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第1部 輪
EP02 日常の終わり(2)
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この世界では、殆どのモノの情報は、データによって管理されている。
例えば今――。サツキは天候や気温データをもとに、トミオの衣装をクローゼットから検索する。初夏とはいえ半袖だけでは肌寒いと考えたのか、薄手のカーディガンも選択したようだ。更に必要があればトミオの着替えを手伝うこともある。
「トミオさん、本日の予定!」
ダイニングテーブルでゆっくりと食事を行うトミオに、サツキが声を掛ける。食べている食事はサツキによってカロリー計算されたものだ。これも主治医の指示によってサツキが用意している。量は少なめだが、満足感が得られるよう丁寧に作られている。
「今日は病院に行く日だったね」
「そう、お迎えのバスは9時に来る。病院の後、帰りに何か“オミヤゲ”を用意する!」
「うん? 9時に病院へ向かうバスだな。わかったよ」
サツキと暮らして10年。毎日予定を告げる中で、サツキがジョークを付け加えるのは初めてのことだ。
(たまには良いか?)
不思議に思ったものの、トミオは特に気にしなかった。ジョークに対しトミオが無関心を装ったためか、サツキはすぐに背中を向けた。使用済みの食器を軽く水洗いして、洗浄ボックスに並べている。その背中が少し寂しそうに思えて、トミオは背を向けるサツキに呟いた。わざと水音よりも小さな声で。
「……何か考えておくよ」
(サツキのことだ、きっと聞こえているだろう)
サツキが来てくれた日を境に、トミオは絶望の淵から抜け出し未来に進むことができた。主のサポートをしてくれるサツキに心から感謝している。とはいえ何をオミヤゲとすべきか、トミオは見当もつかない。
(もしもリエに“オミヤゲ”を用意するとしたら……)
とそこまで考えて、トミオは途中で思考を止めた。
(やっぱり今日はどうかしているな)
リビングのソファーに座るトミオに、サツキが香りのよい緑色のお茶を差し出す。
思考に耽るトミオは気づいていなかったが、その水面に小さな茶葉の茎が立っていた。
例えば今――。サツキは天候や気温データをもとに、トミオの衣装をクローゼットから検索する。初夏とはいえ半袖だけでは肌寒いと考えたのか、薄手のカーディガンも選択したようだ。更に必要があればトミオの着替えを手伝うこともある。
「トミオさん、本日の予定!」
ダイニングテーブルでゆっくりと食事を行うトミオに、サツキが声を掛ける。食べている食事はサツキによってカロリー計算されたものだ。これも主治医の指示によってサツキが用意している。量は少なめだが、満足感が得られるよう丁寧に作られている。
「今日は病院に行く日だったね」
「そう、お迎えのバスは9時に来る。病院の後、帰りに何か“オミヤゲ”を用意する!」
「うん? 9時に病院へ向かうバスだな。わかったよ」
サツキと暮らして10年。毎日予定を告げる中で、サツキがジョークを付け加えるのは初めてのことだ。
(たまには良いか?)
不思議に思ったものの、トミオは特に気にしなかった。ジョークに対しトミオが無関心を装ったためか、サツキはすぐに背中を向けた。使用済みの食器を軽く水洗いして、洗浄ボックスに並べている。その背中が少し寂しそうに思えて、トミオは背を向けるサツキに呟いた。わざと水音よりも小さな声で。
「……何か考えておくよ」
(サツキのことだ、きっと聞こえているだろう)
サツキが来てくれた日を境に、トミオは絶望の淵から抜け出し未来に進むことができた。主のサポートをしてくれるサツキに心から感謝している。とはいえ何をオミヤゲとすべきか、トミオは見当もつかない。
(もしもリエに“オミヤゲ”を用意するとしたら……)
とそこまで考えて、トミオは途中で思考を止めた。
(やっぱり今日はどうかしているな)
リビングのソファーに座るトミオに、サツキが香りのよい緑色のお茶を差し出す。
思考に耽るトミオは気づいていなかったが、その水面に小さな茶葉の茎が立っていた。
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