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第七話【最推しができました。】
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「グローリア・アビス・ケイロスは隠されなければなりません。新たな名前が必要なようです。」
私の体は少しずつではあるが、私の意思に従うようになってきた。
「ならアビスで良いだろう。どうせ世間ではケイロスかグローリアの名しか知れていない。お前はどこで知ったんだ。」
「漫画です。」と素直に答えてしまう。
『何言っちゃってるのーーー!!確かにデンデンの攻略キャラの中にケイロス帝国出身の人がいて、グローリア・アビス・ケイロス様お許し下さいなんて一文があったような気がするけれども!!私も忘れてた!!実物がこんな美少年だなんて思わなかったし!!てか、何百歳なのよ!』と心の中で叫ぶ。
美少年は深く考え込んだ後、私に尋ねました。「漫画?漫画とはなんだ?」私は彼の問いに答えました。「物語を絵で娯楽的に表現されたものです。残念ながら現世には無さそうです。」彼は驚いたような表情を浮かべながら、次に尋ねました。「名前は何というのだ。」私は答えました。「現世ではアメリアと名付けられました。」美少年は続けました。「現世?なら別の世では何という名だったのだ。」しかし、私は答えられませんでした。「…思い・・・だせません。」
『そうでしょう。そうでしょうとも!前世の名前は全く思い出せないからね!』
夜が訪れるにはまだ少しだけ早いが、私たちは疲れ果てた体を休めるために、そこらの空き家に泊まることにしました。
馬を繋ぎ、家に足を踏み入れると、そこには血の跡と亡骸が散らばっていました。私は淡々と使えそうな野菜を見つけ、スープを作り始めました。
『いくらなんでもサイコパス過ぎるでしょう!!アンタも席についてないで何とか言ったらどうなの!!』と私はリビングのテーブルで頬杖をついているアビスに向かって語りかけました。しかし、もちろん声は届くことはありません。
食事を終え、大きな木のタライに湯を溜め、入浴を始めました。
『帝王の前で何やってんのーーー!!!アビスも何じっと裸を見てるわけ!?アビスって見た目は少年だけど実年齢は何百歳と歳をとったお爺さんよね!?まさか私の体に欲情してるってわけ!?』
「おい小娘、それは何をしている?」と、アビスが声をかけました。
「お風呂。」と私が答えました。
「オフロとは何だ?」とアビスが尋ねました。
「入浴です。体を洗っています。」と私が説明しました。
「こんな血生臭いところで良く呑気に体が洗えるな。」とアビスが冷ややかに言いました。
『その通りです。もっと言ってやってください!!』と心の中で叫びました。
「寝る前に少し話すぞ。早く済ませろ。」とアビスが告げました。
「はい。」と私は頷き、入浴を終えて、ベッドの上のアビスの隣に座りました。
「おい、まさか同じベッドで濡れた髪のまま寝るつもりか?」アビスが厳しい口調で問いました。
私は彼の問いに対し、「何か問題でも?」と冷静に反応しました。
アビスは溜息をつきながら指先をくるっと回しました。すると、一瞬の間にフワリと髪が浮き上がり、そして髪の毛がサラッと乾いていくのを感じました。
『凄い、魔法って便利!!』
「こんな魔法の使い方をしたのは初めてだな。で、小娘。随分と何か言いたげな視線を送ってくるのは中に意思が存在しているからだな?」アビスは興味深そうに私を見つめました。
私は首を傾げながら、それとは別に心の中で『そうです!!その通りです!!』と訴えかけていました。
「魔法をかけてもいいか?お前の意思を聞くことができるようになるはずだ。」
『何ですと!?そんなことが可能なの!?でも信じて良いのかな。アビスってキルエルさんの命を奪う魔法をかけた奴でしょう?信頼にたるかどうか…』
私の意思に関係なく、この体はコクリと頷いてしまった。
驚くべき光景が目の前に広がる。アビスの顔が段々と近づき、その唇がチュッと重なった。その一瞬、世界が静寂に包まれ、私の心臓の鼓動が激しく高まった。
『や、やばい。イケメンショタとキス・・・しちゃった。私のファーストキスが…でもイケショタならオッケーです!!幸せ過ぎる。このシーンスチルとしてもらえないかな。ずっと眺めていたい。』
アビスは思った以上に良く話すな、と内心で感じながら、相手が自分の容姿を好きだと知って、得意げに笑った。
「この見た目が好きか。」
『そうなんです。もうドストライクとでも言いましょうか。性癖ぶっささりなんです!!』
「ほう、そんなにか。」
『って、えーーー!!!心の声が漏れちゃってる!?ぎゃーーー恥ずかしーー!!!死んじゃう!!
