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6 僕のご飯!!
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いつものようにだらだらと昼寝をかましていた僕の眠りを妨げたのは巨人だった。
「う゛ーめ゛ー!!」
うわ、うるさ!
視界いっぱいのおしりに気を取られてしまったけど、巨人、ではないな。
あぁ、普通サイズの男の人か。
僕、寝起きでちょっと混乱しちゃった。
そうだね、僕今小さいからね。
せいぜい5センチほんとに親指サイズ。
その人はどうやらお腹が空いているみたい。キッチンにある食べ物を手当たり次第食べているようだ。
そして度々上げる咆哮。うーん、お行儀悪いし身なりも悪い。パンくずやら食べ物のかけらやらボロボロとこぼしてるから、それらが床に落ちて僕のお掃除でピカピカにしてる床が、あぁ、もう、あっという間に汚く……驚きのビフォーアフター。こんなのって、こんなのって……
(ゆーるーさーんー)
恨みを込めて後ろ姿を睨みつける。
もじゃもじゃ頭に薄汚れた粗末なシャツ、つぎはぎだらけの粗末なズボン。腰から下がる大きなナイフ。絵本の挿絵に書かれる盗賊っぽい身なり。
ってか不法侵入してきて僕のご飯を食べるという大罪を犯しているわけだから実行犯逮捕できちゃうよ、はい、犯罪者!ドロボーです。
よくよく聞けば「う゛め゛ー」は「うまい」だね。
あ、それ僕のご飯だもん。そりゃぁ美味しいでしょうよ。僕が、今日食べようと思って昨日から仕込んでおいたリンゴと豚のポットローストだもん。何でも出てくる魔法の貯蔵庫だけどさすがに和食素材がないから米の代わりにマッシュドポテトと合わせて食べようと思ってたのに。ソースとポテトを合わせると絶対美味しいと思ってたのに!!
もう!もう!!僕だって一日一食生活なのに!!その一食に美味しいものが食べたいから掃除を済ませたら全力でご飯を作ってるのに!!
こーのーやーろー!!痛い目見せてやる!!食い物の恨みは恐ろしいって思い知らせてやるぞ!!どうしてくれよう。逆さづりして食べたもの全部ださせてやろうか!!
とは思っても残念ながら僕は親指サイズ。しかも一寸法師みたいに針を使ってやっつけるなんて剣技は持ってない。
となればもちろん他力本願!!
「フロー!!」
大声(親指姫サイズ)で黒猫上司を呼んだけどフローは姿を現さない。いつもならすぐに来てくれるのに。
(もう!このままじゃフローのお裾分け分まで食べられちゃうぞ!!)
そう思っていた僕の身体に走る違和感。
あ、これ!
ぐぐぐぐっと大きくなりはじめる身体。
今?泥棒と二人っきりになっちゃうんだけど?焦ってもこれは僕がコントロールできない現象なわけで。
無慈悲にも僕の身体は人間サイズに戻ってしまった。
大きくなった拍子に足元に転がるワイン瓶にぶつかってしまった。コロコロと転がったワイン瓶が泥棒に向かって行く。止まりそうで止まらないワイン瓶。ゆっくりゆっくり最後はそっと寄り添うように泥棒の足にぶつかって止まった。
(や!べ!ピタゴラスイッチ!)
「ん」
その男は足元を見、それから振り向いた。ひげだらけボサボサ長い前髪の下から覗く目。一瞬さまよった視線が僕に定まる。
狭いキッチン、どんなに鈍くても僕の姿を見逃すわけがない。
(はーいご対面)
「女?はー、なんだここにいたのか。あいつの見間違いだと思ってたけどこりゃいいな。別嬪さんじゃねぇか。おい、こっちこいよ。高く売れそうでこりゃいいなぁ」
くちゃくちゃと喋りながら食べる姿が不快。伸ばされた手の爪が黒ずんで汚い。
(ばっちぃ!)
