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第2部 継承
EP22 「08」番
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ユイはマシューを連れ、リージョンCのメインストリートにある役場を訪れた。
ドームを彷彿とさせる程の巨大な建物。ユイにとっては文字通り、迷路だ。
ユイは予約した時間にこの役場を訪れ、マシューを日常的に連れ歩くための許可を申請する。
これは自転車に貼り付けるステッカーのような扱いに近い。
窓口の女性に申請書類を書くように指示を受け、ユイはその書類を渡す。
するとこの女性はユイが書いた申請理由に目を向けた。
移動サポートではなく、”護衛サポート”という扱いにした方が良いだろうと提案する。
とりあえずよくわからないまま、ユイは案内に従ってその窓口に向かう。
到着した窓口で処理を行っていた人に、ユイは見覚えがあった。
(え……!)
眼鏡こそ違うが、間違いない。銀髪に紫色の目をしたあの時ぶつかった男性。
今は落ち着いたデザインの眼鏡をかけている。
前よりちょっと丈夫そうだ。申し訳ない。
微笑んではいるが目は笑っていない。それどころかクマができている。役所の激務が推し量られる。
さすがにそこまで凝視されれば、彼もユイの姿に気が付く。
そして目があった時、彼は勢いよく立ち上がる。
座っていた椅子が派手な音を立てて倒れた。
「準備が整い次第、番号を電光掲示板に表示します。受付カードを取ってください」
冷静な声でその場を取り繕うと、一瞬彼に集まった視線はすぐに通常に戻った。
ユイが受付カードを取ると「08」の番号だ。
三人いる窓口の一番左側にいるのが、成人式の時に出会った彼。
白いワイシャツに濃紺の地味なネクタイ。
左胸のネームプレートには彼の名前が記載されていた。
(ヒロト・セナ・リーシェン……。ヒロトさんて言うんだ)
ユイはなぜかヒロトと頻繁に目が合うことに気が付く。
マシューを見ているのかもしれない。
そのマシューはなぜかキリっとした表情で注意深く辺りを見ていた。
暫くしてユイの番号が電光掲示板に表示される。
対応してくれるのはヒロトのようだ。
ユイは先ほどの部署で一度提出した書類をヒロトに見せる。
「ああ……。確かにこれはうちの部署の担当ですね。」
ヒロトは申請理由についての項目をみて表情を険しくする。
そして、少し声を落としてユイに尋ねた。
「その後暴走車に狙われることはありませんでしたか?」
ユイは静かに横に首を振る。
それをみたヒロトは一瞬だけ安心した様子を見せた。
(うわ……これ微笑まれたらやばいやつ)
顔を火照らせるユイをマシューのカメラアイがじっと見つめる。
ヒロトは手早く処理を行うと、マシューの左手首に小さな輪を付けるように指示する。
「これはペアリングを行うものです。終了すれば手続きは終わりです」
「わかりました、ありがとうございました」
ユイは会釈をしてその場を離れる。
「あと、こちらが部署の連絡先です」
ヒロトが渡すのはこの部署の連絡先や窓口の対応時間などが書かれた名刺サイズのカードだ。
ありとあらゆるものがデータ化されている世界で、あえて紙で記されたデータ。
相談することが”記録”に残っては困る人もいるからだろうか?
「例の件で何かあればすぐにこちらの部署までご連絡を」
「ありがとうございます……」
ヒロトはユイに向かって静かに一礼する。
対応を待つ人は多く、ヒロトはすぐに次の受付番号の対応を始める。
思いがけず再会し、彼の名前を知ることが出来た。
ただそれだけなのに、どうしてこんなに嬉しいのだろうかとユイは戸惑う。
そんなユイの様子を、マシューは無言のまま見守っていた。
ドームを彷彿とさせる程の巨大な建物。ユイにとっては文字通り、迷路だ。
ユイは予約した時間にこの役場を訪れ、マシューを日常的に連れ歩くための許可を申請する。
これは自転車に貼り付けるステッカーのような扱いに近い。
窓口の女性に申請書類を書くように指示を受け、ユイはその書類を渡す。
するとこの女性はユイが書いた申請理由に目を向けた。
移動サポートではなく、”護衛サポート”という扱いにした方が良いだろうと提案する。
とりあえずよくわからないまま、ユイは案内に従ってその窓口に向かう。
到着した窓口で処理を行っていた人に、ユイは見覚えがあった。
(え……!)
眼鏡こそ違うが、間違いない。銀髪に紫色の目をしたあの時ぶつかった男性。
今は落ち着いたデザインの眼鏡をかけている。
前よりちょっと丈夫そうだ。申し訳ない。
微笑んではいるが目は笑っていない。それどころかクマができている。役所の激務が推し量られる。
さすがにそこまで凝視されれば、彼もユイの姿に気が付く。
そして目があった時、彼は勢いよく立ち上がる。
座っていた椅子が派手な音を立てて倒れた。
「準備が整い次第、番号を電光掲示板に表示します。受付カードを取ってください」
冷静な声でその場を取り繕うと、一瞬彼に集まった視線はすぐに通常に戻った。
ユイが受付カードを取ると「08」の番号だ。
三人いる窓口の一番左側にいるのが、成人式の時に出会った彼。
白いワイシャツに濃紺の地味なネクタイ。
左胸のネームプレートには彼の名前が記載されていた。
(ヒロト・セナ・リーシェン……。ヒロトさんて言うんだ)
ユイはなぜかヒロトと頻繁に目が合うことに気が付く。
マシューを見ているのかもしれない。
そのマシューはなぜかキリっとした表情で注意深く辺りを見ていた。
暫くしてユイの番号が電光掲示板に表示される。
対応してくれるのはヒロトのようだ。
ユイは先ほどの部署で一度提出した書類をヒロトに見せる。
「ああ……。確かにこれはうちの部署の担当ですね。」
ヒロトは申請理由についての項目をみて表情を険しくする。
そして、少し声を落としてユイに尋ねた。
「その後暴走車に狙われることはありませんでしたか?」
ユイは静かに横に首を振る。
それをみたヒロトは一瞬だけ安心した様子を見せた。
(うわ……これ微笑まれたらやばいやつ)
顔を火照らせるユイをマシューのカメラアイがじっと見つめる。
ヒロトは手早く処理を行うと、マシューの左手首に小さな輪を付けるように指示する。
「これはペアリングを行うものです。終了すれば手続きは終わりです」
「わかりました、ありがとうございました」
ユイは会釈をしてその場を離れる。
「あと、こちらが部署の連絡先です」
ヒロトが渡すのはこの部署の連絡先や窓口の対応時間などが書かれた名刺サイズのカードだ。
ありとあらゆるものがデータ化されている世界で、あえて紙で記されたデータ。
相談することが”記録”に残っては困る人もいるからだろうか?
「例の件で何かあればすぐにこちらの部署までご連絡を」
「ありがとうございます……」
ヒロトはユイに向かって静かに一礼する。
対応を待つ人は多く、ヒロトはすぐに次の受付番号の対応を始める。
思いがけず再会し、彼の名前を知ることが出来た。
ただそれだけなのに、どうしてこんなに嬉しいのだろうかとユイは戸惑う。
そんなユイの様子を、マシューは無言のまま見守っていた。
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