』
アビスとは、キルエルに呪いをかけた理由や、私について語り合った。彼は三十歳になる頃、キルエルと出会い、二人でケイロス帝国を築いたが、キルエルが祖国の神の意向に背く行為だとして、国を建てたことを恐れ、国を破壊しようとした。しかし、それをアビスが阻止するためにキルエルに呪いをかけ、使役していた。アビスは自国民を守るために行動したのだ。しかし、年月が経つにつれて、そのことを忘れてしまい、無意識に国を回すだけの人形になっていたようだ。私が聖なる力を使ったことや、気絶させたこと、衝撃によってその記憶が蘇った。私がケイロス帝国を滅ぼしてしまったことを憎んでいるかどうか聞くと、アビスは民の大切さを忘れた愚王が憎むのは筋違いだと言ってくれた。その後、体の自由が利かない私を労ってくれた。私の心の声が駄々漏れだったため、私が異世界から転生してきたことがばれてしまったが、アビスは興味深そうに異世界の話を聞いて笑ってくれた。
彼が幼い姿になったのは、恐らく最近の出来事に関連しているようだ。おそらく私がキルエルさんの体を若くする魔法をかけた時に、彼も同様に幼くなってしまったようだ。その後、彼はメイドに着せ替えられ、人形のように扱われていたらしい。ちょっと悪い事しちゃったのかな?彼はまだまだ私も長生きできそうだなと余裕の笑みを浮かべていた。確かに私の聖なる力で傷ついた細胞さえも治せちゃうっていうなら不老不死も同然ね。
「私は眠る。先の魔法で…力を全て・・・。」
アビスは、力を全て使い果たしたようで、倒れるようにして眠ってしまった。
『そんなに高度な魔法だったの!?力全部使っちゃうほど!?さっきまで全然辛そうな素振りなんて見せなかったのに。しまった…この声も全部聞こえてるんだっけ。今日は大人しく寝よう。うん、そうしよう!!』
私の体はアビスにピッタリくっついて眠り始めた。
誰かの温もりで安堵して眠っているせいか【麗しき殿方との甘い宮殿】の夢を見た。ここへ来てからろくな夢を見ていなかったというのに。
攻略対象達の顔が浮かんだ。メロウト王国のルティー王子、金髪碧眼の王道王子。公爵家で騎士をしているセトラ、銀髪で素晴らしい肉体美が特徴だ。そして、最年少魔法士団長パピルス、ピンク色の髪をしたショタ系美少年。この三人の好感度を50にすると、登場する隠しキャラの教皇ノエル・クラリアス、青みがかったフワフワした白髪・・・あれ?浮かぶのがキルエルさんじゃない?あれ?クラリアス?どういう事?どうして攻略キャラにキルエルさんそっくりな人が?それに教皇って、他人ではなさそう。夢の中で悪役令嬢は、自分の死を避けるために悪役の役割を放棄し、運命を変えようと決意する。しかし、物語の展開は彼女の思惑通りには進まず、彼女とキルエルさん似の人が思いがけない形で結ばれることになる。そんな夢だった。
私の体は少しずつではあるが、私の意思に従うようになってきた。
「ならアビスで良いだろう。どうせ世間ではケイロスかグローリアの名しか知れていない。お前はどこで知ったんだ。」
「漫画です。」と素直に答えてしまう。
『何言っちゃってるのーーー!!確かにデンデンの攻略キャラの中にケイロス帝国出身の人がいて、グローリア・アビス・ケイロス様お許し下さいなんて一文があったような気がするけれども!!私も忘れてた!!実物がこんな美少年だなんて思わなかったし!!てか、何百歳なのよ!』と心の中で叫ぶ。
美少年は深く考え込んだ後、私に尋ねました。「漫画?漫画とはなんだ?」私は彼の問いに答えました。「物語を絵で娯楽的に表現されたものです。残念ながら現世には無さそうです。」彼は驚いたような表情を浮かべながら、次に尋ねました。「名前は何というのだ。」私は答えました。「現世ではアメリアと名付けられました。」美少年は続けました。「現世?なら別の世では何という名だったのだ。」しかし、私は答えられませんでした。「…思い・・・だせません。」
『そうでしょう。そうでしょうとも!前世の名前は全く思い出せないからね!』
夜が訪れるにはまだ少しだけ早いが、私たちは疲れ果てた体を休めるために、そこらの空き家に泊まることにしました。
馬を繋ぎ、家に足を踏み入れると、そこには血の跡と亡骸が散らばっていました。私は淡々と使えそうな野菜を見つけ、スープを作り始めました。
『いくらなんでもサイコパス過ぎるでしょう!!アンタも席についてないで何とか言ったらどうなの!!』と私はリビングのテーブルで頬杖をついているアビスに向かって語りかけました。しかし、もちろん声は届くことはありません。
食事を終え、大きな木のタライに湯を溜め、入浴を始めました。