反射的に伸ばされた男の手をぱしんと叩き落とす。
「あ?生意気じゃねぇか」
ギラリと目を光らせた男は僕の方に距離をさらに一歩縮めてくる。頭ひとつ分は大きな男に力で押さえ込まれたら叶うわけがない。
というわけで、先手必勝。
「物理!」
フロー様仕込みのジャンピング頭突きを顔面にかます。もちろん僕の頭も痛いけど鼻を打った相手の方が痛いに決まってる。怯んだ男が下がったところで近くにあった鍋を掴み横っ面に叩き込むと男は床に倒れこんだ。仕上げに容赦なく急所を蹴り上げると男は白目を向いて動かなくなる。
いやー前世が男で良かった。こういう瞬発力は小さい頃から喧嘩しなれてないとね。あと護身術講座の先生あざます!!
興奮冷めやらぬけれど後始末しないとね。野菜が入ってたずた袋を貯蔵庫から持ってきて男の頭に被せる。足を縛りさらに後ろ手にして縛り床に転がしてようやくほっとする。そして奇妙な匂いに気づいた。
ってかこの人だ。臭い。ずっとお風呂に入ってないんじゃないかなぁ。獣臭い。あれだ、日本みたいにゆっくり湯船に浸かる文化じゃないんだ。えー辛い。親指王子生活で忘れてたけど人間はきれいを心掛けないと匂うんだよ。
うぇーこの臭さ、キッチンに置いとくのが嫌だけど引きずって外まで持っていくのは苦労しそう。結構重たいし。
どうしたらいいかあとでフローに聞こう。
とりあえず物騒なナイフは没収。意外に綺麗に磨かれた刀身に映る美少女な僕。売ったら盗み食いされたご飯代くらいにはなるのかな?こっちの世界ってRPGの道具屋みたいなとこがあったりすんのかな?こいつ僕のこと売るっていってたし人身売買もあったり?物騒だなー。
ま、外に出れない僕には関係ない話か。
男に触った手を洗ってフローを探しにキッチンを出る。
おっきくなったってことは掃除の時間ってことだからね。ナイフ片手に廊下を歩く。
今日は魔法使いさんのお部屋はどこかな?って階段を上りだした僕の耳に届いたのは人の話し声。階段の上の廊下を誰かが歩いているらしい。
「ったく誰もいないじゃねぇか。」
「ここが魔法使いの屋敷だってんだから一筋縄でいくわきゃねぇだろ。俺がこないだたどり着いたときには中で掃除してる女が見えたのに窓も扉も壊せなかったから入れなかったんだからよ。魔法だよ、魔法」
「今日は中まで入れたのは魔法がきいてないってことか?」
「最近魔法使い討伐だって騎士達が騒がしかっただろなんか関係あるんじゃないか?」
「あいつらがついにやったってことか」
「わかんねぇけど魔法使いだって相当な年よりっていうじゃねえか。最強だなんだって言われてもそろそろ弱くなってんじゃないのか」
「じゃあこの屋敷の物、取り放題?」
「そういうこと。騎士団がここに気づく前にありったけかっさらわねぇとな。結構悪どいことしてたらしいから金目の物が山ほどあるはずだ」
(魔法使い?討伐?悪どい?)
不穏な言葉に僕は音を立てないように後ずさる。階段下に降りそっと戻ろうとした時に派手な物音がキッチンでたてられた。思ったより早くあの男が起きてしまったようだ。
(来ないで来ないで来ないで!!)
あわてて隠れる場所を探すけど願いは届かず
「なんだ?」
「ヤンじゃね?」
すぐにバタバタと足音がして階段上から覗く二人の男たち。バッチリ目があってしまった。
ぴゅう♪
片方が口笛を鳴らし片方がニヤリと笑った。
「俺たちついてるな」
次の瞬間には真横にだん!と振動が。
「かーわいいねぇ」
髭の間からのぞいた歯抜けだらけの口、べろりと舌なめずりをする赤い舌が臭い息と近づいてくる。
「つーかまえたぁ」
上から降ってきた男に抱きつかれ、匂いに顔を背けた僕はバランスを崩しそのまま廊下へと倒された。
「ぎゃー!!
