が読めた。
(この状況で運命の相手だなんて言うと……)
「リリーと殿下がそのような関係だと存じませんで失礼いたしました。ですが婚約されたとはまだ公示されていないのでは?」
『リリーが将来の王妃だと?!ダミアン・ハーストと二股かけてたのか!!可愛い顔してなんて女だ!!急ぎで出した婚約許可証が戻ってこないわけだ。王太子との婚約が進められていたなら俺との婚約が認められるわけはない。オーベアライヒ候爵には連絡が行っているのか?リリーに王太子妃になられてみろ俺の将来の邪魔をするに決まってる。なんとかしなくては!リリーの悪評を広めて婚約成立前になんとか……』
ちらりとリリーに視線をよこしたアルフォンスが心の中でリリーを非難する。
にこやかな笑みは崩さないが目が『この尻軽が!!』と言っている。
(あぁ!!やっぱり!!ややこしいことになってきた!!)
今度は二股令嬢の風評被害が広がるのだ、とクラクラとめまいがするリリーであった。
「リリーに触れるな」
ぱしりとアルフォンスの手を払った影が二人の間に立つ。
リリーを背中にかばう人影は……金髪の男。
「な?え?王太子殿下?」
アルフォンスが王太子だと思うならば間違いなく。
(レオ様……)
「私の婚約者に手を出すなといっている」
低音の凄みをきかせた声が中庭に響いた。
その声に込められた怒りにアルフォンスがビクリと跳ねた。
『まだ、返事はもらってないけれど。リリーは毎日会いに来てくれたし。今日だって来てくれてる。絶対私のこと好きだ。うん。婚約者でいい。大丈夫だ。大好きだよリリー私の運命。こんな奴にリリーを触れさせたりしない!!私が守る!!あぁかわいい。かわいいリリー。大好きだ!!』
だが、レオの本心はかなり、なんというか、残念な思考であった。
リリーへの愛を歌うその心の声は飼い主に向かって愛情を全身で表現する犬のような喜びにあふれている。
「は?で、でんか?」
「聞こえないのか?」
心の中とは裏腹にレオの声は氷のように冷たい。
「こ、婚約者?」
アルフォンスの視線がレオとリリーの間で行ったり来たりと落ち着かない。
「そうだリリーは私の運命の相手だ!!」
きっぱりと言い切ったレオがアルフォンスをにらみつける。
『やっぱりリリーの可愛さに目がくらんだ男が現れた。早く結婚しなくては』
レオは至極真面目だがアルフォンスはレオをアレクサンダーだと思っているのだ。
地面に尻をついていたアルフォンスが立ち上がりレオに向かって礼をとる。
頭を上げたアルフォンスは貴族らしい笑みを浮かべていた。本音を覆い隠すよそ行きの表情である。
だがリリーにはアルフォンスが何を考えるのか先が読めた。
(この状況で運命の相手だなんて言うと……)
「リリーと殿下がそのような関係だと存じませんで失礼いたしました。ですが婚約されたとはまだ公示されていないのでは?」
『リリーが将来の王妃だと?!ダミアン・ハーストと二股かけてたのか!!可愛い顔してなんて女だ!!急ぎで出した婚約許可証が戻ってこないわけだ。王太子との婚約が進められていたなら俺との婚約が認められるわけはない。オーベアライヒ候爵には連絡が行っているのか?リリーに王太子妃になられてみろ俺の将来の邪魔をするに決まってる。なんとかしなくては!リリーの悪評を広めて婚約成立前になんとか……』
ちらりとリリーに視線をよこしたアルフォンスが心の中でリリーを非難する。
にこやかな笑みは崩さないが目が『この尻軽が!!』と言っている。
(あぁ!!やっぱり!!ややこしいことになってきた!!)
今度は二股令嬢の風評被害が広がるのだ、とクラクラとめまいがするリリーであった。
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