『帝王の前で何やってんのーーー!!!アビスも何じっと裸を見てるわけ!?アビスって見た目は少年だけど実年齢は何百歳と歳をとったお爺さんよね!?まさか私の体に欲情してるってわけ!?』
「おい小娘、それは何をしている?」と、アビスが声をかけました。
「お風呂。」と私が答えました。
「オフロとは何だ?」とアビスが尋ねました。
「入浴です。体を洗っています。」と私が説明しました。
「こんな血生臭いところで良く呑気に体が洗えるな。」とアビスが冷ややかに言いました。
『その通りです。もっと言ってやってください!!』と心の中で叫びました。
「寝る前に少し話すぞ。早く済ませろ。」とアビスが告げました。
「はい。」と私は頷き、入浴を終えて、ベッドの上のアビスの隣に座りました。
「おい、まさか同じベッドで濡れた髪のまま寝るつもりか?」アビスが厳しい口調で問いました。
私は彼の問いに対し、「何か問題でも?」と冷静に反応しました。
アビスは溜息をつきながら指先をくるっと回しました。すると、一瞬の間にフワリと髪が浮き上がり、そして髪の毛がサラッと乾いていくのを感じました。
『凄い、魔法って便利!!』
「こんな魔法の使い方をしたのは初めてだな。で、小娘。随分と何か言いたげな視線を送ってくるのは中に意思が存在しているからだな?」アビスは興味深そうに私を見つめました。
私は首を傾げながら、それとは別に心の中で『そうです!!その通りです!!』と訴えかけていました。
「魔法をかけてもいいか?お前の意思を聞くことができるようになるはずだ。」
『何ですと!?そんなことが可能なの!?でも信じて良いのかな。アビスってキルエルさんの命を奪う魔法をかけた奴でしょう?信頼にたるかどうか…』
私の意思に関係なく、この体はコクリと頷いてしまった。
驚くべき光景が目の前に広がる。アビスの顔が段々と近づき、その唇がチュッと重なった。その一瞬、世界が静寂に包まれ、私の心臓の鼓動が激しく高まった。
『や、やばい。イケメンショタとキス・・・しちゃった。私のファーストキスが…でもイケショタならオッケーです!!幸せ過ぎる。このシーンスチルとしてもらえないかな。ずっと眺めていたい。』
アビスは思った以上に良く話すな、と内心で感じながら、相手が自分の容姿を好きだと知って、得意げに笑った。
「この見た目が好きか。」
『そうなんです。もうドストライクとでも言いましょうか。性癖ぶっささりなんです!!』
「ほう、そんなにか。」
『って、えーーー!!!心の声が漏れちゃってる!?ぎゃーーー恥ずかしーー!!!死んじゃう!!
』
アビスとは、キルエルに呪いをかけた理由や、私について語り合った。彼は三十歳になる頃、キルエルと出会い、二人でケイロス帝国を築いたが、キルエルが祖国の神の意向に背く行為だとして、国を建てたことを恐れ、国を破壊しようとした。しかし、それをアビスが阻止するためにキルエルに呪いをかけ、使役していた。アビスは自国民を守るために行動したのだ。しかし、年月が経つにつれて、そのことを忘れてしまい、無意識に国を回すだけの人形になっていたようだ。私が聖なる力を使ったことや、気絶させたこと、衝撃によってその記憶が蘇った。私がケイロス帝国を滅ぼしてしまったことを憎んでいるかどうか聞くと、アビスは民の大切さを忘れた愚王が憎むのは筋違いだと言ってくれた。その後、体の自由が利かない私を労ってくれた。私の心の声が駄々漏れだったため、私が異世界から転生してきたことがばれてしまったが、アビスは興味深そうに異世界の話を聞いて笑ってくれた。
彼が幼い姿になったのは、恐らく最近の出来事に関連しているようだ。おそらく私がキルエルさんの体を若くする魔法をかけた時に、彼も同様に幼くなってしまったようだ。その後、彼はメイドに着せ替えられ、人形のように扱われていたらしい。ちょっと悪い事しちゃったのかな?彼はまだまだ私も長生きできそうだなと余裕の笑みを浮かべていた。確かに私の聖なる力で傷ついた細胞さえも治せちゃうっていうなら不老不死も同然ね。
「私は眠る。先の魔法で…力を全て・・・。」
アビスは、力を全て使い果たしたようで、倒れるようにして眠ってしまった。
『そんなに高度な魔法だったの!?力全部使っちゃうほど!?さっきまで全然辛そうな素振りなんて見せなかったのに。しまった…この声も全部聞こえてるんだっけ。今日は大人しく寝よう。うん、そうしよう!!』
私の体はアビスにピッタリくっついて眠り始めた。
誰かの温もりで安堵して眠っているせいか【麗しき殿方との甘い宮殿】の夢を見た。ここへ来てからろくな夢を見ていなかったというのに。
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