やだやだ放して神様!仏様!魔法使い様!
フロー様!!」
あっという間に両手をひとまとめにされ押さえつけられてしまった僕は力の限り暴れながら叫ぶ。
「うるせぇ!だまれ!!」
ばちんっと頬に衝撃が来た。
「次は殺すぞ!わかったか!」
こくこくと頷くと手荒く髪をひっつかまれ玄関ホールに連れていかれた。
「なに遊んでんだお前ら」
目の前の光景に髪を掴んでいた男があきれたように仲間に言った。
玄関ホールにはさらに数人の小汚ない男達。彼らは歓声を上げながら黒い毛玉を執拗に追いかけまわしていた。ひらりひらりと身を躱すけれど多勢に無勢「に゛ゃ!」と鳴き声があがり小さな身体が宙に舞った。
(フロー!!)
「畜生のくせに生意気なんだよ!!」
顔中に引っ掻き傷のある男が床に落ちたフローを踏みつけにしようと足を振り上げた。
(だめ!!)
僕は飛び出して身体を男とフローの間に滑り込ませた。背中に激しい痛みが走る。一瞬息が止まり、もしフローが受けていたら使い魔と言えど無事ではすまなかったと間に合ったことに安堵した。
(か弱い猫ちゃんの姿の生き物を容赦なく蹴り殺そうしたこと許せん!!)
僕の頭にかっと血が上った。悪手だと分かってはいても怒りはとまらない。
「なんだ?女?邪魔すんな」
「弱いものいじめすんなかっこわりい!下衆!!」
「なんだとぉ」
キレた男が重ねてぼくの背中を蹴り飛ばす。ぐっと息がつまり苦しさで涙が滲む。でもフローの身体を覆い全身で庇う。絶対守る!
ギュット目を閉じ更なる痛みを覚悟した僕の耳に届いたのは
「動くな!」
という声とぎゃあという叫び声。
いつものようにだらだらと昼寝をかましていた僕の眠りを妨げたのは巨人だった。
「う゛ーめ゛ー!!」
うわ、うるさ!
視界いっぱいのおしりに気を取られてしまったけど、巨人、ではないな。
あぁ、普通サイズの男の人か。
僕、寝起きでちょっと混乱しちゃった。
そうだね、僕今小さいからね。
せいぜい5センチほんとに親指サイズ。
その人はどうやらお腹が空いているみたい。キッチンにある食べ物を手当たり次第食べているようだ。
そして度々上げる咆哮。うーん、お行儀悪いし身なりも悪い。パンくずやら食べ物のかけらやらボロボロとこぼしてるから、それらが床に落ちて僕のお掃除でピカピカにしてる床が、あぁ、もう、あっという間に汚く……驚きのビフォーアフター。こんなのって、こんなのって……
(ゆーるーさーんー)
恨みを込めて後ろ姿を睨みつける。
もじゃもじゃ頭に薄汚れた粗末なシャツ、つぎはぎだらけの粗末なズボン。腰から下がる大きなナイフ。絵本の挿絵に書かれる盗賊っぽい身なり。
ってか不法侵入してきて僕のご飯を食べるという大罪を犯しているわけだから実行犯逮捕できちゃうよ、はい、犯罪者!ドロボーです。
よくよく聞けば「う゛め゛ー」は「うまい」だね。
あ、それ僕のご飯だもん。そりゃぁ美味しいでしょうよ。僕が、今日食べようと思って昨日から仕込んでおいたリンゴと豚のポットローストだもん。何でも出てくる魔法の貯蔵庫だけどさすがに和食素材がないから米の代わりにマッシュドポテトと合わせて食べようと思ってたのに。ソースとポテトを合わせると絶対美味しいと思ってたのに!!
もう!もう!!僕だって一日一食生活なのに!!その一食に美味しいものが食べたいから掃除を済ませたら全力でご飯を作ってるのに!!
こーのーやーろー!!痛い目見せてやる!!食い物の恨みは恐ろしいって思い知らせてやるぞ!!どうしてくれよう。逆さづりして食べたもの全部ださせてやろうか!!
とは思っても残念ながら僕は親指サイズ。しかも一寸法師みたいに針を使ってやっつけるなんて剣技は持ってない。
となればもちろん他力本願!!
「フロー!!」
大声(親指姫サイズ)で黒猫上司を呼んだけどフローは姿を現さない。いつもならすぐに来てくれるのに。
(もう!このままじゃフローのお裾分け分まで食べられちゃうぞ!!)
そう思っていた僕の身体に走る違和感。
あ、これ!
ぐぐぐぐっと大きくなりはじめる身体。
今?泥棒と二人っきりになっちゃうんだけど?焦ってもこれは僕がコントロールできない現象なわけで。
無慈悲にも僕の身体は人間サイズに戻ってしまった。
大きくなった拍子に足元に転がるワイン瓶にぶつかってしまった。コロコロと転がったワイン瓶が泥棒に向かって行く。止まりそうで止まらないワイン瓶。ゆっくりゆっくり最後はそっと寄り添うように泥棒の足にぶつかって止まった。
(や!べ!ピタゴラスイッチ!)
「ん」
その男は足元を見、それから振り向いた。ひげだらけボサボサ長い前髪の下から覗く目。一瞬さまよった視線が僕に定まる。
狭いキッチン、どんなに鈍くても僕の姿を見逃すわけがない。
(はーいご対面)
「女?はー、なんだここにいたのか。あいつの見間違いだと思ってたけどこりゃいいな。別嬪さんじゃねぇか。おい、こっちこいよ。高く売れそうでこりゃいいなぁ」
くちゃくちゃと喋りながら食べる姿が不快。伸ばされた手の爪が黒ずんで汚い。
(ばっちぃ!)
反射的に伸ばされた男の手をぱしんと叩き落とす。
「あ?生意気じゃねぇか」
ギラリと目を光らせた男は僕の方に距離をさらに一歩縮めてくる。頭ひとつ分は大きな男に力で押さえ込まれたら叶うわけがない。
というわけで、先手必勝。
「物理!」
フロー様仕込みのジャンピング頭突きを顔面にかます。もちろん僕の頭も痛いけど鼻を打った相手の方が痛いに決まってる。怯んだ男が下がったところで近くにあった鍋を掴み横っ面に叩き込むと男は床に倒れこんだ。仕上げに容赦なく急所を蹴り上げると男は白目を向いて動かなくなる。
いやー前世が男で良かった。こういう瞬発力は小さい頃から喧嘩しなれてないとね。あと護身術講座の先生あざます!!
興奮冷めやらぬけれど後始末しないとね。野菜が入ってたずた袋を貯蔵庫から持ってきて男の頭に被せる。足を縛りさらに後ろ手にして縛り床に転がしてようやくほっとする。そして奇妙な匂いに気づいた。
ってかこの人だ。臭い。ずっとお風呂に入ってないんじゃないかなぁ。獣臭い。あれだ、日本みたいにゆっくり湯船に浸かる文化じゃないんだ。えー辛い。親指王子生活で忘れてたけど人間はきれいを心掛けないと匂うんだよ。
うぇーこの臭さ、キッチンに置いとくのが嫌だけど引きずって外まで持っていくのは苦労しそう。結構重たいし。
どうしたらいいかあとでフローに聞こう。
とりあえず物騒なナイフは没収。意外に綺麗に磨かれた刀身に映る美少女な僕。売ったら盗み食いされたご飯代くらいにはなるのかな?こっちの世界ってRPGの道具屋みたいなとこがあったりすんのかな?こいつ僕のこと売るっていってたし人身売買もあったり?物騒だなー。
ま、外に出れない僕には関係ない話か。
男に触った手を洗ってフローを探しにキッチンを出る。
おっきくなったってことは掃除の時間ってことだからね。ナイフ片手に廊下を歩く。
今日は魔法使いさんのお部屋はどこかな?って階段を上りだした僕の耳に届いたのは人の話し声。階段の上の廊下を誰かが歩いているらしい。
「ったく誰もいないじゃねぇか。」
「ここが魔法使いの屋敷だってんだから一筋縄でいくわきゃねぇだろ。俺がこないだたどり着いたときには中で掃除してる女が見えたのに窓も扉も壊せなかったから入れなかったんだからよ。魔法だよ、魔法」
「今日は中まで入れたのは魔法がきいてないってことか?」
「最近魔法使い討伐だって騎士達が騒がしかっただろなんか関係あるんじゃないか?」
「あいつらがついにやったってことか」
「わかんねぇけど魔法使いだって相当な年よりっていうじゃねえか。最強だなんだって言われてもそろそろ弱くなってんじゃないのか」
「じゃあこの屋敷の物、取り放題?」
「そういうこと。騎士団がここに気づく前にありったけかっさらわねぇとな。結構悪どいことしてたらしいから金目の物が山ほどあるはずだ」
(魔法使い?討伐?悪どい?)
不穏な言葉に僕は音を立てないように後ずさる。階段下に降りそっと戻ろうとした時に派手な物音がキッチンでたてられた。思ったより早くあの男が起きてしまったようだ。
(来ないで来ないで来ないで!!)
あわてて隠れる場所を探すけど願いは届かず
「なんだ?」
「ヤンじゃね?」
すぐにバタバタと足音がして階段上から覗く二人の男たち。バッチリ目があってしまった。
ぴゅう♪
片方が口笛を鳴らし片方がニヤリと笑った。
「俺たちついてるな」
次の瞬間には真横にだん!と振動が。
「かーわいいねぇ」
髭の間からのぞいた歯抜けだらけの口、べろりと舌なめずりをする赤い舌が臭い息と近づいてくる。
「つーかまえたぁ」
上から降ってきた男に抱きつかれ、匂いに顔を背けた僕はバランスを崩しそのまま廊下へと倒された。
「ぎゃー!!
やだやだ放して神様!仏様!魔法使い様!
フロー様!!」
あっという間に両手をひとまとめにされ押さえつけられてしまった僕は力の限り暴れながら叫ぶ。
「うるせぇ!だまれ!!」
ばちんっと頬に衝撃が来た。
「次は殺すぞ!わかったか!」
こくこくと頷くと手荒く髪をひっつかまれ玄関ホールに連れていかれた。
「なに遊んでんだお前ら」
目の前の光景に髪を掴んでいた男があきれたように仲間に言った。
玄関ホールにはさらに数人の小汚ない男達。彼らは歓声を上げながら黒い毛玉を執拗に追いかけまわしていた。ひらりひらりと身を躱すけれど多勢に無勢「に゛ゃ!」と鳴き声があがり小さな身体が宙に舞った。
(フロー!!)
「畜生のくせに生意気なんだよ!!」
顔中に引っ掻き傷のある男が床に落ちたフローを踏みつけにしようと足を振り上げた。
(だめ!!)
僕は飛び出して身体を男とフローの間に滑り込ませた。背中に激しい痛みが走る。一瞬息が止まり、もしフローが受けていたら使い魔と言えど無事ではすまなかったと間に合ったことに安堵した。
(か弱い猫ちゃんの姿の生き物を容赦なく蹴り殺そうしたこと許せん!!)
僕の頭にかっと血が上った。悪手だと分かってはいても怒りはとまらない。
「なんだ?女?邪魔すんな」
「弱いものいじめすんなかっこわりい!下衆!!」
「なんだとぉ」
キレた男が重ねてぼくの背中を蹴り飛ばす。ぐっと息がつまり苦しさで涙が滲む。でもフローの身体を覆い全身で庇う。絶対守る!
ギュット目を閉じ更なる痛みを覚悟した僕の耳に届いたのは
「動くな!」
という声とぎゃあという叫び声。
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